インレー湖の1日クルーズって、ここまで紹介したイワマの水上マーケットやインデイン、さらには漁師たちが織りなす奇怪な光景に触れただけで、もう腹一杯!十分堪能したつもりが、これだけでも午前中の行程が終わっただけ。ツアーはさらに夕方まで続くのです。午後も盛りだくさんなツアー内容を記すと・・・

 ◆ カヤン族(いわゆる首長族)の水上集落を訪問
 ◆ ファウンドーウー・パヤー(黄金仏と祭礼船)を参拝
 ◆ 伝統工芸(蓮織物)の工房を訪問
 ◆ カーペー僧院を参拝

と4ヶ所の集落に立ち寄りディープな観光スポットを見学する上に、インレー湖上の人々の生活にも触れる。安いツアー代金でこれだけ楽しませてもらっているのですから、余は満足ですよ。1日にこなす内容を詰め込みすぎると印象が散漫になり何を見たか記憶に残らなくなりがちだが、このクルーズで体験した記憶は現在でも忘れずに残っている。とにかく強烈な印象を残したインレー湖クルーズ、午後の行程を一気に紹介します。
 

カヤン族(いわゆる首長族)の水上集落:タイ北部~ミャンマーの定番観光スポットだね

タイ北部を巡った旅行記事でもいくつか紹介したが、東南アジアの山岳エリアでツアーを組むと”首長族の村”が行程に組み込まれることが多い。中には自らの文化に誇りを持ち積極的に特異な文化を紹介する村もあるが、観光目的で公開された村の中には業者によって無理に村がつくられ、いかにも村人を搾取し成立しているものも見受けられます。このインレー湖畔にあるカヤン族の水上集落は・・・

皆さん機織機の前に座り、バッタンバッタン布を織っています。とにかく全ての方が機織に従事しており手工芸に秀でていることが判ります。ただね、皆さん女性で、男性が1人も見当たらないのですよ。まぁここには工房だけがあり、住居は別の場所にあるかもしれませんが・・・。
 

あ、女性だけではなく、ネコちゃんも多かったです。ちなみに、ここで売られていた土産があまりにシュール。この背中を反らせたポーズは、妙に艶めかしいが決して興奮はしません。
 

ファウンドーウー・パヤーで見たシュールな黄金仏とカワイイ黄金船

ファウンドーウー・パヤーはカヤン族の水上集落からほど近い場所にある、巨大な水上寺院。

サラッと書きましたが、これだけの巨大な建造物が水上にあるのですよ・・・驚き!木橋を渡り上陸です。
 

黄金の船にご対面

木橋を渡り終えるとスグにご対面できました、黄金の船に。こちらは毎年秋に開催されるファウンドーウー祭の際に黄金のご神体を乗せて湖を巡る船。伝説の鳥、カラウェイを模しているそうです。伝説の鳥のお姿、カワイイデスネ~!小さくつぶらな赤い瞳を見つめると、つい笑いだしそう。少々ふくよかな身体は、まさに富の象徴でしょうか。
 

黄金の本堂に潜入、ご神体の尊き姿を目の当たりにする

本堂に入ると、黄金の仏塔がとにかく目を引く。天井も金箔による細かな装飾がなされ見事です。ところで、女性信者の方はこの本堂の見える位置に留まり、そこより中には入ろうとしない。男性だけが立ち入ることが許される、その内部に足を運ぶと・・・
 

ご本尊である5体の仏像が現れました。うん、こちらが正真正銘の仏像です。え、仏様の形ではないですよね・・・実は、参拝に来た熱心な信者さんたちが仏像に金箔を貼り過ぎたため、元の仏様の形から丸い団子状の形に変わってしまったのです。今や原形をとどめない姿は、私のような信仰乏しき者から見たらシュールな光景。手垢で薄汚れた黄金の外観がステキ!
 

世にも珍しいらしい蓮の織物・・・私には高価すぎてイマイチ価値が不明

再びクルーズを開始、水上集落にあるかなり大きな工房に立ち寄ります。
 

こちらの工房では、蓮の茎から繊維を取り出し、それで布を織っています。ガイド氏の話では、蓮から作った布はこのインレー湖だけで作られており、世界中からバイヤーが訪れているとのこと。ふ~ん、そうなんですか、そこで1mあたりのお値段を聞いたところ、これがウン万円とのこと。縫製もしていない布でウン万円とは、けっこう信じられない価格だった。”珍しい伝統工芸”としての付加価値がついているとしても、布だけでその価格ですか。まあバイヤーでもない私に売るつもりはないから、少々吹っ掛ける気持ちは判ります。
 

家内制手工業から工場制手工業(マニュファクチュア)へ移行する、世界史で習った工業発展の段階を目の当たりにしている気分となり興奮。これぞインレー湖の産業革命や~(by彦摩呂)
 

ガーペー僧院:ジャンプネコはいなくなったが、キッチュな黄金オジサンが出迎えてくれる

工房の見学を終え、再び船上の人となる。ここからガーペー僧院まではかなり長い道のりだった。

退屈になってきたので、ハイスピードでカモメのような鳥を撮影。
 

この辺りは子供でも器用にボート(木舟)を漕ぐ。まぁ水上集落に住む身にとって、学校に通うにも近所の友達宅に遊びに行くにも舟で出かけなければいけないので、当然でしょうか。ちなみに畑も水上に築かれています。
 

すると突然、奇怪な建造物が見えてくる。ガーペー僧院は私たち以外の外国人ツーリストも多く訪れるスポット。
 

私にとっては寺院そのものより、この黄金のオジサンがとても印象に強く残る。何ですか、この指さしポーズは!ダンディ坂野さんのゲッツポーズを彷彿とさせるが、こちらの方が断然切れている!しかもニコヤカなオジサンの足元には・・・
 

フル●ンのやせ細った子供が足元を支えているのです。今回記事のテーマは「黄金」「シュール」ですが、そのテーマにこれほど合うモノを私はいまだかつて見たことがありません。
 

この黄金のオジサンを見てしまうと、他のものはインパクトに欠けつまらなく見える。黄金のご本尊を参拝し、船の出発を待つことにします。
 

クルーズ最後の黄金スポットは、インレー湖に沈む夕陽

ガーペー僧院を出る頃にはすでに日が傾きかけた時間。ステキな夕陽がクルーズの最後を飾ります。

う~ん、すばらしい夕陽。ツアーに参加した一癖も二癖もある面々も一同ウットリと景色に見入っています。
 

ほぼ陽が没した頃、片足立ちのアヤツが近づいてきた。片脚と網籠を大げさに揚げる彼は、日が明るい時間や夕陽と一緒ならフォトジェニックだが、日没後となっては・・・写真に撮りにくいのです。
 
彼は私たちの乗る船に近づき、チップを請求しだしたが誰もお金を払わない。朝は10ドルを差し出した中国の方も無視を決め込む。君、タイミングが悪かったよ。あと10分早く出会っていたら、きっと大金をせしめていたのにね。


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