いざ旅を始めるとなると気になるのは、いくらくらいのお金が必要になるかということでは?

1週間程度の短期個人旅行なら「まぁ、10万円も持っていけば十分かな?」なんて気軽に考えればよろしいですが、数週間以上の長期旅行なら、いくら持ち込むか非常に気になります。とくに学生さんなどのバックパッカー旅行なら、それによってバイトをする時間が変わってくるかもしれず、とても気になりますよね。
ただ、予算設計ができていないバックパッカーの方ってよくいるんですよ。「1日1000円以内」なんて言って旅行を始めたのはいいけれど、それで貧乏旅の無理が祟って身体を壊す人、う~んよくあるパターン。また、そもそも計画性がないから、他の旅行者からお金を借りたり奢ってもらったり、地元の人を値切り倒したりして迷惑をかけてまで旅を続ける人……こんな人が何か人生訓を垂れたりして・・・笑ってしまいますよね。

今回は、東南アジアを旅行するのに、必要な予算について考えてみたいと思います。

 

バックパッカーの方たち、タイを基準に予算を考えてみましょう

東南アジア各国の物価水準を考えた場合、一番安い国から高い国を左から右に並べた場合、概ね次のようになるのでは。

A「カンボジア=ラオス」< B「タイ=インドネシア=ベトナム ≦ ミャンマー」< C「マレーシア」

(例外は「シンガポール」で、宿泊代など日本並みの予算が必要。「フィリピン」は、バックパッカー旅行の場合、島ごとの移動費がかかるので除外)

この国別の予算傾向を見て納得していただけると思いますが、タイやインドネシアが含まれるグループBの国々が中央となり、グループAの国々はその9割くらいの予算、グループCは2割増しくらいの予算がかかると思えばよろしいと思います(例えばカンボジアは観光入場料が高いなど、国別の詳しい予算傾向は後ほど論じます)。

 

何にお金を使うか、あらかじめ想定をしておきましょう

バックパッカーって何にお金を使うのでしょう。日本からの往復の渡航費、カメラ・通信機器などの耐久財、お土産代などは別にしてお考え下さい。

1)宿泊費 2)食費 3)交通費 4)観光費(入場料など) 5)ビザ(入国)費 6)その他雑費

これらの費用は、全て(固定費ではなく)変動費なので、現地に行ってみなければ判らない予算です。ただ、旅行でどうしても行きたい目的地や国がある場合、「4)観光費」や「5)ビザ費」は固定費(あらかじめ判っている費用)になるので、別に準備すること。また、飛行機移動をする場合、とくにLCCを利用する際は、日本にいるうちからキャンペーン情報に目を光らせ、事前に支払いを済ませましょう。

「1)宿泊費」「2)食費」は完全に変動費用となり、安く済ませようと思えばいくらでも安くなるし、お金をかけようと思えばいくらかかるか判らない費用です。今回の記事はバックパッカー向けですが、お金を切り詰めることだけを考えていては、そのうち身体ばかりでなく精神も壊してしまうかもしれません。

前置きはこれくらいにして、本題の国別に見たおおよその予算を明らかにしていきます。

 

旅行に必要な予算の傾向

タイ: 旅全体の予算を考える際、タイでいくらくらい使うかが、その後の基準になります
宿泊費:人によって一番予算が違います
貧乏旅なら、1泊700円(約THB200:200バーツ)以内に抑えることが目標
  • タイでは、安い宿はいくらでもあります。バンコクならカオサン界隈、チェンマイやチェンライなど北部観光都市でもTHB200以内の宿は、(全て満室でなければ)おそらく見つかります。
  • ただし、この予算で「快適に過ごす」ことは、あきらめた方が無難。ドミトリーが多く、個室ならラッキー!ちなみに、トイレ・バスが共同なのは当然、頑張って水シャワーを浴びてください。
  • プーケットやクラビなど南部リゾート地の場合、海沿いのロケーションが良い場所は高い!安く収めたいなら、海の近くは避け、下町の繁華街(プーケットタウンやクラビタウン)を目指しましょう。
  • 注意したいのは、パンガン島やタオ島などの離島で街が近くにないリゾート地。こうした場所で格安宿を探すのは・・・かなり無理かもしれません。リゾートなら、お金を奮発しましょう。
やっぱりホットシャワー付きの広い個室・・・という方は1泊1500円程度の支出は覚悟
  • いくら貧乏旅でも、ドミトリーばかりじゃ眠れないし身体がもたない、部屋の中で温水のシャワーを浴びたい!なんて思いますよね。そうした宿は1泊THB350~450(約1225円~1575円)程度はかかります。探せば1泊THB300程度の良心的な宿が見つかりますが、とにかくTHB350より安く、個室&専用のホットバス付ならラッキー、すぐに泊った方が良いです。タイの、特に地方の宿は部屋が広いことが多く、落ち着きますよ。
  • 注意したいのはバンコクです。カオサンの中級宿は人気が高く、サイトからの予約ですでに満室なんてことが多いです。スクンビット通りは利便性が高いため、ビジネスマンに人気があり、やはり部屋を押さえにくい・・・というより、料金が高騰していて、どんどん改装&価格が吊り上げられています。また、バンコクでは温水付きだと、ドミトリーでも意外に高い!とりあえず、穴場はシーロム通りなど、パッポンから国立競技場周辺の繁華街。人が多い場所が好みならカオサンでしょう。

 

食費:さすがにホテルやレストランの”豪華食”じゃなければ、安くつきます
タイの食費は安い!ショッピングセンターのフードコートで快適においしく1食150円
  • 最近、某番組でタイの食事の値段がはっきりと口に出していますよね。例えば”ドラゴンウォーター”がTHB5(約17円)、これがコンビニのミネラルウォーターならTHB8~THB10(約28円~35円)、屋台の”おかず1品+ご飯”がTHB20(約70円)、屋台のソーセージや鶏の串焼きが1本THB5(約17円)など。ちなみに、食堂などでおかずを3品ほどかけた”ぶっかけ飯”やおかずを載せた麺料理がTHB40(約140円)程度です。
  • タイで、冷房が効いている中で衛生的かつ安価に食べられる場所は、デパートやショッピングセンターのフードコートです。例えば「BigC」や「Tesco Lotus」は旅行者が行く街ならほとんどの場所にあるショッピングセンターです。こうしたショッピングセンターの中には、フードコートが大概併設されていて、冷房の効いた中で、テーブルの前に座りながら温かくおいしい食事にありつけます。価格は屋台と同程度か若干安いくらいでTHB40(約140円)は少し高級版かなという食事。バンコクなら、多くの旅行者が訪れる「Terminal21」のフードコートがおススメ(上の写真です)。あれだけ居心地の良い場所で、100円強でおいしい食事が食べられます。
日本食がブーム!多くの街でおいしい日本食はあるが、日本と比べると高く感じてしまう
  • 日本食が恋しくなったら「レストラン富士」や「Oishi」など、タイ人ならだれでも知っているレストランがショッピングセンターに入っています。日本で食べるクオリティに近いですが、トンカツや天ぷらの定食が1食500円以上(約THB150以上)します。おなじみの「吉野家」は、牛丼が現在THB109(約380円)とかなり割高です。しかも水や茶などの飲料が有料ときている・・・トホホ。
  • 上記写真では、ずいぶん前からタイで流行りの「回転ずし+しゃぶしゃぶ」の食べ放題チェーンレストランを紹介。店名は「Shabushi」と「Sukishi」が有名で、地方都市にも数多くあります。都市によって値段は異なりますが、今年夏の某ビーチリゾート地ではTHB419(1500円弱)も取られました。高い!
ファストフードチェーンでおススメなのは、意外にマクドナルド!
  • ファストフードやカフェチェーンでおススメなのは「マクドナルド」や「KFC」です。ここで食べたいのは、ソフトクリーム!THB10(約35円)以内で売られています。あの冷たくおいしいソフトクリームを、冷房の効いた清潔な店内でゆっくりと食べる・・・う~ん、幸せ。また、マクドナルドの朝食メニューで「お粥」があるのがウレシイ!かなり、おいしいです。この辺りの、日本のファストフードやカフェチェーン店の国別比較を、後に掲載したいと思います。
  • コンビニ飯もおススメ。菓子パンは1個THB10(約35円)以下で買えます。弁当は、店内設置のレンジで温めるもので、ガパオライスがTHB30(約105円)程度、カレーライスは日本の味に近いです。

 

交通費:公共の交通機関はさすがに安い!
タイ国鉄や街中の公共バスは、すごく安いです。格安旅を目指すなら、冷房ナシ(非冷房)に乗ること!
  • タイ国鉄とは、バンコクから北部はチェンマイやラオス国境、南部はハジャイを通りマレーシア国境、東北部はカンボジア国境の街へと続く路線網で、バンコク市内の高架鉄道(BTS)や地下鉄(MRT)とは異なります。この国鉄の各駅停車(Ordinary)がとにかく安い!信じられないくらい安いです。冷房はありませんが、窓全開で乗る各駅停車は、意外に快適な旅が送れます。ただ、私の場合、1日5時間くらいが限度かな。
  • 公共バスも非常に安いです。ただ、注意したいのは、「冷房車」と「非冷房車」。同じ路線でも冷房の有無で料金がかなり違います。バンコク市内を縦横無尽に走る公共バスを例にとると、いわゆる「赤バス」と呼ばれる非冷房バスが、現在おおむねTHB7(約25円)で乗れるのに対し、冷房バスはTHB13(約46円)となります。
みんな大好きなトゥクトゥクは意外に高い!1kmで最低THB20(約70円)は請求される
  • せっかくバスに乗っても、バスステーションから街中まで結構離れていることがよくあります。アジア全体に言えるのですが、昨今、大きなバスステーションは郊外に移転することがトレンドのようですね。したがって、タイを旅行する際、バスステーションから街中のホテルに移動するのに「トゥクトゥク」を利用する機会が多いかもしれません。
  • このトゥクトゥク、意外に高いのです。1km以内の歩ける距離でもTHB20(約70円)はします。3kmと歩くにはつらい距離だとTHB40~50(約140~175円)は請求されます。つまり、長距離を移動した鉄道やバス料金よりも、トゥクトゥクの方が高くつくことがよくあります。
  • このトゥクトゥクにどれだけ乗るか、ということが旅の方針の分かれ目にもなります。楽だからといって、こればかりに乗っては、お金が意外に飛んで行ってしまいます。例えば、地方のバスステーションから街中に移動するなら、安く抑えたい場合、まず市内バスやソンテウ(ワゴン車を用いたバス)を探しましょう。それらならTHB10~20(約35~70円)程度で街中まで運んでくれます。公共の交通機関が見つからない場合、街まで歩いてどれくらいか誰かに聞いてください。「遠いよ~無理だよ~」というドライバーのゼスチャーがあって、はじめてトゥクトゥクを選ぶのが良いかもしれません。

 

観光費:バンコクやアユタヤ、スコータイはさすがに入場料が高いです
お金をかけたくない貧乏旅派は、無料に近い観光地に率先していくべし
  • 初めて行った場所では、とりあえず抑えるべき観光スポットは行ってみる・・・正しいと思います。ただ、有名観光地はそれなりに高い入場料が取られてしまいます。それに、なぜ地元民と外国人で入場料が違うのか!ウッキ~と発狂してしまいそうなこと、発展途上国ならありがちです。
  • バンコクを例にすると、「王宮/ワットプラケオ」の外国人入場料はなんとTHB500!日本円で約1750円です。1日分の生活費を超えてしまう勢いですね。それに対し、タイ人の入場料は・・・無料!この料金差、発狂しそうになります。この「王宮/ワットプラケオ」、絶対に入るものかと決心していれば良いですが、初めてタイを訪れた観光バリバリの人なら・・・そりゃ、行きますよね。
  • さすがに、この「王宮/ワットプラケオ」は例外ですが、他の有名観光地も結構高い値段が取られます。観光地の入場料は、あらかじめ「地球の歩き方」などのガイドブックやネット情報をチェックして用意しておきたいものです。同様に、ビーチリゾートに行った際のアイランドホッピングやシュノーケリング、ダイビングなどのレジャー代金は事前に準備しておきましょう。

 

雑費:歯磨き・歯ブラシなど日用用品や服飾、クリーニング代金など、何に使うかは人それぞれ
日本から持ち込む日用品は少なくしよう。タイで買う方が物価が安い!
  • 何を日本から持ち込み、何を現地で買うか、迷いどころですよね。長期旅行者はなるべく現地調達、短期旅行者は日本から持ち込めということでしょう。
  • ざっくり言えば、現地調達で十分なのは、歯磨き粉、歯ブラシ、髭剃り、チリ紙などの日用品。日本のセール価格からさらに3割引きくらいが値段の目安です。意外にビニール袋は、現地のものは素材が弱いものが多く、日本から持ち込むのががベター。女性用品など使い慣れたものは日本からの持ち込みがベターかもしれない。服は、現地調達、日本からの持ち込み、どちらでも好きな方をお選びください。
  • 現地でおススメなのは「クリーニング」。1kgあたりの単価で料金を掲示しているところが多く、下着やタオル、Tシャツ、ジーンズなどをいれてもOKです。kg単価でTHB20(約70円)が目安かな。

 

まとめ:タイを旅するのに必要な予算
宿泊費

格安旅を貫くのなら1泊875円(約THB250)を目安に、時々中級宿に泊まるなら1泊1225円(約THB350弱)を目安に準備しましょう。

食費

1日3食取ることを前提に、1日計で350円(約THB100)以内に収めることを目標に、ただ、現実問題としては500円強(約THB150)くらいは払ってしまいますよね。

交通費+雑費

バックパッカーの場合、1か所に留まる日数も多いでしょうから、まぁ、1日計350円(THB100)でどうでしょうか。ちなみに、観光代金は費目から外しています。がっつり観光したい人は、あらかじめ日本でおおよその費用を調べ別に予算を準備しましょう。

合計した、タイで必要な予算

上記の金額を足し上げると、1500円強~2100円(約THB450~600)がタイを旅する予算となります。貧乏を極める人は、1000円以内も可能でしょうが、無理をすることだけが旅ではありません。やはり1500円以上の予算を見込んだ方が無難です。できれば、1日2000円を見込んでおけば、不測の事態にも対応できる金額となるのでは。(注:この金額には、「王宮/ワットプラケオ」のような特に高価につく観光費用や、航空代金は含んでいません)


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