富士市を散策して驚いたのは市内の至る所で富士山の雄姿が見られること。私が滞在したエリアは富士市役所がある一帯ですが、ここから見る富士山は見事でした。

しかしいくら富士山の足下にある街だからといって、ずっと富士山ばかりを眺めていても芸がない。まぁ富士山を見るだけなら、正直申して河口湖など富士五湖周辺の方が一般的には馴染みがあるイカニモアッパレな光景が広がっていることでしょう。

しかも富士市の残念な点は、どこへ行っても工場の煙突が見える点でしょうか?否、昨今は工場萌えの言葉が市民権を得ているように、あの無機質で無骨な巨大工場群の光景こそが観光資源となり得ます。まぁそのあたりの是非は差し控えるとして、一つ残念なことは中心街がシャッター商店街と化してしまっていること……これは富士市に限らず日本全国で見られる共通の問題ですが、とにかく侘しく残念な光景を目の当たりにし感傷的にならざるを得ません。

例えばこれは私がまず降り立った富士駅前。以前は賑やかだったはずの商店街に、今や老人と学生だけが闊歩する光景は……ウウゥ涙を誘います(嘘)。

富士駅と直結する歩道橋広場で見たオブジェは凄いぜ!南房総でも指摘したが、なぜこうした彫像は裸がモチーフなのか?しかも今回の彫像は若き男の子、局部までハッキリと表現しており、ショタコンの方々には聖地となり得る場所かも?


富士駅周辺と並び古くからの富士市中心街を形成してきた吉原本町を訪れてみると、富士駅前よりもさらに惨憺たる光景が広がっていた。昼に出歩く人はほぼ皆無。コロナの影響からでしょうか飲食店も全く開いていない。無人の商店街には意味なく宣伝のアナウンスと音楽が大音響で流され、よりいっそう寂しさがつのる。う~誰か助けてくれぇ!


ということで富士市中心街には大した観光資源が期待できないと思ったら、それはとんだ大間違いです。先に紹介した吉原本町を経由し、吉原駅と岳南江尾駅を結ぶ岳南電車こそ富士市最大の見どころと言えるでしょう。私の旅行記の前にとりあえず岳南電車の魅力を列挙すると・・・

1)古い車両の魅力

岳南電車最大の魅力は数々の懐かしい車両群にあることは疑いようがアリマセン。例えば吉原駅で撮影した上の7000形、これを懐かしいと思えたあなたはヒョットすると杉並区民?実はこの7000形、京王井の頭線を走行していた旧3000形を譲り受け改良したもの。私にとっても懐かしい車両の一つです。


こちらの車両は7000形より後に導入された9000系車両、岳南江尾駅で撮影したものです。もともとは富士急行で1000系を改造したもので車内はクロスシート仕様、座り心地はGoodです。


そして岳南電車車両で最大の見どころは岳南富士岡駅に係留された数々の古い電気機関車でしょう。上に掲げた写真はED501とED291ですが、これらはいずれも1920年代に製造された車両……そう、100年近くにわたり走行した機関車なのです。これほどの歴史を刻んだ車両を目の前にし、私は何か悟りを開いた気分となりました(嘘)。また、私に同行した妻は、もともと鉄道には全く興味を示さなかったのですが、岳南富士岡駅に係留された車両を見て人知れず感動した様子。帰り際には「私にも鉄道ファンの気持ちが判る」と打ち明けられました。

2)いまだ現役の硬券入場券/乗車券

いまや切符の買い方も知らない諸兄姉が多い中、硬券と言ってもピンと来る方は少ないかも。そこで簡単に説明すると、昭和期まで駅で購入する切符は自販機以外では硬い手売りの切符が主流でした。こうした厚紙の切符を硬券というのですが、岳南電車の有人駅ではいまだに硬券が現役で使われてるのです。しかも一日フリー乗車券はD型という長い硬券。う~マニア心をくすぐるぜ!

3)トタン壁の駅舎

岳南電車ではトタン壁の駅舎が多いのですが、これも復古調建築マニアの目から見れば魅力的!

4)全ての駅から富士山が眺望できる

岳南電車の売りの一つは、全ての駅から富士山が眺められる点(天候の悪い日は除く)。まぁこれがイチバン一般受けする魅力かもしれません。ただ私にとっては富士山の雄姿は二の次、やはり車両と硬券こそがスバラシイ~のですが。


岳南電車の魅力を語ってきましたが、少々マニアックな展開では満足しない方もいるかもしれない。観光と言えば美しい景色にオイシイ料理etcという方々には、JRとの接続駅であり始発着駅でもある吉原駅で降り徒歩20分ほどの「富士と港の見える公園」にでも行っていただきましょう。

どうですか、美しい光景でしょ?しかもここには謎のストゥーパなどもあり結構楽しめます。そして帰りには向かいに見える田子の浦漁港にでも行っていただき、名物シラス丼でも賞味すればGoo~d、パーフェクトな富士市観光が楽しめます。


<スポンサーリンク>