少々古い話題になりますが、欧米人の日本観光に関する記事で大きな話題を呼んだものがありました。2018年2月、Diamond Onlineに掲載された、ノンフィクションライター窪田順生氏による記事『「日本は退屈な国」欧米人アンケートの衝撃結果に挑む観光庁の勝算』というものです。記事によれば、欧米人にとっては「日本には『富士山』『桜』『寺』があるくらいで、長期間滞在する旅行先としては退屈だと思われている」らしいとのこと。このアンケート結果に観光庁は衝撃を受けているらしい!?
 
しかし、この記事をよく読むと判りますが・・・、アンケート結果と言うが、どのアンケートなのか、一次データの引用元が全く示されていない。論拠が田村観光庁長官の発言という体裁をとっていますが、いつコメントしたものか・・・といったように出典を明確にしていない点は不親切です。ただ、権威ある賞を受賞したことがあるノンフィクションライターの方による記名記事なので信用します。田村長官の発言の裏づけとなるデータは自分で探せということでしょう。と、まぁ、窪田氏の記事に対する感想はここまで。
 
ただ、ネット上で「日本はつまらない国」という文言をことさらに取り上げて、何らかの主張をすることは、あまりにも痛すぎる。しかも、その根拠が、この窪田氏の記事というのはお粗末すぎる!まぁ、日本をディスるような主張は無視するとして、ネット上では、例えば「欧米人にとって日本はつまらない→→→欧米人向けの安宿をつくれ/欧米人向けのバーや風俗施設を増やせ/英語をみんなが話せるようにしろ/忍者や侍を増やせ…etc」といろいろな発言が出ていますね。
 
こうした意見に対し、私の考えを述べさせていただくと・・・貧乏外国人や、日本にお金を落とさないバックパッカーの方は、無理に日本に来ていただく必要はないのではと思うのですが。
 
今回の観光庁アンケート、一次データを見ていないので何とも言えないのですが、クロスデータ分析が表に出ることは稀ですので、ここからは私の推測を交えた文章を書きます。仮にデータがあれば日本に不満を持つ層がどういった人たちか最低限チェックしたいものは・・・
 
 ・どの国から来たか、その国別に
  - 日本での滞在日数は
  - 日本での支出金額は(日別の金額、総額、内訳)
  - 日本での観光目的は
 
といったことでしょうか。仮に「短期間、ナンパや性風俗を目的に来日している、日本での支出金額が低い欧米人」が不満を持っていたとしても、そんな要求にこたえる必要はないでしょう。そういえば、つい最近、民泊施設を泊まり歩いていた欧米人が、日本国内で若い女性を殺害した事件がありましたよね。また、電車内で執拗に女性にキスを迫り強制わいせつで捕まったが、日本の裁判で慣習の違いということで無罪になった外国人もいました。こんな素養の方が、日本に来る方がよほど問題です。
 
 
つまり、私が何を言いたいか・・・仮に、日本旅行に対する欧米人の不満がデータで顕在化していたとしても、それを表面的に捉えるのではなく、どういった層が不満を持っているかを明らかにしてほしいことです。ちなみに、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」を見ると、欧米人、とくにドイツ人の消費金額がかなり低いことが判ります。日本にお金を落とさない方のために、こちらが大金を支出して環境を整備する必要は本当にあるのでしょうか・・・?
 
私自身、外国へバックパッカーとして旅する立場であり、日本に多くの外国人が訪問するのは大変よろこばしいことです。そして、日本国内でいろいろなエスニック体験が手軽に楽しめる場が増えれば、なんて素敵なことかと。
 
ただ、問題は、どのような外国人に来てもらうかということです。日本の治安に影響を及ぼすようなことがあっては絶対にいけません。罪を犯すまではないが、日本にお金を落とすことなく、ナンパ先の相手宅で寝泊まりするような外国人、盛り場で大騒ぎして道をふさいでいるような外国人・・・う~ん、こうした方、日本に来ないでイイよ。
 
ちなみに、窪田氏は欧米人が多く訪問する国としてタイを例に出していますが、日本にカオサンやパッポン、ナナプラ、ソイカウボーイはいりません。今や、LCCでバンコクまで非常に安く行けるのですから、わざわざ日本でそうした遊びをする必要はないでしょう。そう言えば、『文明の衝突』で有名なハンチントン教授は世界の文明として日本文明を取り上げていましたよね(中国やインドとは切り離した、オリジナルな日本文明が本当に存在するかどうかは議論の余地がありますが!)。日本のオリジナルな文化(文明)を吟味し楽しめる外国人が多く訪問するのなら、私も大いに歓迎します。


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