サラリーマン時代の私は確かに忙しく年の半分は200時間前後の残業をこなしていました。働き方改革が叫ばれる昨今のご時世では、まあ許されない労働環境ですね。ただその分、1週間以上の長期休暇を年に4~5回はとれる環境にもあり、離職率はかなり低かった職場だとは思います。
 
そんな当時の2009年2月、1週間程度の休暇をとれたことで妻に相談をすると、ヨーロッパに行きたいと言い出す。え、確かに冬のヨーロッパは夏と比べ出費は少ないかもしれないが、私は寒い場所がとにかく嫌い。できれば東南アジアでゆっくりリゾート生活と思うが、夫婦円満の秘訣は何と言っても妻の意見を最優先に採り入れること。ここで下手に逆らったとして、仮に東南アジアで何らかの不手際が生じたら、後から何を言われるか分かったものじゃない。他方、仮にヨーロッパでヒドイ目に遭っても、妻の提案であれば彼女の自己責任の範疇で、こちらに文句の飛び火が蔓延することは抑えらえれるのです。
 
仕方がない、冬のヨーロッパ…(微妙)となるが、そこには私の意見も反映させます。ヨーロッパと言いながらアジア(できればイスラム情緒)のエッセンスを味わいたい。しかも、ドイツやフランスと比べよほど暖かい場所と言えば・・・これはトルコでしょう。トルコと言えばイスタンブール、庄野真代さん(古い!)が私を手ぐすね引いて待っている。「おいでイスタンブール、人の気持ちはシュール、だから出会ったことも蜃気楼、真昼の夢。好きよイスタンブール、どうせフェアリーテール、夜だけのパラダイス」イスタンブールに飛んでみましょう。
 

イスタンブール数々の観光スポット・・・残念ながら紹介しません

「ヨーロッパとアジアの架け橋」を世界で唯一体現する街イスタンブール、その歴史はビサンツ帝国成立前後から1300年ほど、ギリシア正教からイスラム帝国に至る都として繁栄を遂げた街。しかも当時の姿をしのぶ遺産も数多く残され、この街の歴史的名所を散策するだけで十分に素晴らしい。アヤソフィア、ブルーモスク、トプカプ宮殿etc……私たちも当然行きましたよ。ただねぇ、そうした観光名所の紹介は他の方のネット記事やガイドブックに任せます。今さら2009年の観光情報を公開したところで、しょーもないしね。
 
それよりもやぱり、ここは「飛んでイスタンブール」。庄野真代姉さんの艶っぽい歌声は子供だった私の脳幹を刺激し、イスタンブールに対し妙な憧れを植え付けてしまった。エキゾチックでシュールな怪しさが魅惑的、夜の街を一人出歩けば・・・まぁ妻が同行しているわけだし危険な出会いは期待しません。が、ほんのちょっとでもその片鱗を味わいたい!
 

イスタンブールで出会ったネコたち

まぁネコと言うからにはカワイらしい小悪魔女の子(例えば夜の女性でしょうか)を連想しがちですが・・・繰り返すが妻同行の旅で変な話に発展することはありません!ここは本当に動物のネコちゃんたちとの触れ合いをテーマにします。
 

イェニ・ジャーミーで出会ったネコ

アジアとヨーロッパを隔てるボスポラス海峡を間近に控えるガラタ橋、そのたもとにあるイスラム寺院(イェニ・ジャーミー)で休憩をとっていた私たち。ふと横を見ると、他の猫たちにイジメられていた一匹のデブ猫がいました。こいつがとにかく情けない猫で、近くに転がっていたエサらしきモノに近づいたかと思うと、脇から走りこんできた猫に「シャー」と言われエサを取られてしまう。その後も別の猫にひっかかれたりする、そんな姿を見かねた妻が「チョッチョッチョ」と声をならすと、デブ猫は急いで膝の上に乗ってきた。他の猫がエサを貪る間、妻の膝の上で休んでいたデブ猫。お前ねぇ~そんな臆病だからイジメられるんだよと心の中で説教をするが、こいつにそんな気持ちは届きません。
 
しばらく経ち他の猫たちが去ったのを見計らい、デブ猫も妻の膝の上から離れる。驚いたのはここから、何とデブ猫は急に境内のハトたちを妻の前で追いかけ始める。その姿はまるで「俺って実はこんなに強いんだぜ」と威勢を張っているかのようで、かえって情けないよぉ。しばらくすると弱りきった小さなハトを口にくわえて妻のいる方向に駆け寄ってくる。まぁ自慢の品を見せたいのでしょうが・・・さすがにこいつの相手をしてもイイことはないはず。私たちとデブ猫は見ず知らずの他人同士、オマエなんか知らないよといった素振りを示しながら、急いでその場を立ち去りました。
 

ステキな家々が建ち並ぶ一画へ私たちを導いたネコ

いくつかのジャーミーやカーリエ博物館へ行こうと思い立った小雨の降る朝、人ががまばらな下町の雑踏を歩いていたところ、道に迷ってしまった。トルコ人の大多数は親切で道を聞けば詳しく教えてもらえるものだが、人がいない中では対応しようがない。う~ん困った・・・途方に暮れていると、そばでニャ~と鳴く声が聞こえる。いましたよ、まだ大人になりたてのカワイらしいネコちゃんです。妻が近づきしゃがむと、即座に膝に飛び乗ってくる。いや~トルコのネコって本当に甘えん坊。ちなみに末っ子気質の私もこの”甘え”には自信があり、学生時代には「甘えん坊将軍」(暴れん坊将軍のオマージュ)と呼ばれていました。
 
甘えん坊同士で気が合うのか雨の中じゃれ合いをするうち、いつしかコイツはスクっと立ち上がる。そして私たちを促すかのように歩き出したのです。コイツについて行こうとしないと見ると、ペタッと座りミャ~ミャ~うるさく鳴き、私たちを急かす。仕方なく、コイツの後ろをついて行くと、とてもステキな家々が並ぶ場所につれて来られました。ここでやっと人に道を聞くことができ、私のノーマークだった「テオドシウスの城壁」という名跡がすぐ近くにあることも教えてもらえる。ネコにお礼でも言おうかなと思い周囲を見るも、彼はすでに消えていました。
 

カーリエ博物館で出会ったネコ

ここのネコは特筆すべきエピソードはアリマセン。ただ、これほどの甘えん坊のネコはそうそうお目にかかれないのではと思い記します。カーリエ博物館には何匹かのネコが住みついている様子で、中には西洋人のお姉さんにずっとくっついているネコもいた。ただねぇ私たちが出会ったネコは異常に甘えん坊。妻がしゃがんだところ胸元に飛び込んできて、一所懸命コートの内側に潜り込もうとする。いや~そこが暖かいのは知っているが・・・このエロネコ!まぁネコに嫉妬するのもいかがなものかと自省する私でした。
 
 
とにかく甘えん坊が目立つイスタンブールのネコたち、ネコ好きにはたまらない素晴らしさ!それに引き換え、日本のノラ猫たちの愛想なしときたら・・・こちらをずっと見つめているのかと思い近づいてみると、すぐに逃げ出してしまうノラ猫。少しはイスタンブールの同類を見習ってもらいたいゼ!


<スポンサーリンク>