ラオス・サワンナケートから国境越えバスに乗りたどり着いたフエの街、私にとって4度目のベトナム来訪だが、フエやダナン、ホイアンを含む中部エリアを巡るのは始めてです。ちなみにフエと言えばグエン朝の都がおかれた都市、中華王朝の冊封下で発展した街には、中華王宮(北京の故宮)を模したといわれる王宮や、郊外にある歴代の皇帝の陵墓が見どころ。と、歴史を辿れば非常に興味深い街なのですが、ラオスからはるばる陸路で到着して早々、歴史散歩をするというのは疲れます!
 
ちなみに、私は歴史や政治にはとても興味があり神社仏閣・遺跡を巡るのは大好きですが、そればかりではさすがに飽きてしまう。例えばカンボジアのシェムリアップに滞在して、アンコールワットやアンコールトムなどを大回り・小回りツアーで巡った後、トゥクトゥクのドライバーや(経験はないが)旅行代理店の方の営業攻勢(次はさらにマニアックな〇〇遺跡へ行きましょう!)ってウザい。ただでさえ遺跡の広い敷地内を歩き回る遺跡巡りは、とても疲れるのです。しかもよほどバラエティーに富む場所ならまだしも、同じような景観で、同じようなデザインで、同じような人達と、同じような会話をしながら、あの遺跡の歴史的価値はどうだ、この遺跡の意匠はこんな点が微妙に異なる・・・なんてガイドの話しを聞かされたって1時間も記憶は持ちません。
 
突然ですが、問題・・・下の写真はシェムリアップのトゥクトゥクツアーでまわる基本的な遺跡だが、それぞれの名称は?

答)トマノンとタソム、2012年に撮影。私は頑張って自転車で街なかから行きました。
 
実は私にとってフエやホイアンに対する事前の印象はそんなもの。ガイドブックにでかでかと出ている寺院や遺跡をいくつも巡ったところで、その日の夜、飲んだ後には「あれ、今日行った場所ってどこだっけ?」「ガイドブックに出ているあの場所って行ったかな」と頭がグルグルになる。翌日に同じ場所に再び行ってしまうオチまでつくかもしれません。まずは街の輪郭をつかむためにも、自転車で気のおもむくままに散策を楽しみたいと思います。王宮や陵墓の探索は、その後にまわそうっと!
 

まずは宿の近くの路上カフェで、朝の街をウォッチング

ベトナムのカフェと言えば、まず思いつくのはベトナム各地に展開するカフェチェーンのハイランズコーヒー(HIGHLANDS COFFEE)ですが、ここでは紹介するのはそんなオシャレカフェではない。と言いながら・・・

つい疲れたら入ってしまうんですよ。ここでベトナムコーヒー&バインミーにケーキをオーダーすれば、気分は上々!ただフエにあったかどうかは定かではなく、写真はダナンで撮ったもの。
 
ではフエ滞在の習慣になったモーニングカフェは・・・

どうですか、イイ感じでしょ!人の往来がかなりある通りにいくつもプラスチックイスを並べカフェを営業している。イスがとにかく低いのが特徴的。コーヒーを頼むと、ジャスミン茶と一緒に例のベトナム式ドリップで抽出したものが、コップにほんの少しだけ注がれ運ばれてくる。とにかく量が少なく面食らうが、これコーヒー原液でとにかく濃い!濃すぎて飲めないほどです。実は同時に大きな氷が運ばれてくるが、これがコップには入らない大きさ!う、どうするの?
 
地元の方の様子を見ると、氷がコップに入るほどの大きさに溶けるまで気長に待っている。ある程度の大きさまで溶けると、溶解した水を注いでコーヒーを薄めたり、氷自体をコーヒーに浮かべて飲んでいる。こんな街なかの朝、雑踏を急ぐ(?)人を見ながら悠長に氷が溶けるのを待つ、う~贅沢な時間!
 
ちなみにこの路上カフェは私の宿泊先のすぐそば、ハノイ通りとチャンカヴァン通りの交差点辺りにあったが、路上カフェ自体は街のあちらこちらにあるので簡単に見つかります。
 

脇の通りに入れば、シジミご飯の有名店が見つかる

路上カフェのある交差点から細い道に入ると、食堂が何軒か並ぶ通りとなる。そのうちの1軒は毎朝早い時間から開き、いつ見ても地元の人がひっきりなしに通う店。僕も入ると、なんと日本語のメニューが壁に書かれ驚き!帰国後『地球の歩き方』を見たら、やはり掲載店でした。

シジミご飯が名物の「ニョー Nyo」という店らしい。『地球の歩き方』の解説をそのまま記せば「ピーナッツやバナナの花のつぼみなどさまざまな具が載り、食感が楽しい」うんぬんとあるが、僕の口にはあまり合わなかった様子・・・。
 

シジミご飯で満足できなかった私は、市場でおいしいベトナム飯にありつく

シジミご飯、私の鈍感な味覚には合わなかったが、まあベトナムの方に大人気ならヨロシイかと。他にフエ名物といえば「ブンボーフエ」という麺(ブン)が有名だが、こちらも・・・。まぁ名物に×××なしという格言が思い浮かぶ。私、ベトナムの麺(ブン)料理なら「ブンチャ」がダントツに好きです。
 
せっかく自転車に乗っているので市場散策といきます。フエ中心街では王宮にほど近い「ドンバ市場」と、フエ大教会やアンディン宮にほど近い「アンクー市場」の2つの市場がありますが、王宮は後日行くのでまずはアンクー市場を目指します。
 

一応は見学をしたフエ大教会とアンディン宮(安定宮)、これらも街なかの観光スポットで詳細に紹介したいが、今回の記事では華麗にスルーします。
 

そういえば近くにはカオダイ寺院もあった。カオダイ教の象徴と言えばあの巨大な眼「天眼」。以前、ホーチミン郊外のタイニンという街にあるカオダイ教本部を訪れたことがあるが、新興宗教らしい得体の知れない不気味さよりは、明るく賑やかなベトナムらしい熱を感じたことを思いだす。
 

と、そうこうするうちに市場に到着。東南アジアらしいエネルギッシュな市場風景を見るとホッとするが、気が付けばもう昼、オイシイ市場飯を求めて市場の建物に入場。
 

ベトナムの市場で見つけるチープな食にまず外れはありません。ライスペーパーに巻いた生春巻(ゴイクオン)は日本人がイメージするベトナム食の代表選手、きれいに巻かれたゴイクオンはマズいはずがない。ところが、こちらの春巻は乾いたライスペーパーではなく、艶めかしく湿った状態。剥がすのにコツがいる。しかも素人が巻くと汚らしくなり、売り物で並ぶものと味にも雲泥の差が出てしまう。最初に自分で巻いてみるがハッキリ言って下手くそ、オバチャンが見かねて、残り全てをうまく巻いてくれる。一口頬張ってみると味の差は歴然、オバチャンあなたは世界有数の料理人だよ!
 

フエのステキなスナック飯はさらに続く

市場で食べた茹で豚肉の春巻に満足し帰路につく。ただね、帰り道でも禁断の光景を目の当たりにする。

アンディン宮の裏道にあたる場所を走っていると、店先でご老人と娘さんが何やらスバラシイものを作っている。先ほど食べたばかりで腹は減っていないが、これはトライせねば二度と出会えるものではない(大体、ここに来た道を覚えていない)。

この料理はバインベオという、やはりフエの名物スナックらしい。米粉の生地に干しエビがちょこんと上にのり、いかにもカワイらしい。一皿分を一口で頬張ると・・・ウマい!出来立てのまだ熱いバインベオがノドを通る瞬間は、いま流行りのタピオカなんて目じゃないステキな食感。つるんとした喉越しに得も言えぬ幸せを感じたのでした。
 
ついでに、もう一つフエのおススメスナックを紹介・・・

こちらはバインコアイ、ベトナム版お好み焼きバインセオのミニ板とも言えるスナックで、カリッとした食感がとても良い。いや~ベトナム、やはり美食天国です。


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