タイ・イサーンの地方都市カラシンにわざわざ足を伸ばしたのは、東南アジアを代表する恐竜博物館があると聞きつけたからです。その博物館の名はシリントーン博物館(Sirindhorn Museum)・・・と言ってもご存知の方はほとんどいないのでは。なにせ日本を代表するガイドブック『地球の歩き方』にも記載がないほどで、恥ずかしながらタイ通を気取る私でさえ、カラシンの街を含め知らなかった!
 
カラシンはタイのごく一般的な地方都市だが、散策するとなかなかオモシロい街だなと判明し、つい数泊してしまったのは前回の記事で報告した通りです。ただね、街なかでいつまでもウダウダするのは本末転倒、ここは面倒くさがり屋の怠け心を振り払い、恐竜博物館に向かうことにします。
 

シリントーン博物館&恐竜寺 訪問記

シリントーン博物館のことをネットで検索しても情報量はかなり少ないのでは。しかもバックパッカーがバスやロットゥーなどの公共交通機関で行ったという話しは見つからない。ただね、ご心配なく。博物館まで公共交通を使い格安で行くことができます。
 

カラシンのバスターミナルでシリントーン行きバスを見つける方法

前回記事でも掲載したカラシンのバスターミナル、ここで「シリントーン、シリントーン」と連呼すると、優しいタイのオジサンがターミナル構内のうらぶれた場所に連れて行ってくれた。そこには何台かのロットゥー(ワゴン車を使った乗合バス)が停まっており、(たまたまでしょうか)どのロットゥーに乗り込んでもシリントーンに行けるらしい。ただ、シリントーンではドライバーに通じないことが多いらしく、その場合「プークームカオ(Phu Kum Khao)、シリントーン」と言えば確実に通じるという情報もゲット。オジサン、ありがとう!ちなみにロットゥーの料金は当時で片道30バーツでした。
 

博物館にたどり着く前、得体の知れない寺で降ろされ不安に・・・そこは恐竜寺だった

ロットゥーには始め何人かの乗客がいたが皆さんすぐに降りてしまい、結局、乗客は私1人だけになってしまう。するとドライバー、”You happy”と言い出した後、急に脇道に入る。どうやら博物館のすぐそばまで送って行ってくれるのでしょうか。ドライバーさんが言いたかったのは”You are very lucky”ということですね。
 

しばらく走り降ろされた場所は、写真の寺の前。え、これが博物館・・・と狐につままれた気持ちになる。不安な気持ちで寺の名前を確認すると、どうやらワットサッカワン、別名プークームカオという場所だと判る。ドライバー氏は、再び”You happy!”と言い残し走り去ってしまいました。
 

こうなったら仕方がありません。腹を括って寺院を見学、もしかしたら博物館にたどり着けないかもなんて思いながら境内を散策すると、恐竜の像をいくつも発見!しかもブロンドザウルスと思われる首長竜の像がやけに目立つ。
 

シカの剥製が置かれた場所で僧侶に話しかけると、パンフレットを差し出してくれた。その内容を書き起こすと・・・この寺院の僧侶が瞑想中に巨大な首長竜の姿を想起する。ある日、大雨が降った後のこと、僧侶は剥き出しの姿となった巨大な骨の化石を発見する。実はそれこそ、僧侶が瞑想で見た首長竜だったのです。いや~不思議なお話ですね!
 
シリントーン博物館は、この寺院(ワット サッカワン)から歩いて10分ほどの場所にあり、車道を道なりに行けば辿り着くとのこと。いや~助かりましたよ!
 

シリントーン博物館に到着、まず玄関前の恐竜オブジェに萌える

しばらく歩くと、誰の目にも判る恐竜博物館が見えてくる。子供の頃に恐竜博士の異名をもった私にとって、この玄関だけで萌え~なのです。子供時代の記憶を呼び起こせば、憧れの首長竜ブロンドザウルスに加え、最強の肉食竜ティラノザウルスやトゲトゲが特徴的なステゴザウルスなどの巨大なオブジェがあちこちに置かれている。これら、もしかしたら原寸大かもしれません。
 

数ある恐竜オブジェの中で一番のお気に入りはコイツ、顔つきはほとんどワニですね。
 

では入場料を払って、シリントーン博物館を見学しましょう

シリントーン博物館の入場料は100バーツ、少々高いと思うことなかれ!展示内容を子細に見れば、この料金がいかに安いかお判りいただけるはず。
 

まずは、古代史/自然史博物館ならどこにでもある三葉虫の化石からスタート。三葉虫を見ると一気に数億年前、古生代の世界にタイムスリップ!まぁ古生代には恐竜はいなかったはずだが、そんなことは気にしません。とにかく三葉虫やアンモナイトが集団でウヨウヨと海中を歩き回り、巨大なウミユリが海中を漂う姿を想像すると・・・ホラーの世界です。
 
三葉虫のそばには巨大なタマゴ、これぞ恐竜の化石!日本であれば卵焼き何個分の大きさなど、無駄な雑学情報が記載されているはず。
 

巨大な肉食恐竜の骨格が登場です。そういえば、ワットサッカワンの僧侶が発見したのは首長竜、つまり巨大な”草”食恐竜のはずですが、ここでまず目を引くのは”肉”食恐竜。英語の説明版が見当たらず、どんな恐竜か明言はできませんが、鋭く尖った歯を見れば肉食竜であることは一目瞭然です。
 

こいつは背中のヒダヒダが特徴的な、おそらくステゴザウルスの骨格ではないでしょうか。彼のような草食恐竜は、植物を常食とするため鋭く尖った歯を必要とはせず、広く平べったい歯で押し潰すような形で摂食するのでしょう。
 

サイのような角を持つこの恐竜は、子供時代に恐竜博士と呼ばれた私の鑑定によればトリケラトプスですね。
 
しかしねぇ、恐竜博士の浅いアサ~イ知識からは鑑別できない骨格があまりに多すぎる。しかも、いくつかの骨格には復元図が描かれているが、本当にこんな姿をしていたの・・・?と驚きの声をついあげてしまう。そんな恐竜を1つ紹介すると・・・

こいつ誰だよ?目の周りを囲むイボイボがとにかく気色悪い。太古の姿を復元する作業がいかに困難か偲ばれるが、ただねぇ本当にこんな色をしていたの?
 

別室にはまだ復元されていない化石が山積みされていたが、これを全体骨格として復元する作業・・・私にはできません。子供の頃に想い描いた、将来は考古学者になる夢を実現しなくて心底ホッとしました。こんな細かい芸当ができたら、今の私の人生はありえなかったはずです。
 

シリントーン博物館はまだまだ続く、第二展示室では化石の発掘現場が見られる

メインのミュージアムを見終えたからといって、これでシリントーン博物館が終わったわけではありません。少し山道を上ると第二展示室があるのです。こちらは発掘現場を直に見ることができる貴重な場となっています。
 
 
ここまで見れば、さすがの恐竜博士もお腹いっぱい、余は満足じゃとつぶやいてしまう。カラシンの街に戻って、再び移動遊園地に足を運ぶことにします。


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