今回のボルネオ旅行は、私としてはブルネイ訪問をメインテーマとしているが、妻はボルネオの大自然や野生動物との出会いに主眼を置いており未知の国ブルネイはどうでもよいらしい。同行者がいることで互いの要望を調整しなければいけない点は、一人旅とは違いとても面倒なこと。私にとっての理想的な旅とは基本は一人旅で、ディナータイムや繁華街での散策は誰かと一緒というのがベストなのですが…。まぁそんな愚痴をいくらこぼしても今回の旅は常に妻のチェックが入る厳しい”苦行”、しかも妥協という言葉をどこかへと置き忘れてしまった妻に最大限の配慮をしなければなりません。
 
コタキナバルから手軽に行ける”大自然”として、すでにサピ島やゲラマ川を訪れていた私たちですが、ここは真打ち、世界自然遺産にも指定されているキナバル山(キナバル公園)に登場してもらいましょう。ただし妻は疲れることが大嫌い、とくに若い頃から足腰が弱いため登山はとてもじゃないがムリ!公営バスで手軽に行くことができる公園管理事務所の周辺をハイキングするだけに留めます。その後、キナバル公園からサンダカンに移動。セピロックを訪れ、オラウータンにご対面というスケジュールを立てました。これだけ大自然と野生動物に触れあえれば、私も妻も心置きなくブルネイに向かえるぜ!
 

キナバル公園、その入り口に少し触れただけでは世界遺産に登録された価値をほとんど理解できず・・・退散

コタキナバル市内から直通バスに乗り到着したキナバル公園、ここでは数時間だけ滞在した後にサンダカンに向かう予定となっている。75400ヘクタール(東京ドーム約16000個分!)にも及ぶ広大な公園の全貌を数時間のハイキングで知ろうなどと無謀なことは申しませんが、さすがに数時間だとねぇ・・・その僅かな表面をナデたことにもなりません。ハッキリ言います、公園事務所の周りをハイキングするだけなら、マレーシアであればクアラルンプールやペナンの郊外にある保護森林を訪れることとソウ変わりません。
 
実は私、キナバル公園には密かな期待を抱いていました。あの世界最大の花と言われるラフレシアをぜひともこの目で見たかったのです。そして、とてつもない悪臭と言われる盛花の薫りをぜひとも全身で嗅いでみたい!
公園事務所に到着し、当然のようにラフレシアの開花状況を聞きだしてみたが…、本日はどこも咲いていないとの無慈悲な答えが返ってくる。NO~!I LOVE RAFFLESIA~!!I WILL NEVER MISS YOU!!!と心の叫びを表情に浮かてしまいましたよ。そんな私の失望感を察知したのか、”でしたらラフレシアのステキな写真スポットがありますよ”というスバラシイご提案。そして出会いましたよ、立派なラフレシアだなぁ~。人が上に乗っても、どんどん飛び跳ねてもけっして傷つくことはないラフレシア・・・ってハリボテかよ!まぁ市民公園の玩具では出会うことができないラフレシアのハリボテに、私はいたく感動した(わけがありません!)。
 

公園内のハイキングで私の関心をもっとも惹いたのは食虫植物の数々、とくにウツボカズラの奇怪な姿に感銘を受けました。某モデル女優さん(山本美月さんですが)がテレビ番組内で食虫植物好きを公言していたが、私も存分に共感します。虫を捕食する”肉食”ぶりも奇怪ながら、なんと言ってもこのヒョウタン型の姿がカワイらしい。子供の頃に熱帯植物園(Dream Island=夢の島=昔はゴミの島)で見たあの愛くるしいウツボカズラが、現実にジャングルで自生する姿を目の当たりにし興奮度はマックス状態。
ふと横を見ると妻の姿はなく、どんどん先に進んでしまっている。ここでウツボカズラを見ないで何しに来たんだ!前方の妻に駆け寄り、”ウツボカズラが自生しているから見に戻ろうよ”と声をかけるが、フ~ンという反応とともに再び先へ歩を進めてしまう。私は山本美月さんに対し特段なんの思い入れもなく、好きとも嫌いともつかないが、このウツボカズラを目の前にした一瞬だけは妻と山本美月さんが入れ替わったら・・・オモシロかった。1時間ほどはウツボカズラの前に座り込み、蓋を開け閉めしながら虫を中に入れてみたりして遊んだのでしょう。そう言えばウツボカズラ、例のウツボの中の水って飲めるらしく、原住民はそれで喉の渇きを癒していたとウロ覚えに聞いたことがある。あの水を飲んだ感想を誰か(山本美月さん)に聞いてみたいです。
 

セピロックで出会ったオラウータン、君は餌付けされた人間の友達だね

サンダカンやセピロックでの滞在記は付録情報として、なるべくコンパクトに納めます。セピロックでは、オラウータン・リハビリテーションセンターからほど近い、Seplok Jungle Resortに宿泊。午前と午後に行われる”オラウータンへの餌やり”を万全の態勢で見学します。
 

オラウータン・リハビリテーションセンターに入場です。餌やり午前の部は多くのツーリストが詰めかけ少し興ざめ、登場したのも子供のオラウータンだけで、多くの来場者も諦め顔を見せる。まぁ野生動物のなすことに文句をつけることはできません。しかし私たちはせっかくセピロックに宿泊しているのですから、オラウータンを見るチャンスはまだまだあるのです。
 
午前中とは一転し、午後はツーリストの数が極端に減っていました。ただ私たちは、あまりに人が多かった午前中の反省を活かし、午後はなるべく早い時間から餌やり場に陣取ります。ツーリストはおろかスタッフすらいない、ヒトケのない餌やり場でボーっとしていると・・・

何やら木々を揺らす重く鈍い音が聞こえてくる。すると、1匹のオラウータンが縄をつたって登場!餌やり台に散らばるカスをあさるもすぐに縄で勝手に遊ぶオラウータン、スタッフが到着する前に森へと戻って行ってしまった。私たちの前だけに現れ、挨拶を交わした君の姿は一生忘れないぜ。
 

バラバラとツーリストが現れ、スタッフも続いて登場。バンバンと木を思いっきり叩く音に反応し、1匹のオラウータンが現れる。スタッフが用意したバナナなどの餌を食べる彼の姿は、先ほど私たちの前だけに現れたオラウータンとは全くの別物、神々しさを感じさせない飼い慣らされたオラウータンの姿を見て、この地を去る決心をしたのでした。


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