1ヶ月にわたるミャンマー旅行で最後の訪問地と決めたバゴー。ミャンマー観光といえば、概ね巨大な寺院や遺跡等とにかくインパクトが強い仏教関連の建造物が多く、いいかげん飽きが生じていたのだが、最後にバゴーを選択しておいて良かった。この街も見どころは仏教寺院や仏像なのですが、もうそんなの見飽きたよなんて決して言わせないのです。前回記事で紹介した寝仏も確かに巨大たが、チャイプーン・パヤーで見た四方を向いた坐仏が眼前に現れたときのインパクトといったら!現実感を喪失させ夢遊病を患ってしまった旅人・・・う~ん、アブない人になってしまいました。これまで何度か書いたが、ミャンマーの暑苦しく埃っぽい空気の中を自転車なんか何分も漕いでいたら、気は遠くなり現実と非現実の間の境が曖昧になってくる。そんなとき突如、巨大な仏像が目の前に迫り来たら・・・極楽浄土から勝手にお迎えが来たよと一人盛り上がる、アブない人の出来上がりです。
 

朝の市場をチェック後、自転車を借りていざ出陣!

安宿での目覚めは、うん、微妙です!実は今回のミャンマー旅行ではビジネスorカップル仕様のかなり居心地の良い宿に泊まることが多かったせいか、安宿耐性がかなり弱まってきており、なかなか寝付けなかった。しかしねぇ、こうした安宿って何泊か泊まると、もうそこからは抜け出せない(抜け出したくない)ような、妙な諦めと安心感が生じてくるのですよ。これが高じると”沈没”になるのだが、タイやカンボジアで沈没バックパッカーを目の当たりにして、それを反面教師にしようと私自身に再び言い聞かせる。一ヶ所に留まる退屈な人生なんて私は歩みたくないのです。
 

気を取り直し宿近くにある早朝の市場を散策。美しい花々やおいしそうな食材が私の目を覚ましてくれる。沈没しかけた怠惰な気分が晴れていき、せっかくのバゴーを自転車に乗って楽しもうという気になってきました。Let’s enjoy!
 

バゴーを自転車で観光、暑さに気がどんどん遠くなる

宿近くでレンタサイクル店を見つける。先日のような”歩き”ではないので行動範囲は広がり、まずは5kmほど離れたチャイプーン・パヤーに向け出発です。
 

チャイプーン・パヤーは向こうから私に近づいてくるアリガタイ坐仏

いざ自転車で目指したのは良いが・・・道も判りやすく5km程度ならと甘く見ていました。いや~バガンでは片道10km以上は平気で漕いでいたし・・・ところが、バゴーでのあまりの暑さと乾いた日差し、しかも強烈な埃が襲ってきて意識がモウロウ。すると・・・

遠くから私を見つめる仏像が近づいてくる。実はこの時、何とか気力だけでペダルを漕ぎ続けていたため、自分で仏像に向かっているという意識が失われていたかもしれない。本当に仏像の方から近づいてきているという不思議な感覚がありました。
 

チャイプーン・パヤーの門前に到着。遠くから私をみつめ極楽浄土へと導こうとしていた仏像をいよいよ参拝です。
 

いや~でかいデカい!高さ30mの柱の4面にそれぞれ巨大な仏像が坐しています。1476年にモン族が建立したといわれる仏像には不思議な伝承が伝わり、(伝承通りに)1体の仏像が最近まで崩れていたとのこと。暑さと疲れで失いかけていた私の生気もみるみる蘇ってきました。
 

仏陀さま、指と耳が半端なく長いです!
 

一杯のビールが、俄然、気力を戻してくれる

仏像に励まされ、再び宿方向に自転車を漕ぎだす。まぁ道がはっきりと判っている安心感から、異常なまでに気が遠くなることはなく宿近くまで戻ってきた。チャイプーン・パヤーを見たことだし、今日の”仕事”はこれで終わりと決めながら昼食タイム。

いつも通りにプッハ~とミャンマービール(生)を飲み干しながら、メインのフライドヌードルを頬張る。この日は一人で時間を過ごすうちに、体力も気力も再び復活!自転車は一日あたりで借りているのに午前中だけで使い終わったら無駄じゃない、午後もどこか行きそびれた場所に行こうよ、なんて話しかける別の自分(あるいは仏像?)がいます。判りました、午後も寺院&仏像参観に出発しますよ。
 

マハーゼディー・パヤー

先日、歩いてバゴーの寝仏をいくつか参観したが、実はその近くにはガイドブックに記載された寺院が他にもいくつかあった。ただ、歩き回った際に疲れてしまったので、それらの寺院には行かずじまい。まぁ、寺院ばかりを見ても飽きるねぇというワンパターンのフレーズを唱えて行くつもりはなかったのですが、今日は自転車というお供がいる!先のチャイプーン・パヤーよりはよほど近い場所にあるので、行くのは楽勝です。
 

パヤーの境内に入る。お~よく来たね、実はオヤジさんは来てくれないんじゃないかと心配していたんだよ!といった声が聞こえてきたかも。
 

すばらしい仏塔ですね。では、次の目的地へ出発!
 

シュエグーレー・パヤー

この寺院の見どころは仏塔内部に設置された回廊で64体の仏像が安置されています。はい、こちらも参拝しました、次!
 
ここまでミャンマーを旅して多くの寺院を参拝し、自分好みの寺院や仏像がよく判ってきました。とにかく信心がない私にとっての判断基準は、まさに(私個人の勝手な思いによる)造形のインパクトにあります。今日はチャイプーン・パヤーで十二分に堪能してしまい、どうも刺激に対する感度が鈍ってきたようです。
 

シュエモードー・パヤー

ガイドブックには「バゴー最大の見どころ」と書かれた巨大な仏塔。ただねぇ、巨大な仏塔といえば、私はヤンゴンのシュエダゴォン・パヤーやバガンのシュエズィーゴォン・パヤーをすでに見ています。さほど期待しない方が良いかなという軽い気分で自転車を漕ぎました。
 

バゴー中心街にある池を通る。この日もすでに夕刻の日暮れ時、一日よく”働いた”なぁ~!
 

すると見えてきましたよ、巨大な仏塔に良い意味で期待を裏切られ唖然とします。仏塔の高さはなんと114m、巨大な上に、夕刻に金色が映えとても美しい。
 

門前を護る巨大な獅子が雄叫びをあげる姿は、とにかく強そう!他の寺院の門前獅子と並べて鑑賞したいです。
 

お堂での力の入った読経に魅せられ、いつまでも見入ってしまう。なぜかテレビカメラも入っていますね。
 

と一通りの参拝を終えると、もうすでに夜となっていました。けっこうな時間を寺院内で過ごしていたようです。
 
やはり巨大なものは、それだけで胸躍らせるインパクトが存分にあるスバラシイもの。仏塔はもう見飽きたぜなんて呟く私の浅はかな思いを夜の獅子像はぶち壊してくれました。また近いうちにミャンマーを訪れ、強烈なインパクトを放つ造形物に出会えることを期待して、この地を去ることにします。


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