4月28日から5月10日までボルネオで過ごすことにした私たち夫婦、今回の旅のメイン目的はコタキナバルとサンダカン、ブルネイを訪れること。コタキナバルでは南シナ海に浮かぶ美しい島々でのシュノーケリングやボルネオの熱帯雨林での野生動物探し、サンダカンではセピロック国立公園を訪れオラウータンと戯れ、そして未知の国ブルネイでは予定を立てず街なかを散策することを楽しみに、この長~いゴールデンウィーク休暇を過ごしていきたいと思います。
 
このブログをご覧の方はお気づきかもしれませんが、私はエスニック集団(部族集団)ウオッチャーを自認する身。ボルネオでまず連想するものと言えば、20世紀中頃まで首狩りの習慣を持っていたムルッ族や、南シナ海漂流の民でたびたび海賊活動が報告されるバジャウ族、巨大なロングハウスに居住しテレビ番組でたびたび芸能人が冒険滞在報告をするルングス族など、特異な文化を持つ部族集団のこと。正直に言えば、キレイな海でのシュノーケリングや野生動物ウォッチは、妻を長期旅行に誘い出すための口実でしかありません。

 
ただ、いくら約2週間の長期にわたるゴールデンウィーク休暇だとしても、うっそうと茂る密林の奥にある部族集団が居住する地まで到達するのは困難なこと。何と言ってもサラリーマンである身にとって”部族の村から帰れなくなったので納品期日を後ろに延ばしてください”などと国際電話をかけようものなら、その後も契約してもらえる可能性はゼロとなるでしょう。う~ん、せっかくボルネオ(コタキナバル)にいるのに、私の愛する部族集団に挨拶もせず立ち去るなんて・・・あり得ない!
 
ただ、コタキナバルには私のこんな葛藤を解消する打ってつけの場所があるのです。それがマリマリ文化村(マリマリ・カルチュラルビレッジ)で、ボルネオ各地に居住する部族集団の文化を紹介する広大な村。ガイドさんと一緒に部族集団の家屋が移設された村々を巡り食事やスナックをとりながら様々な文化体験をしていこうという、何ともお手軽なレジャーアクティビティなのです。このマリマリ文化村へ行けば、とりあえずはボルネオの多様な部族集団の多彩な文化に触れることができる・・・いいじゃないですか!コタキナバル観光のまず初日は、このマリマリ村へ行くことに決定しました。
 

マリマリ文化村へさっそくLet’s go!、多彩な部族の村々を巡ります

事前にマリマリ文化村のホームページで送迎付きツアーを申し込んでいた私たち、ホテルロビーには律儀にも時間ピッタリにピックアップが到着しました。
 

コタキナバルの街からさほど距離が離れているとは思えないが、密林が生い茂る一角にクルマは到着。吊り橋を渡ると、そこは伝統家屋が随所に残るいかにもトライバルな村。期待に胸が高まるゼ!
 

1グループに1人の専属ガイドが付き、けっこう豪勢な気分に浸れる。カワイらしいガイドさんと、これまたカワイらしい原住民(ドゥスンDusun族でしょうか?)の方たちによる、竹筒や木桶を用いた伝統料理の体験レッスンが始まりハジマリ。実は出来上がりの料理は昼食ビッフェに並ぶことになります。
 

ルングス(Rungus)族のロングハウスは確かに長~い!

昔からテレビなどのメディアで紹介される機会が多かったロングハウス。私がはっきりと覚えているモノでは、10数年前でしょうか、『世界ウルルン滞在記』という番組でつるの剛士さんがイバン族のロングハウスにホームステイするといった企画。イバン族もルングス族もロングハウスをつくる部族として有名で、ルングス族は主にサパ州、イバン族はサラワク州に多く居住する部族と考えて差し支えないと思います。こちらのお宅の中では、木で火をおこす実演をしていましたが、美しいお姉さんが一所懸命に木をこする姿が見どころと言えるでしょう。
 

こちらのイケメンお兄さん&お姉さんたち、服を替え品を変え何度も登場します

私が訪れた2009年5月は実は新型インフルエンザ(H1N1)が世界的に大流行した時期と重なり、ゴールデンウィークだというのに旅行者が極端に少なかった。今回のマリマリ村にもツーリストは私たちとオーストラリア人夫婦、マレー人家族の3組だけで、とにかく閑散。だから……という訳でしょうか、部族の各村ごとにオリジナルの衣装を着けたスタッフが出迎えてくれるのですが、実は服を着替えただけの美男美女が多い。私たちがガイドから説明を受けている間に着替えているのかなと想像すると、笑えます。

こちらは木の樹皮から紐や皮をつくる実演をなさる、ただ今ルンダイ族(Lundayeh)になりきるお兄さん。まぁ後ほど、さらにワイルドでデンジャラスな姿となり登場します。
 

今度はバジャウ族になりきる美女。小麦粉やパンダン、ココナッツミルクを使いつくってくれたスナックはとてもおいしかった。
 

ちなみにバジャウ族は海上の民として”海の遊牧民”との異名すらもつ部族。コタキナバルの都市民でも陸地には上がらず、広大な水上集落を築き生活をしています。
 

ムルッ族(Murut)の村で妻が襲われる?

先ほども申しましたが、ムルッ族は20世紀に入っても首狩りを行っていた部族、彼らの村に部外者が入ると・・・なんと先頭を歩く我々の前に、先ほどルンダイ族になりきっていたお兄さんが急に飛び出してくる。そして手に持つ弓で我々を威嚇するのです。ヒエ~お兄さん、さっきまでの優しくやる気のない態度はどこへ飛んでしまったの?怖いゼ!

未開部族の世界に取り残された文明人ご一行。一応、恐怖におののく探検者を演じる私たちも役者になった気分を味わえる。一通り驚かされた後、吹矢や弓矢の体験タイム。文明人の私たちでもけっこう上手に扱えました。
 

無事に彼らの客人として迎えられた私たちは、ムルッ族の伝統家屋でジャンプの実演を見させていただく。イヤ~私たちもトライしたが、このジャンプをきれいに決めるのは難しい。妻は1回ジャンプした後にへたりこんでしまった。
 

最後はスタッフ全員によるダンスショー&ブッフェランチで大団円

ムルッ族(?)に別れを告げガイドさんに促されるままに歩くと、本日、私たちの相手をしてくださった原住民の方々が一堂に集まるダンス会場に到着。だから、なんで皆そんなに切り替えが早いの!まぁ美男美女による部族風ダンスショーはかなり見応えがありましたよ。しかも終了後は我々を交え記念撮影となり、とにかくオモテナシの心がこのボルネオに息づいていることをウレシク思う(やりすぎの感もアリ)。
 
私たちはランチ込みのツアーを申し込んでいたため、オイシイ食事にもありつくことができる。食事の写真はほとんど撮らず、ひたすらガッツいていたため、最後のフルーツ&軽食しか撮れなかったが、かなり豪華な食事でしたよ。ホテルバイキング風メニューに加え、地元食材をふんだんに用いた素朴なメニューも多くあり。う~ん、オモテナシ!
 
コタキナバルのマリマリ文化村を見学し終えホテルに戻ったが、盛りだくさんのメニューを消化しとにかく腹一杯になる。私が訪れたときは、各々のスタッフがいくつかの部族を”兼任”していたが、彼らはそれぞれの部族のイメージを忠実につくっており、演技も部族ごとに変えていたのはサスガ(笑えてしまう)。まぁこれが偽のエスニック体験村と言ってしまっては身も蓋もありません。ボルネオの部族集落を自力で訪れることが難しい身にとって、こんな野趣あふれる”テーマパーク”があることに好感が持てました。何と言っても過剰とも言えるオモテナシの精神に頭が下がる思い。これからも世界各国の観光客を脅かしたり笑わせてくださいね。


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