サンボープレイクックは7世紀前半に創建されたプレアンコール期を代表する遺跡群、2017年にはユネスコ世界遺産に指定されたことで近年は注目度が上昇している話題の遺跡群と言えるでしょうか。と、ガイドブックにあるような決まり文句を連ねてきたが、カンボジアに大挙押し寄せるバックパッカーが拠点とするシェムリアップからは少々遠いこともあり、まだまだ観光客に荒らされていない観光スポット。なんせ無人状態の広大な廃墟を心置きなく探索できる稀有な遺跡と言えるでしょう。
 
まぁ日本からの団体ツアー参加者は別として、シェムリアップからトゥクトゥク(ワゴン車)グループツアーを組むとなると、1人につき何ドル請求されるか・・・私のような貧乏バックパッカーにそんな予算はありません。そもそも片道180km以上も離れたシェムリアップからガイドやドライバーに時間をせかされながら旅するなど愚の骨頂です。シェムリアップを抜け出し、地方都市コンポントムを拠点にすれば、サンボープレイクックを含む楽しいツーリング旅行(トゥクトゥクorバイク)が待っているぜ!
 

コンポントムで移動の足(トゥクトゥクorバイクタクシー)を確保する

コンポントムはマーケットを中心に発展を見せる街のため、マーケットに行けばホテルやレストラン(食堂)など旅に必要なものはスグに見つかります。そして、旅の足も・・・そこら中からお声がかかりますよ。その中から、旅で培った眼力で信頼できそうな方を選んでください。私がチャーターしたバイクのドライバーさんは写真の通り誠実なお方。
 
彼を選んだポイントとしては、料金の安さもさることながら、サンボープレイクック以外の訪問場所を具体的に提案してくれたこと。大概のドライバーは、こちらが指定した場所(例えばサンボープレイクック)を往復するだけだと思っているが、私としてはそれではオモシロくない。コンポントム近郊の知られざるオモシロスポットを巡ってみたいのです。そんな中、彼は私が持っていた地図を指で辿りながら、おおよそのコースを説明してくれる。そんな彼が連れて行ってくれた、決してガイドには載らないであろう場所を紹介すると(具体的には次回の記事で紹介しますが)・・・

1枚目の写真は、なんと艀(小舟)にバイクもろとも載せて川を移動するのです。サンボープレイクックを往復するだけなら、こんな場所にはまず行きません。
 

気になる移動の足(トゥクトゥクorバイクタクシー)チャーター代金とルートは?

一般的には、コンポントムからサンボープレイクックを往復するだけなら10~15ドル程度が請求されるのかなと思います。ちなみに私が頼んだバイクタクシーは、サンボープレイクック以外に各所のオモシロスポットを巡り15ドル!私が理解した範囲の主なルートは「コンポントム→サンボープレイクック→ワットムープラ→プノンサントゥク→コンポントム」というもの。余裕で1日が潰れる行程でした。しかもオジサン、私が疲れた表情を見せるとバナナや木の実をくれるなど、とにかく親切!
 

サンボープレイクック巨大遺跡群を巡る

バイクに揺られて1時間ほど周囲の景色に飽きてきた頃、ドライバー氏から降りるよう促される。サンボープレイクックに到着したようです。

プラサットサンボー(Nグループ)

ここはNグループの遺跡群エリアだが、誰もいない森の中に廃墟となった遺跡が点在している空間はかなり不気味。まぁ案内標識が時々立っているので道に迷うことはないと思うが、この不安感がとても心地良いのです。
 

主だった建築物(祠堂)にはコード番号が付けられており、上記1枚目はN9、2枚目はN8という名の祠堂とのこと。中を覗くと・・・
 

神々の素晴らしい彫像が私の来訪を待ち望んでいた!ちなみに前者はN10、後者はN9の内部にあった神々(ハリハラ/ドゥルガー)。まぁ具体的な神々の情報は研究者でなければ、あまり関心がないかな?
 
さて、Nグループで必見の遺跡と言えば・・・

N18(プラサットチュレイ)のこの姿でしょう。木々が祠にしがらみ崩壊寸前の遺跡は、15年以上前に初めてカンボジアを訪れた際に見たタプロームを連想させる。宮崎駿さんが描く世界観を体現した光景にまずは言葉を失います。
 

プラサットタオ(Cグループ)

Nグループを一通り見学し、次は案内標識に従いながらCグループに向かうが、無人の密林をウロツクのはとにかく不安。そんな時、「こんにちは」という声が聞こえた気がするが姿は見えない。ヒエ~、恐怖!
 
すると、瓦礫の背後から若いカンボジアの女性がヌッと出てきた。驚かせないでくれ!彼女は上智大学に在籍したことがある研究者で、現在は遺跡の発掘・管理に携わっているとのこと。遺跡群の巡り方やおさえるべきスポットを丹念に説明をしてくれました。
 

Cグループの中核をなすC1祠堂(プラサットタオ)、彼女にレクチャーを受けた通り、玄関にあるライオン像を中心に見学する。タテガミがカワイイなとか短足がヒョウキンだなといった感想しか持てない素人の私ですが、プロの目から見たらこのライオン像は途轍もない価値を持つのでしょう。
 
昔むかし、大学院生時代に聴講した図像学の講義で先生が一所懸命に神々の細かな表象の違いを説明していたが、私は一向に関心が持てずレジュメに落書きをしていたら怒られてしまった。あの頃からまったく進歩がない私って、若々しい少年のような心をいまだに持ち続けているのだ!
 

プラサットイェイポアン(Sグループ)

彼女と別れ再び1人で密林を歩く。次に目指すプラサットイェイポアンまでは250mの標識があるが、意外に遠く感じてしまう。
 

八角形の塔が目立つエリアですが、ヒトケが全く感じられない上に遺跡の修復がまだ進んでおらず、再び喜ばしい不安がこみ上げてくる。こんな場所を探索したかったんだよという強気な自分がいる反面、言いようもしれない不安感がどうしても生じる。ここで襲われても誰にも気づかれないな云々といったネガティブな発想が、旅を楽しもうというポジティブな気分を上回ってきた。サンボープレイクックの探索もそろそろ切り上げ、バイクドライバー氏が薦めるスポットを巡ることにします。


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