ルアンパバーンではラオス正月「ピーマイラオ」を十二分に堪能した私。ミス・ルアンパバーン(ナンサンカーン)の方たちやモン族・カム族などエスニックグループ選抜の美少女たちに癒されると、もうこれ以上ルアンパバーンに滞在する必要はなくなる。もろもろの熟考を重ね、以下のルートでベトナムのフエに抜けることを計画しました(前回記事にも記載)。

    〇ルアンパバーン発→<ツーリストバス>→バンビエン着(泊)
    〇バンビエン発→<ツーリストバス>→ビエンチャン着/発→<夜行バス>(泊)
    〇<夜行バス>→サワンナケート着(泊)
    〇サワンナケート発→<国際バス>→フエ着(泊)

これでも十分に余裕をとった計画のつもり。なにせ、ルアンパバーンからフエまで3泊(うち1泊は夜行バス)もかけて行くのです。時間のないバックパッカーならビエンチャンから、ケオヌア/カウチェオ経由でベトナム・ヴィンに抜けるのが一般的なコースかもしれない。ヴィンまで行けば、ベトナム北部(ハノイ)にもベトナム中部(フエ)にも容易に行けます。また、仮に苦行好きのバックパッカーならタイチャン経由ディエンビエンフーというルートもあるが、残念ながら私は修行僧ではないため避けるべきルート。ストレスを溜めながら苦悶の表情でわざわざ旅を続ける、いい歳こいたオヤジって想像するだけであまりに見苦しい・・・。今回はなるべく楽なルートのうちから、ラオスの寝台バスに乗るというアトラクションを踏まえサワンナケートに抜けることにします。
 

まずはビエンチャン、メコンの河原に築かれた砂の城に驚く(粉塵がスゴイ!)

ビエンチャンは昼過ぎに到着。すぐに馴染みのゲストハウスに顔を出し、本日のサワンナケート行き夜行バスのチケットがとれるかどうか相談をしてみるとOKとの返事。実はラオス正月を終え人々の移動が活発な時期、バスターミナルでチケットを確保できるかどうかチョッピリ不安だったんですよ。
 
ゲストハウスで言われた寝台バスのチケット料金は150000キープでゲストハウスからバスターミナルまでの送迎込み。これは正規料金が120000キープ(約15ドル)であることを考えれば絶妙な値段設定です。ゲストハウスはビエンチャン中心街のナンプ広場にほど近い場所にあるが、ここからビエンチャンバスターミナルまでトゥクトゥクで行くと下手したら50000キープはかかる。まあ市内バスに乗り込めば5000キープだが、なにせ時間が読めない。しかも荷物も保管してもらえるし……ということで、ゲストハウスでバスチケットを購入。お気楽な旅です。
 
夜まで時間があるので、メコン川の河原に出ると・・・

巨大な砂の像がいくつもあり見応えは十分。ラオスの人々、確かに正月を記念したモニュメントとはいえ、これだけのものを作るとは手先が器用だね。
 

ただね、乾季真っ盛りの広々とした河原には粉塵が舞い散り、呼吸をするのもキツイほど。本来は快晴の天気のはずが、霞む空に浮かぶ太陽ってまぁ人によっては幻想的と言える光景かもしれない。
 
しかしこれから夜行バスに乗るのに、すでに身体中が砂まみれというのは耐えがたい事実。ゲストハウスに戻ると、強風で乱れた私の髪や服を見かねたのか共同シャワーを浴びてもイイよと言われる。う~ん、やはり顔馴染みの場所をつくっておくのはイイことです。アリガトウ!
 

一応の注意喚起、ジョイントチケットの購入は私ならおススメしません

例えばルアンパバーンやバンビエンからラオス南部の街やタイ、ベトナム、カンボジアなどへ向かう際、ビエンチャンなどの経由地でいったんバスを乗り換える必要があり、乗換えの都度チケットを買うのは当然のこと。ただ、こうした作業を面倒に思う方が多いのか、ラオス街なかの旅行代理店では乗換分のバスも含む目的地までの通しチケットの料金表がボードに記されているのをよく見かけます。

上の写真はラオス南部の街パクセで撮影したもの。ご覧の通り、パクセからバンビエンやルアンパバーンといった街までのチケット料金が掲載されているが、いずれもパクセから直行で行ける街ではなく、ビエンチャンで乗り換える必要があります。
 
ただね、このジョイントチケットに関する悪い噂は後を絶たず・・・通しで買った方が別々に買うより料金が高いなんてカワイイレベルの話し。よく聞いた話では、例えばビエンチャンで乗り換える先のバスチケットが全くの偽物というもの。出発地からのバスには問題なく乗れたので、乗換え地でも問題がなかろうと思っていたら、経由地のビエンチャンに着いてから「あなたのチケットでは、どのバスにも乗れない」と言われるケースが後を絶たないらしい。ただでさえ、ビエンチャンでは南北のバスターミナルがあり、その間の移動が面倒くさいからジョイントチケットを購入しようと考える方が多いと思うが、ターミナル間移動の足も用意されていないばかりではなく、その先のバスをいくら探しても乗れないなんて・・・悲惨!
 
当然、真っ当な商売をする旅行代理店が多数だと思うが、こうした体験を実際にしたという方が複数人いたことを考えると、かなり大規模に行われている詐欺商法と考えていいのでは。とりあえずの注意喚起でした。
 

ラオスでは初体験の寝台バスに乗車、意外な隣客に危機感を抱く

私の場合、過去には中国やベトナムで寝台バスに乗車したことがあるが、いずれも横幅が狭く寝返りを打つのが難しいほど。とくにベトナムのものは寝台バスとは名ばかりで、とにかくひどかった!

ちなみに少し判りにくいですが、上の写真は2000年と2009年に中国で乗車した寝台バス。2000年に乗った、まさにゴザだけが敷かれたような車両は汚らしいが完全に横になれて楽……ではないのです。当時は道路状態がひどく、大げさに言えばトランポリンに乗ってホッピング、そんな状態を楽しめる方にはおススメできるレベル。
 
これが2010年代の寝台バス(ラオス)になると、どれだけ進化しているのかといえば・・・

まぁだいぶ明るい車内になったし清潔感もあります。ちなみにバスには搭乗口で靴を脱いで乗る、日本家屋方式。この写真を撮影した時はひょっとしてガラガラなのかと内心ニンマリ……のはずがない。ただ単に僕が一番始めに乗り込んだだけで、その後は満員盛況、1人分のスペースを2人で使う事態となりました。ここで忘れやしない大ネタを披露・・・
 
私の隣りに来た方は、ピンクで統一したピチピチファッションに身を包み、女性らしい香りを撒き散らす。まさか1つの寝台スペースで男女一緒なんて許されるの?長い髪に後姿だけを見れば近眼の私にとってはステキに映る。が、うん、よく見れば……カツラが浮き上がる姿と野太い声が印象的なオッサンでした。いや~バンコクならあり得そうなシチュエーションだが、まさかのラオス。ここでオッサンと1つの寝台で身体を寄せ合うとは何たるドラマか。バス車内という公共の場、カーテンも取り付けられていないオープンな場所で妙な方向に発展することはないはず。
 
オッサンは愛想よく私と挨拶を交わすが、こうした方は気を許すとドンドンこちらの懐に入り込もうとする習性があることを過去、身をもって(複数回)経験した私。油断をすると、身体を密着されてエスカレートといったことが起こらないとも限らない。いや~バイアスがかかりまくりで申し訳ない!
 
私も挨拶程度は交わすが、その後の会話はほとんどしなかった記憶がある。自分の荷物をオッサンとの間に置いてバリアを築く。ただでさえ狭い寝台スペース、男2人が横になるだけで一杯いっぱいなのに、2人の間に荷物があるとなるとお互い身体を横向きにしなければ、それこそ身体が触れ合ってしまう。オッサンと私は(たぶん)尻を向け合う形で、寝返りを打つことも控えながら寝ていたはず。
 
う~ん、この夜、妙なことは一切起きなかったが、もう一度言います。申し訳なかった。考えてみれば、オッサンはただ女装をしているだけで、私のようなある程度はオープンマインドをもつ者にまで警戒をされてしまうのです。卑屈な笑みをこちらに向け、いかにも私の顔色をうかがうオッサンは、常日頃から卑屈な態度を周りにとっていることが想像できる。そんな状況って悲しすぎる。
 
早朝サワンナケートに無事到着、女装のオッサンも一緒に降りたので、一応はバイバイと別れの挨拶。言葉を交わすことはほとんどなかったのに、今でも決して忘れられない奇妙な一夜となりました。


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