第二次大戦終結後、モンゴルには12000人以上の日本人が抑留され、そのうち1500人以上が日本の地を踏むことなく亡くなったと言われています。こうした日本人の英霊たちを祀るため、モンゴル国内には16箇所の日本人墓地がつくられました。ウランバートル郊外にあるダンバダルジャーには、モンゴル最大の日本人墓地があります。

 
もともと私は東アジアの近代史に興味があり、日本人のモンゴル抑留について知識はもっていました。この地で拘束された日本人の方たちの困難や苦労など、書籍やネットで得たデータとしての知識をいくら持っていても、それでは実感を伴うことはありません。この地に降り立ち初めて、この地で拘束され、日本に戻ることがかなわなかった方たちの無念さがほんの少し伝わってきました。
 

ダンバダルジャー寺院について

ダンバダルジャー寺院は、20世紀初めに清朝から独立し成立したモンゴル国の初代皇帝ボグドハーンの、冬の宮殿として建造された寺院です。この宮殿の近くに、モンゴル最大の日本人墓地が作られ、また、その跡地に「ダンバダルジャー日本人慰霊碑」が建てられました。
 

ダンバダルジャー寺院への行き方

ウランバートル中心部からは、3番バスでダンバダルジャーに行くことができます。このバス、ダンバダルジャー行きですが、終点まで乗ってしまうと乗りすぎになる。まぁ、乗るときに「ダンバダルジャー」とドライバーに伝えておけば、近づいてきたら合図を送ってくれるでしょう。終点まで乗ってしまったら、20分ほど来た道を戻ればたどり着けるはずです。
 

ダンバダルジャー寺院に向かいます
3番バスの終点・・・何もない寂しい場所でした

バスから降りた「ダンバダルジャー」に、え、ここどこ状態・・・というか、ここに着く少し手前で大きな寺院が見えていたなぁと思っていた。仕方がないので、停まっていたバスのドライバーに「ダンバダルジャー」と言ってみたところ、事態を理解した様子。バスはすぐ出発する様子でしたが、寺へは歩いて行けるということで、散歩がてら歩いて行くことにしました。
 

散歩の途中の景色。うわ~寂しい景色です。あまり長居はしたくない!
 

ダンバダルジャ寺院の山門にやっと到着しました

うん、この壁、バスから見えていました。やっと着いたようです。
 

ダンバダルジャ寺院:冬の宮殿跡

チョイジンラマ博物館などで見た、高僧の建てた寺院と同じつくりの建造物が並んでいます。これらが、ボグドハーンの冬の離宮として利用された建物なのでしょう。
 

チベット仏教の仏塔、ストゥーパが立ち並びます

これらの目が描かれたストゥーパ、ネパール・カトマンドゥにあるボタナートなどの寺院群でお馴染みですよね。どこかホッコリします。
 

現在の僧院、本堂だと思います

修養の声が聴こえてきたので中には入っていません。外側にあったマニ車を廻しました。
 

若い僧侶たちの宿坊か?いかに厳しい環境の下で生活しているか思い知ります

子供の僧たちが出入りしていたので、おそらく若い僧侶たちが住む宿坊か、あるいは世話係たちが住む宿舎だと思われます。ここで、生活することを想像すると・・・絶句!言葉が出ません。
 

ゲル型の円い僧院。この裏手にある小高い丘にチョルテン(布がかけられた聖地)が見える

非常に特徴的な造形をした僧院ですね。サーカス会場のような建物!
 

日本人を収容したアムラルト病院跡。日本語による掲示がかえって寂しさを募らせる

ここで、日本語の掲示版を見て、我が国の英霊たちがこの地にいたことを実感し、もの悲しくなってきました。これほど寂寥とした場所に抑留され、命を落としていく。どれほど無念だったことか。この病院跡を見て、私にはこれ以上、旅行気分でこのダンバダルジャーをぶらつき歩くのは止めようと思いました。観光で来るにはあまりにも重い空気が流れる場所です。手を合わせた後、日本人慰霊碑まで行くことなく、ウランバートル市内に戻るのでした。


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