今やカンボジアを代表するリゾートエリアとなったシハヌークビル。古いバックパッカーの私にとって、カンボジアとビーチリゾートというのは全く結びつかなかったが、このシハヌークビルでは昨今カジノも開業し、バックパッカーだけではなくツアー観光客(大半は中国人)にとっても脚光を浴びる街となった様子。
 
ここ最近は「水」といえばメコン川沿いの街ばかり旅をしてきた私にとって久々のビーチ、しかもタイ・マレーシア・ベトナムなどと比べればまだまだ知名度が低い、カンボジアのビーチってどんな感じなのと興味がつのるばかりです。
 

最初に正直なことを申しましょう、シハヌークビルに過大な期待は禁物!

ビーチリゾートといって何を期待するか・・・バックパッカーならキラキラの真っ青な海と白くきめ細かい砂が美しいビーチが必須条件でしょうか。それに加え、透明度の高い海に入ればサンゴ礁の林を泳ぎ回る色とりどりの熱帯魚…う~ん、最高です!
 
私たちにとっては沖縄・八重山の離島がそうしたイメージにもっとも近いのかな?まぁ身近にそうしたキラキラリゾートがあるため、ビーチとくに海外リゾートに求める期待がどうしても高まってしまう。そんな期待を抑えながら、タイ・パタヤやマレーシア・ペナンに行ってみると……これなら伊豆や南紀白浜の方がよほど美しいぜ(# ゚Д゚)と愕然とする方がいるかもしれない。そう、例えばパタヤではビーチライフを楽しむのではなく、オカマショーなどを含む娯楽レジャーを満喫するべきなのです。さらにシツコク言えば東南アジアを代表するリゾート島バリ、しかもバリを代表するビーチ、クタで海水浴を楽しむ人はほとんどいないでしょう。クタでサーフィンをしないのならば、エキゾチックなヒンドゥカルチャーや猥雑な街の雰囲気を楽しむべき。
 
と前置きが長くなったが、ではシハヌークビルはどうなのか?ビーチの状態はパタヤよりはマシでしょう。日本の夏=湘南や須磨のビーチにイメージが飛ぶ方だったら、上記写真のようなシハヌークビルのビーチ(セレンディピティ)は十二分に美しいはずです。ただね、世界のキラキラビーチを渡り歩いた猛者は別に置き、私のようなオヤジにとっても、この程度のビーチならわざわざ苦労してまで訪れる価値ナシという判断をするかもしれない。
 

 
私の記事は、自分で体験したものだけを自分で撮影した写真とともに正直に告白するのが信条です。その意味で、このシハヌークビルでビーチを中心としたリゾートライフを期待するのは、かなりキツイです。流行りのカジノは中国人向けで、私がこれまで経験した中ではトホホなレベル。ではタイ・パタヤやバリ島・クタ流の視点で比べてみると・・・

どうですか、中途半端でしょ。う~ん、ビールは(さすがカンボジア)安いですよ!ただねぇ、あまりに西洋人や中国人におもねる態度はかえって卑屈に映る。ここはカンボジア独自のカルチャーをもっと売りにすべきではと思うが、シハヌークビルの近隣に著名なクメール遺跡はなく、ポルポト時代の痕跡(キリングフィールド)も見当たらない。
・・・⇒
でもねぇ、この中途半端さこそがシハヌークビルの魅力だと割り切ってしまうと、けっこう楽しいのだ。中途半端に美しく中途半端に汚らしい、中途半端なレジャー、中途半端な宿や食事(コスパ面の話し)、中途半端なカルチャー体験・・・いやぁ、これほど中途半端なリゾート地はそうそうないはず。繰り返すとパタヤやクタはビーチとしての魅力には乏しいが、あのリミットを振り切ったスッ飛びぶりがとてつもない魅力なのです。翻ってシハヌークビルは、海外リゾートに抱く期待を見事に裏切る中途半端さがかえって魅力的。ここには何も期待せず、それなりに美しいビーチでそれなりに楽しいリゾートライフを、それなりに楽しむことこそ、正しいシハヌークビルの滞在の仕方なのではと思ってしまう。例えば、私たちが小中学生の頃に体験した林間学校・臨海学校・修学旅行の類が当てはまりそう。
 
今回の記事は、シハヌークビルを一見ディスっているように見えますが、私は存分に褒めたたえているのです。リゾート地を評価する要素として、環境の美しさ・レジャー・ショッピング・カルチャー・ホテル・食事…などがあり、それらの総合点で勝負するリゾート地もあれば、どれか1つや2つの要素に特化し評価されるリゾート地もあるのでしょう。ただね、いずれのポイントでも中途半端な評価しか出せないリゾート地、つまり凡庸さを売りにするリゾート地というのは、なかなか思いつきません。凡庸なビーチリゾート・・・魅力的に感じませんか?なにせ、シェムリアップなどで壮大なクメール遺跡をいくつも見学し、プノンペンではキリングフィールドなどクメールルージュによる残虐な光景を目の当たりにする、そんな強烈なインパクトにばかり囲まれたカンボジア旅行の中で、凡庸な空気に身を浸すのもケッコウなこと。何もせずにビールを片手に凡庸な海を見つめ、時にはカンボジアの少年少女、時には赤ら顔の西洋人とドウデモヨイ会話を交わす・・・癒されます。


<スポンサーリンク>