カンボジアのクメール遺跡で近年バックパッカーの人気を集める場所として、まず挙げなければいけないのは「天空の遺跡」プレアヴィヒア寺院ではないでしょうか。標高625mの断崖から眼下を見下ろす光景はSNSでもお馴染みの光景かもしれない。しかも、2008年にユネスコ世界文化遺産に指定された後は、カンボジア・タイ間の度重なる戦闘の勃発により(現在は安全にも関わらず)あたかも訪問が困難な場所として喧伝されることでバックパッカー魂を揺さぶるようです。

まぁ危険な場所として認識されることで、シェムリアップの旅行業者にとっては、バックパッカーからお金を搾り取る格好のデスティネーションとしてプレアヴィヒアへのツアーを充実させているように思える。確かにツアーで行くのは楽かもしれませんがねぇ・・・1人100ドル前後の料金を支払った上、シェムリアップから片道4時間ほどかかる行程では現地でまともに観光できる時間はないはず。しかも、オールインクルーシブのツアーに参加したからといって現地プレアヴィヒア遺跡の入場料や、チェックポイント~遺跡間のバイク往復乗車代金は含まれていないことが大半で、別途に料金が請求されることを知り愕然とする人もいるのかと想うと、同情の念さえ感じてしまう。
 
シェムリアップの業者を潤すだけの過密日程ツアーに参加するくらいなら、自力でプレアヴィヒアに行きましょうよ。ただ、ここはシェムリアップやプノンペンからは遠く、日帰り観光ではあまりに余裕がなさすぎる。プレアヴィヒアから最も近い街はスラエム(現地ではスラァエムと発音した方が通じやすい)で、昨今は居心地の良いゲストハウスが何軒か建てられた、まぁ2~3泊程度までなら滞在が許せる街です。今回はプレアヴィヒア観光の拠点スラエムに滞在した記録を報告します。
 

スラエムへの行き方を簡単に紹介

スラエムまではプノンペンやシェムリアップからバス便があるのでご安心を。私が以前に書いた記事でカンボジア国内の主要バス検索サイトを紹介したので、気になる方はそちらをチェックしてみれば。ここで1点注意、目的地をスラエムと入力しても検索に乗らないので、入力する際は「Preah Vihear」と打ち込んでください。ちなみに先ほど試しに検索したところ、プノンペン(Phnom Penh)からは夜8:30発の便が1便、料金は8.75ドルと出てきました。ただ後述しますが、こんな便だけがスラエムに行くわけではなく、午前から午後にかけ便利な便があるのでご安心を。
 

私の場合のスラエムまでの行き方を紹介します

プノンペンとシェムリアップの間にある地方都市コンポントムに滞在していた私。次の目的地をシェムリアップにするのも芸がなく、以前からの憧れだったプレアヴィヒアを目的地の候補に挙げるが、果たしてこの街から行けるかどうか不安がつのります。巨大市場前の広場には机だけを設えたバスチケットカウンターがあり、そこには、いかにもやり手のバアサンが座っていた。地図を片手にバアサンに声かけ、コンポントムからプレアヴィヒアまでバスで行けるかどうかジェスチャーで尋ねると、どうも手前のスラエムまで行けば良いことが判る。う~んスラエムかぁ、当時はほとんど情報がない街で宿泊先があるかどうか判らなかったが、バアサンは「ホテルOK!OK!グーッド、GOOD!アメリカンGO!」とおそらく彼女が知る英語を連呼して僕を安心させようとします。バアサンはおそらく西洋人(=アメリカ人と表現)が以前に行ったから大丈夫だと言いたかったんだよね~(^^)
 
バアサンに聞いたのは夕方だったが、翌日なら13:00発のバスが良いから30分前に来なさいと(おそらくは)言われたはず。翌日、言われた時間に市場前に行くと、今度はやや若い男性が待っていた。彼はバアサンから話しを引き継いでいたようで、僕にOK、OK!とやはり連呼するが、肝心のバスがなかなか来ないです。何本ものバスを見過ごすうちに私のことを気にかけていたのか、バナナと水を持ったバアサンが様子を見に来る。優しいぜ!結局バスが来たのは13:30、プノンペン発スラエム行リスモニ社のバスでした。
 

スラエムに到着、ここって本当にホテルがあるの?(結論:心配はご無用)

コンポントムから4時間ほどかかり、17:30頃スラエムに到着。

バスから降ろされた場所は、だだっ広いだけの寂しいロータリー。一瞬、不安な気持ちがよぎるが、すぐ近く(おそらく100mほどの場所)にある市場街が見えているのでご安心を。
 

街中心部にあるゲストハウス、ここには絶対に泊まりたくない!

せっかく市場街に来たのでゲストハウスを探しがてらマーケットを散策。正直に申しますと、ゲストハウスはすぐに見つかりました。街中心街の交差点脇にゲストハウスが建っており、若い西洋人カップルが1組たむろしていた。一応の挨拶をすませ、空いている部屋をチェックすると・・・ここ、絶対に無理っす!薄暗く蒸れたニオイが充満した室内にはコバエがブンブン飛び回る。床を見ると・・・小さなゴキちゃんが何匹か死んでいた。いや~西洋人のお姉さん、仮に彼氏がここでイイと決めたからといって、そのような(他を探そうとしない怠惰な)男についていったら後々苦労するよ!
 

スラエムの新しいゲストハウス街、おススメです

控えめに言っても不潔な場末宿の玄関を出ると、バイクタクシーのドライバーが待ち構えていた。彼は私がここには泊まらないことを予想して、玄関前で待ち構えていたのでしょう。なんとここから1kmほど離れた場所に新しいホテル街があり、そこまでの送迎はタダでイイよと言う。ただ、オイシイ話しには当然裏があります。翌日のプレアヴィヒア送迎とのセットで、その料金は往復10ドル。まぁスラエム~プレアヴィヒアは片道25kmほど離れているので、往復10ドルなら安いもの。彼のことを完全に信用するわけではないが、話しに乗ることにします。
 

バイクで5分もかからず着いた先は街はずれの何もない場所、そこでは確かに真新しいゲストハウスが並んでいるが、人通りは全くなく寂しい。「Sok San 66」という名のゲストハウスをチェックします。
 

部屋はご覧の通り清潔そのもの。カフェ&レストランが併設されているので食事にも困らない。ただねぇ宿泊料金が1泊8ドルと、少し高い気がする…。バイクタクシーのドライバーは私をゲストハウスに連れて来ただけでホテルスタッフとは接触しておらず、ホテル紹介料を受け取った気配はないが・・・まぁここで良しとしましょう。
 

気がつくと夕陽が辺りを照らし1日の終わりを告げている。この日は、ただバスに乗りホテルを探しただけで潰れてしまったが、なぜか充実感に満たされた1日でした。翌日はプレアヴィヒア観光に出かけます。


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