ブルネイの首都バンダルスリブガワン(BSB)、これはスリランカの首都スリジャヤワルダナプラコッテと並ぶ強烈なインパクトを放つ首都名、一度聞いたら忘れられない名前ですね。しかし正確にこの名を暗唱できる人は日本人のうち何パーセントいるのかハナハダ疑問。中には、バンダルブリスガワン(それじゃ略してBBSですね)?ブンダルブリスガワン?ブンダルブリブリ?ブリブリ?・・・えぇぃ街の名前なんてどうでもイイ!
 
しかしブルネイのイメージを問うて、この複雑な名前と(当時、高校生とご成婚なさったイケメンの)国王様、プラス石油資源以外に連想するものがある方は、きっとブルネイ通。実際、観光的にブルネイが話題になることは少なく、前回記事でもブルネイの陸上を見どころに乏しく暑苦しいと散々ディスりました。先ほど『地球の歩き方 Plat ブルネイ』(2019年5月発行)を図書館で借りてみたが、私が訪れた頃とさほど変わり映えがない点に驚き。確かにガイドブックを見れば、巨大なモスクも王室博物館(ロイヤル・レガリア)も美しく映えるが……まぁ10年後に想いだして余韻に浸る場所ではありません。また、紹介されているレストランなどはマレー&シンガポール料理が主体で、コタキナバルやシンガポールで味わうことができるものばかり。私はブルネイオリジナルの体験がしたいのじゃ~!
 

ただねぇガイドブックをめくれば、今すぐにでも行きたくなるのが”人情”です。さすがに10年前に数日間だけ滞在した記憶を一般化した固定イメージを持ち続けることはアンフェアー。例えばバブル期の印象を引きずりながら今の日本を語る”憂国の士”には、時代遅れの烙印を今すぐにでも押してやりたい。同様に”10年前のブルネイ(陸上)って何もなかったけれど、今はすごく変わりステキな国になったね”と報告できるよう、今この段階で真っ先に行きたい国の一つがブルネイです。
 
と、前置きが長くなったが、ブルネイが全く記憶に残らないツマラナイ場所かと言えば、そんな訳はナイ。国土面積が約5800㎢と小さな国ブルネイの、1/1000程度しか見てまわらなかった私ですが、そんな薄~いバックパッカーにとってもオモシロいと思える場所がありました。それは陸上ではなく水上・・・私がブルネイでもっともおススメしたいオモシロスポット、世界最大の水上集落と言われる「カンポン・アイル」訪問記をご覧ください。
 

ブルネイのオリジナルで刺激的な体験が得られるカンポンアイル訪問

BSBの街なか(バンダール)を歩けば、いつの間にたどり着いてしまうブルネイ川の川岸。その川岸には常に何艘もボートが停まっており、声をかければ水上集落(カンポンアイール)やブルネイ川クルーズに誘ってくるでしょう。

ただし、他に人が乗っていないボートはチャーター扱いとなり、1時間あたり15ブルネイドル(約1300円)程度はとられるかもしれない。そんなとき周囲に目をやれば、すでに誰かが乗っているボートも見つかると思います。こうしたボートは、対岸にある水上集落居住者用の乗合ボートで、1人1ブルネイドルで運んでもらえるはず。頑張って乗合ボートを見つけて対岸に渡りましょう。
 

陸上の対岸、水上集落(カンポンアイル)に到着しました。立派なボート発着場が整備されていたので思わず降りてしまいましたが、他に降車客はおらず少し後悔。誰一人歩いていない、わびしい水上の道を歩き始めます。
 

生活感がにじみ出る集落をただひたすら歩く。水上にこれほど大規模な”街”が築かれているのは驚愕モノだが、いくら歩いても誰一人見かけない集落は不気味そのもの。ゴーストタウンのように静まり返る中、ふと水上にいることが恐ろしくなってくる。まさかとは思うが、大地震が発生し津波がここを押し流しても、僕が被害者の一人としてカウントされることはないでしょう。大自然の中で一人(今回は妻と二人)というのは当然ですが、人工物や集落の中での孤独は人間臭がプンプン匂いたつ中で寂しさがつのるばかり。誰も乗降しなかった場所で降りてしまったことを反省し、再びカンポンアイルにチャレンジします(まぁ時間はいくらでもあります)。
 

二度目のカンポンアイル訪問、ブルネイでやっと人(や動物)と触れあうことができた!

前日の反省を活かし、二度目の訪問では何人か降りた場所で、僕も一緒にボートから降ります。

人のいる光景が懐かしくスバラシイ!ここで気がついた点、ブルネイ(カンポンアイル)の人たちってかなり人懐っこい!カメラを構えた私たちに手を振って応えてくれる人が何人かいました。私たちの後をつける子供さんまで出現して、カメラを向けると即座にポーズをとり写ってくれる。イイじゃない!
 

こうした様子を見ていた向かいの方が、自分の家に招き入れてくれた上に、お茶まで出してくれた。アリガトウございます。カメラをいざ向けると写真に撮られまいとするが、お子さんは別ですね~。ちなみに私たちを招いてくれたお宅は、とても広いが殺風景なほどモノは置かれていない。ただ、大型の家電製品が揃っており、豊かな暮らしがうかがえます。まぁ時折テレビ番組で紹介されるキンピカ・ゴージャスな品々で埋め尽くされたブルネイのリッチライフ……といったイメージではなかった。
 

カンポンアイルでは、カワイらしいネコちゃんたちと存分に遊べる

二度目のカンポンアイル訪問で気がついた点は、とにかくネコが多い、しかも人懐っこい!通りかかると一度ミャーと聞こえたので近づいて初めて足下にまとわりついてくる。このネコちゃんの態度が気に入りました。そう、はじめからジャレてくるのではなく、一応こちらの様子を見て、足下に行ってもイイかどうか伺いをたてたように見える。実に礼儀を理解しているネコじゃないですか!
 
別の方角からも私たちを呼び止めようとする”ミャー”という声。振り向くと、警戒心と好奇心が相まった、おすまし顔のネコ一家がまるで家族自慢をしているかのように我々を待ち構えているのでした。
 
こうしたネコの礼節に感銘を受けた私たちはカンポンアイルにご満悦、気分良くブルネイの地を発つこととします。


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