秩父は(埼玉県近隣の方たち以外にとっては)マイナーな観光地であることは否めません。長瀞や三峰神社、秩父神社は確かによく知られた観光地だとは思いますが、それ以外は・・・。しかも、長瀞と三峰神社では約50kmも離れておりクルマで1時間半ほどかかる道のり、同じ観光エリアとして扱うのは少々苦しいかも?
 秩父と一言でいっても実は広大なエリアにまたがっており、中核となる秩父市や長瀞町以外に小鹿野町・皆野町・横瀬町・東秩父村・ついでに寄居町と多くの行政エリアを含む総称にすぎない。これだけ広大な秩父で思い浮かぶ観光地が長瀞と有名神社だけでは悲しいじゃありませんか!以前の記事では、クルマを持たない私のようなツーリストでも電車(秩父鉄道)で手軽に散策できる和銅黒谷駅周辺の観光スポットについて紹介しましたが、今回も同じように秩父鉄道で気軽に訪れることができる珠玉の散策スポット、浦山口駅周辺の観光スポットについて報告します。

 前回ブログでも記しましたが、宿泊していた巴川荘をチェックアウトする際、浦山ダムまでクルマで送っていただくことを快く承諾いただく。したがって今回のブログでは、浦山ダム⇒浦山口駅⇒橋立鍾乳洞・橋立堂を散策する行程となります。途中で何気なく立ち寄った明水湧き出る不動尊(不動妙水)では地元の方から名水を詰めたペットボトルをいただいたり、平沢稲荷神社の不気味な光景におののいたりと、とてもオモシロイ散歩コースとなりました。ではご覧ください。

 本来、浦山口駅から浦山ダム(浦山ダム下流駐車場)までは歩きやすい散策道を20~30分ほどかけて散歩するのが一般的だと思いますが、私たちの場合はクルマで一気に「うららぴあ」というレストハウスにたどりついてしまった。

 この写真は「うららぴあ」のすぐ脇で撮影。ちなみに「うららぴあ」にはダムカレーを販売するレストランや浦山ダムの資料館が併設されているが、私たちが訪れたときは遠足(?)の小学生に占領されていたため入場するもスグに退散、ダム湖を眺望することにします。

 この道って堰堤の道、つまりこの両側には美しいダム湖や豪快なダム建造物が見られるのです。

 まずはダム湖の景色から。思わず美しい!と声をあげそうになった。ところどころコンクリートの壁が見えここが人工物であることは理解できるが、これほど自然景観とマッチしたダム湖が東京からほど近い埼玉県で見られることに驚きの感想を抱きます。そして、堰堤の反対側を覗いてみると・・・


 どういった道を歩いているのかよく判る写真、凄まじく高いところを歩いているのでした。これ高所恐怖症の方だったら悲鳴をあげてしまうかも。

 浦山口駅から歩いてきた場合はダム下流駐車場に着きますが、私の場合はダムの上に到着。この、ダムの上下をエレベーターが結んでおり、ツーリストでも無料で利用できます。ただ、このエレベーターはダム内部につくられているため、防犯上の理由で撮影禁止とのこと。

  
 ダムの下に来ました!これほどの巨大な土木建造物を前にして身震いがしてくる。浦山ダムを建造したゼネコンとその下請けで働いた無名の方々に敬礼し、浦山口駅に向かいます。
 
 ダム下流駐車場から歩いた場合、この雰囲気のある橋(上田野橋)を渡った後、道なりに下流方向へ歩けば浦山口駅に辿り着ける(はず)。

 秩父鉄道の線路が見えてくると浦山口駅はもうすぐです。ちなみに、駅に上がる小道の脇には清水が流れ出している箇所があり、地元の方が栗やクルミ、サツマイモなどを洗っていました。水が流れ出る蛇口は全て埋まっていましたが、おそらく地元の方でしょう、ペットボトルに満杯となった清水を「これどうぞ」と言って私たちにくださいました。当然見ず知らずの方ですが、日本も捨てたものじゃないね!

 こちらは清水湧き出る蛇口の横に建っていたお堂、グーグルマップなどでは「不動妙水」と表示されている場所です。八百万神がいる日本では、清水が湧き出るこの地にも不動明王が鎮座しているのでしょう。この辺りには散策に便利な表示板がいくつかあり、橋立鍾乳洞に至る道を示す表示板も建っていました。浦山口駅から橋立鍾乳洞までをグーグルマップで検索すると700m・徒歩10分と表示されますが、秩父の山中を甘く見てはイケナイ!駅からの行程は上り坂が多い上に木立の茂る山道を進むため、途中で不安になってしまう。往きは徒歩20分程度を見ておいた方がベターです。

 駅からほど近いが、ただならぬ空気が流れる場所(平沢稲荷神社)に遭遇する。鳥居が山上に向かっていくつも建つが、参道はかなり苔むしており、ここ最近はおそらく誰も通っていないでしょう。好奇心旺盛な私はついこの道を辿ってみたいと思い、フラフラと鳥居の方へと向かうが、妻はそんな私を制止する。まぁここを上ったからといって、何か得体の知れぬものに憑依されたり正気を失うなんてことはナイはずですが、下手に怪我でもしたら私だけではなく地元の方にも迷惑を及ぼすかも。ここは妻の言葉を受け入れることにします。

 山あいの道から車道に出ると橋立鍾乳洞はすぐそこです。

 眼前に浮かぶ崖山の迫力に圧倒!いかにも霊験あらたかなお堂(橋立堂)を参拝し、橋立鍾乳洞の入場券(1人200円)を求める。ちなみに入場券を販売する方もお遍路の格好をしており、この地の神職者なのでしょう。お堂の中はとても狭い上に危険なため、荷物は入場券売り場の中のイスに置いていけと促される。財布が入っているのになぁとブツブツ言うと「私たちが見ているから大丈夫、信用しなさい!」と言われる。そして、洞内での写真撮影は絶対(!)に禁止とのこと。神職者の方の”圧”はとても強く、クチゴタエなど絶対(!)にできません。

 洞内に入り驚いた!ここは観光地などではなく巡礼の地、修験者たちが修業を積む場所なのです。いちおう探索道とはなっているが、鍾乳石が迫りだす洞内はとても狭い上に岩道もゴツゴツしている。いくら気を付けて歩いても修練の浅い私たちは何度も頭をぶつけてしまう。常にかがんだ姿勢で歩かねばならず腰が・・・。私はもう人生の修業を諦めた身、ノンビリ・ウダウダ・楽に過ごして生きたいのに、なぜ修行僧の真似事をしなければいけないのだ!おそらくは洞内=体内のメタファで私は死から受胎、再生に至るまでの過程をこの辛い洞内での行程で学んでいくのでしょう。

 やっと鍾乳洞の出口に辿り着く。先のメタファで言えば、私は新たに生まれ出た存在。ただ、あまりに疲れ果てた状態では、生というハツラツさは微塵もない。ちなみに、この写真は鍾乳洞の出口をくぐってから撮影したものだが、洞内を写したわけではないのだから許されるはずです。

 橋立鍾乳洞や橋立堂のある一角には、いかにも居心地の良さそうなカフェや蕎麦屋がありました。冷たい氷が五臓六腑に染みわたり、やっとこの世に生還した気分となる。Lucky!


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