最近テレビの旅番組でもたびたび話題となるイジェン山の火口湖とブルーファイア、暗闇に浮かぶブルーの炎は確かにインパクト抜群で、(しっかりと固定したカメラで撮れば)まさに”映え”となる映像が残せるでしょう。しかもジャワ島のジョグジャカルタやバリ島から数多くのツアーバスが出ており、多くがブロモ山観光とセットになっている・・・こうしたアクセスの良さから手軽にイジェンを訪れようと考える方がおそらくは多いのではないでしょうか。

しかし、私はそれに警鐘を鳴らしたい!あらかじめ言っておきます、手軽に来られる場所と舐めてかかったら手痛い目に遭う、私はここで身の危険を存分に感じました。では、イジェン訪問記をご覧ください。
 

イジェンまでのアクセスをまずは紹介

一般的に、ジャワ島の観光スポットとして有名なブロモ山やイジェンは、ジョグジャカルタ(ジャワ島最大の観光都市)とバリ島を結ぶルート上にあり、双方からツアーバスが多数出発しています。ツアーバス代金は2018年年初時点で2泊3日Rp700000~Rp800000(約5600円~6400円)、これには移動費だけではなく宿泊費や途中の食事代金が含まれているはず。
さて、私の場合はいったん最寄りのプロポリンゴという街に立ち寄り、イジェン経由バリ島方面へのツアーを探してみました。ただ、ツアー代金はジョグジャカルタ出発のものとさほど変わりはない価格が提示された。う~ん、高い!交渉のゴングが打ち鳴らされました。結局イジェンで1泊後バリ島へ渡航するフェリーが出るクタパンまでの乗車で、バリ島に向かう団体客に混乗するという条件でRp450000(約3600円)が最終プライスだと言われる。まぁ、この値段で手を打ちましょう。
 

プロポリンゴの街で実は2泊していた私

前回記事でシドアルジョ泥火山を紹介しましたが、そのシドアルジョからプロポリンゴまでバスで移動したら急に疲れがどっと出てしまい、その先を急ぐ気がなくなってしまった。

上記写真はプロポリンゴのバスターミナルを撮影したもの。このターミナル内にはツーリストオフィスが軒をつらね、ブロモ方面への営業攻勢がすさまじいが、大半がボッタクリ案内所!仮にブロモ方面への移動を考えている方は、いったん外に出たほうが無難です。すると、別のツーリストオフィスやゲストハウスが何軒かあるので、そちらで相談をしましょう。
 

こちらは私が泊まったゲストハウス。蚊が多少多かったですが、部屋自体は清潔に保たれ休息をとる分には問題はありませんでした。
 

プロポリンゴはブロモ観光の玄関口にあたる街で、ツーリストオフィスの周囲には多くの外国人がたむろしている。ただ彼らにとってはただの通過ポイントなのでしょうか、この街で泊まろうとする外国人はいないばかりか、街なかをうろつく外国人も誰一人いなかった。まあ、私の場合この街に2泊して結果的に好奇心旺盛な子供たちの餌食になってしまう。カメラをぶら下げながら街を歩くと写真攻勢に遭ってしまいます。
 

この街、メインストリート沿いは家が途切れず賑わいを見せるが、1本裏道に入るとただの田舎街、田園風景が延々と続いています。ベチャ(自転車タクシー)のドライバーが優雅に休憩をとる姿に、僕も癒されます。
 

イジェンはまさしく命がけの観光!

プロポリンゴで2泊し十分に休息がとれたはず、さっそくイジェンツアーの開始です。ツアーバスに乗り込むと西洋人だけでぎゅうぎゅう詰め、しかも皆さんジョグジャカルタから出発しブロモ観光などを終えた方たちで、すでにグループとして出来上がっている。バスに乗り込んだ際に一通りの挨拶をしただけであとはボッチ状態、う~ん寂しいで~す。

途中の山道で誰かが”Stop”と大声で叫びトイレ休憩。なぜか他のバスも止まりましたが、皆さんの輪の中に入れなかった私。そんな時、インドネシア人のドライバーの方が気を遣ってタバコを差し出してくれました。
 

イジェン登山の拠点となるレストハウスArabica Homestayに到着。こちらの部屋、それなりに清潔な上になんとホットシャワーがふんだんに出る。仮眠するだけでここを発つのはもったいない!
 

深夜2時頃に起こされ、イジェン登山に出発

ホットシャワーに涼しい気候が相まって極上の眠りについていた深夜、ドンドンとドアをけたたましく叩かれる音に起きざるを得ない。熟睡を途中で妨げられる苦痛、ああ辛いつらい。メンバーが集まったところでイジェン登山に出発。
まあ深夜なので写真に撮れなかったが、これけっこうキツイ山道でした。アップダウンがかなり激しい上に何せ深夜。人について行かないと途端に闇夜の中に放り出されてしまう切迫感の中2時間弱、この山道を耐え抜きました。
 

やっとブルーファイアが見えてくるが・・・命がけはここから始まる

いよいよ見えてきましたブルーファイアです。と、ここで深夜の大渋滞、これほど多くのツーリストがあの暗闇の山道を歩いてきたのだと思うと・・・ため息が漏れます。
 
さて、なぜここで大渋滞ができているのかと言うと・・・底へと下りる道が半端なく危険なのです!炎が見えてから底面までは約1時間ほど、岩の合間をぬってひたすら下に向かう。道は整備されているはずもなく、ただの岩道、転んだらただ事では済みません。しかも、そこら中から火山ガスが噴出しており、硫黄の刺激と香りで眼と鼻がやられてしまう。ガスマスクがないと本当にきついです。
 

こんな崖道なのに、途中で硫黄の採掘を行っている方がなんと多いことか!これほど過酷な労働環境で働く人々を私は初めて目の当たりにしました。
 

ブルーファイアに近づけば近づくほどガス濃度が高まり辛い。ガスマスクを用意していなかったので、タオルをいくつも重ねて臨んだが・・・皆さんはしっかりとガスマスクをつけましょうね。
底にたどり着いた時、私は落胆の声をあげてしまった。噴出するガスがあまりに多く、肝心の蒼い光がはっきりと見えない。とにかくガスが底に溜まってしまい、呼吸するのが本当にきつかった!
 

崖道を戻ると、美しい眺望が広がっていた

再び命がけの思いで崖道を戻ります。戻った先には美しい景色が広がっていた・・・ここで夜明けを待ちます。ちなみに、私、インドネシアの若い方から声がかかることがなぜか多い。この時もいくつかのインドネシア人グループの方と記念写真を撮り合いました。
 

太陽が出てくる日の出の光景は見られなかったが、雲海に浮かぶ山々おそらくムラビ山とラウン山でしょうか、これほど美しい光景が見られたことで、疲れが半減(→するわけがない!)。
 

イジェン火口湖の美しい様子をレポート?

さて、イジェン登山メインの目的はブルーファイアと火口湖の美しい光景を見ることです。この火口湖がどれほど美しいかは、皆さんネットで検索してみてください。
 
さて、私の場合は・・・

この日のイジェン火口湖はガスがあまりに多く、ご覧の通りの光景でした。夜が明ける前は、まだ水の存在が確認できたのですが、時間が経つにつれどんどんガスが溜まってくる。はぁぁぁぁっとため息が漏れます。
 

硫黄を運ぶ人々

イジェンの硫黄を採掘する現場を先ほど見ましたが、これらの硫黄は麓の交易所まで運ばれていくのでしょう。イジェン観光を終え、レストハウスに戻る際も何人もの硫黄を運ぶ人々とすれ違いました。こうした硫黄は様々な工芸品に加工され麓の村で販売されますが、一般的には黒色火薬や希濃硫酸に加工され様々な工業製品の原料となります。私たちの生活を支える工業原料が、こうした方法で採掘・運搬される姿にじかに触れられたことを決して忘れはしません。


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