ロンボク島に居住する人々のうち多数派を占めるのはササッ人(Sasak)と呼ばれる方たちで、彼らの多くはイスラム教を信仰し近代的なライフスタイルをおくるエスニック集団(「民族」という言葉をなるべく使いたくない私!)だと言えます。しかし、ロンボク島クタの郊外にはイスラムが浸透する以前からの伝統的な生活様式を残すササッ人の集落がいくつかあり、ヒンドゥ教やイスラム教、アニミズムがミックスしたオリジナルな宗教の下、古くから伝わる家屋で営む伝統的な生活は大変興味深いもの。今回は、ササッ人のそうした伝統集落のうち、サデ(Sade)を巡ります。

 

伝統集落サデへの行き方

サデはクタの北7kmほどの場所でマタラム方面への幹線道路沿いにあり、ベモ(ワゴン車バス)も通る集落。ベモ料金は片道Rp10000(約85円)も払えば十分、コストを切り詰めたバックパッカーならぜひともベモで行きましょうと言いたいところだが・・・あまりにも本数が少なく不便。ここは前回記事でも紹介したレンタルバイクで行くことをおススメします。
 

サデ集落、フタ昔前(2002年)の姿

実は私、2002年に初めてロンボク島を訪れており、その際はクルマを2日ほどチャーターし数々の集落やビーチを訪ね歩きました。この時にはサデも訪問、古い写真が残っていたので、そのいくつかを紹介します。
 

村に着いてまず目に飛び込んできたのは、特徴的な蒲鉾型の屋根をもつ穀倉。これはAlangと呼ばれる、ササッ人を象徴する建築物です。ちなみに村に入ったときは、勝手に一人で散策して良いものかどうか判らなかったが、しばらくすると片言の英語を話すオジサンが近寄ってきて(頼んでもいないのに)勝手にガイドをし始めました。
 

ただ、地元の方がそばに連いてくれると心強いものです。布織物など一応お土産物が売られているが、スイマセン、私それ買いません。
 

まぁお約束ですが、ガイド氏お宅の訪問となります。家の中はかなり狭く感じられ、家財道具は少ない。フックには日用雑貨が釣り下がっています。
 

これは意外でしたが、牛の頭が壁に掛けられている。私の旅行記ではこれまでタナトラジャ(スラウェシ島)やスマトラ島を紹介し、そこで彼らと牛との密接な関係を報告しましたが、このロンボクの伝統集落でも牛の頭が祀られている点は興味深いものです。
 
と、2002年訪問時の写真を紹介しましたが、さすがに20年近く前のことを克明に覚えているはずがない!しかもデジカメではなくフィルムカメラ(とりあえず一眼レフ)を使っていたため、写真の数自体も少ないのは残念。ちなみに、この旅行では、ギリやスンギギ、マタラム、クタなども巡っていますが、ほとんど写真を撮っていないことを今さらながら後悔です。
 

では、今回訪問したサデ集落を紹介します

では話しを今回のロンボク旅に戻します。クタではほぼ毎日バイクを借りており、この日はビーチから外れ幹線道路を北上し、ロンボク空港まで行ってみようと予定を立てる。その道中にはサデ&ルンビタンといった伝統集落やセンコールの街があり、そういった場所を巡りながら運転するのもオモシロそうだと考えていました。
 

クタを出て15分くらいでしょうか、かなり大きな集落が見えてきました。ここがササッ人の伝統集落であることは誰の目から見ても明らかですね。
 

適当な場所にバイクを停め集落内をぶらつく。2002年、サダ集落に着いた時は、即座にガイドを名乗る男性が近づいてきたが、今回は誰も来ず少々寂しい思いを感じる。
 

藁ぶきの屋根は日本にもありますが、それと比べてしまうとメンテナンスが・・・藁を切り揃えるのって確かに面倒そう。
 

屋根を修繕しているお宅がありました。竹は組んでありますが、今後どういった屋根となるかは不明。伝統的な藁ぶきになるとは思いますが…。
 

集落の外れまで歩くと、やっと人と出会えました。と言ってもお土産屋さんですが・・・。2002年と同様に布織物がメイン、目を見張るべき意匠はないと勝手に考え、買物をすることはありませんでした(→ただのケチ?)。
 

お土産屋のそばには、昔、見覚えのある蒲鉾型の屋根を発見。やっとAlangに出会えました。しかもこの辺りの家屋配置は記憶の片隅に残っている。まさにここがサデ集落でしょう。しかし、ガイド役の方がいないと家の中にも入れないし、村の方々から生活の様子も聞きだせないし・・・けっこうツマラナイのです。
 

ここからはスグに幹線道路に出られる。2002年当時にはなかった、サデ集落を示す”Welcome”標識が目立ちます。
 

サデを離れ別の伝統集落を目指すが・・・

『地球の歩き方』のコピーをチェックした際、クタ周辺にはサデとルンビタンという伝統集落があり、それぞれ500mほどしか離れていないことが判っていました。次にルンビタンを目指しバイクに乗るが、それらしい集落が見つからない。なにせ人が歩いていないので、道を聞く人もいないのです。
 

学校を発見!しかも子供たちがワイルドで楽しくなってくる!この女の子たち2人は木のけっこう高い場所まで登り、僕に話しかけてくる。拙いインドネシア語で”ルンビタンはどこ?”と尋ねると、ここがそうだというように頷く。え、ルンビタンってサダと同様の伝統集落じゃないのと疑問に思うが、ここは子供たちの言葉を信じましょう。学校の裏手にあったやや近代的な集落に立ち入ることはせず、空港に向け出発しました。


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