スイカって時間がたつと、身がスカスカ、フカフカになってしまって、はっきり言っておいしくない!まぁ、デザート好きの方なら、ジュースにしたり、ケーキにしたりと利用法はありますよね。ちなみに、タイで飲むスイカジュース、私は一番好きなフルーツジュースです!また、スイカの皮を漬物にする地方があるようですね(ネットで検索すると、熊本県のようです)。
 
ただ、こうした利用法は、あまりにも当たり前。日本ってフルーツを料理に使用することって、あまりないですよね。しかし、スイカを料理に使い、実際においしい逸品として提供する国(エリア)があるのです。え、それって気持ち悪~い・・・なんて声が聞こえてきそうですが、スイカだってウリ科の立派な野菜(!)、「南瓜」のカボチャは料理の食材なのに、「西瓜」のスイカが料理に使えない、こんな先入観は捨ててしまいましょう!

 

中国ウイグル地方で、その料理に遭遇。まずはウイグル料理を見ていきましょう

ウイグル地方は、中国でも特異なエリアとしてご存知の方も多いと覆います。住民の多くは、トルコ系民族のウイグル族やカザフ族など、西洋人のような彫りの深い顔立ちの方で、イスラム教を信仰しています。食する料理は、トルコ系遊牧民の方が良く食べる、羊肉やトマトをベースにしたもので、ピラフや、麺料理ラグメン(Lagman:ラグマンともいう)、羊の串焼き(ケバブ)などをよく食べています。
 

どうですか、おいしそうな料理が並んでいます。
 

また、ウイグルと言えば「パン」。これらの写真のように、おじさんがその場で焼いてくれる、この大きな大きなパンは、焼き立てのうちは本当に素敵!ただ、時間が経つと硬くなってしまい、凶器にも使えそうです。
 

ブドウの産地としてウイグルは非常に有名で、あちらこちらで干しブドウの貯蔵施設があります。また、スイカやナッツなどを食すことが多く、乾燥フルーツが市場で大量に売られています。
 

では本題、スイカを使ったラグメンを紹介します
まずは、ラグメンについて解説です

実は私、麺料理がかなり好きで、世界中の麺料理を研究したいなどという野望をもっていました。今回紹介する「ラグメン」とは中央アジア、つまり、ウイグル地区(=東トルキスタン)やカザフスタン、ウズベキスタンなどトルコ系民族を表す「スタン」がつくエリアで非常にポピュラーな料理です。
麺は小麦の平打ち面が一般的で、トマトベースに、羊肉と野菜、唐辛子を入れたものがよく出されています。スープ麺の場合、「ラグメン」と言われていますが、汁は少なめのことが多く、やや汁気の強いパスタのような感覚で食べられます。
味は、とにかくうまい!そりゃ、トマトベースのミートソース味で(トマトや羊が嫌いじゃなければ)不味いわけがありません。麺は太い平打ち麺なので、かなりコシのある食感。日本の麺料理で例えれば、讃岐うどんの麺をやや太くした食感でしょうか。
 

スイカ入りのラグメンに、話題がやっと入りますね

2011年、新疆ウイグル自治区のクチャ(中国語では「庫車」と書きます)という街で、何気なく入った食堂。「ラグメン」は好きですから、何も考えずにオーダーをしました。しばらく待ち、でてきたものは、通常食べるものより赤みが濃く、おそらくトマトやパプリカをふんだんに使っているのだろうと(見た目にもそうでした)思い、口に運んでみたら・・・甘みが強く、奥深いコクを感じさせる味でした。トマトでここまでの味は出せないと思い、レストランの主人にどんな食材を味付けに使っているのか聞いてみました。すると・・・「西瓜(北京語の発音でシーグアxigua)」との返事!これはやられたと思いましたね。熟した赤いスイカを料理に使う発想は見事なものだと思いました。汁気が出る上に、サッパリとしながらも深い甘み(矛盾した表現ですな)、しかも溶け込んでしまっているため身は隠れてしまっている・・・おいしかったです。
 
主人に、こうしたスイカを使った調理法は一般的なのかどうか聞いてみたら、「まぁスイカを使った方がおいしいからね」という返事。しかし、私の英語&中国語(北京語)では詳細な情報が聞きだせず残念でした。ちなみに、私はウイグル語は全く解しません。
 
 
海外に出ると日本の常識にはとらわれない、素晴らしいものにたびたび出会います。料理もその1つ。フルーツを料理に使うなど邪道だと思わず、試してみましょうよ。そう言えば、酢豚に入っているパイナップルを邪道だと思う人、意外に多そうですよね。スイカ入りのトマト麺(パスタ)は、それより違和感はないと思いますよ。


<スポンサーリンク>