ベトナムの古都フエは中華王朝の冊封下にあったグエン朝の王都として繁栄を遂げた街、郊外には歴代皇帝の特徴的な陵墓がいくつかあり観光スポットとして賑わいを見せます。ただねぇ私にとって、そうした中華風の歴史的遺産って猫に小判、豚に真珠、その価値を理解しない者にとってはただの陰気で辛気臭い場所になってしまいがち。日本でも見慣れた中華風都市の遺構や寺院をわざわざ異国で見るのって、全くの異世界に迷い込むトリップ感が味わえず退屈……かもしれない。
 
などと愚痴をこぼしましたが、先日フエ王宮を見終わり、その考えを改めることにしました。ただ観光客が多いだけの宮殿はうんざりしますが、ヒトケのない小路や朽ち果てた建造物を見るにつけ、寂寥感と日本的なワビサビの素晴らしさを堪能したことに気づいた私。いや~それなりに年齢を重ねると感動できる視点が変わってくるもの、昔ならジジクサイと馬鹿にしていたことがオモシロくなってきました。

こちらは、フエ王宮に近いBach Dang通りでの一コマ、陰影が織りなす日本的なワビサビが個人的には感じられます!?
 
こうなると、行くことを躊躇していたフエ郊外にある数々の帝陵も訪れたくなってきます。中華風の辛気臭い陵墓もイイじゃないですか!さっそく宿のそばの旅行会社を覗いてみると、フォーン川をクルーズしながら帝陵を巡る1日ツアーが10万ドン(約470円)で販売されており、しかも昼食込み!この金額って、フエ王宮の入場料15万ドンより安いじゃないですか。まぁ帝陵の参観料は含まれていませんが、とにかく安い、安すぎる!これはツアー参加に決定です。
 

私が参加したツアーの内容を紹介

1)まずは、フォーン川のクルーズから始まります。訪問場所は以下の通り:

    ・安軒(中華庭園が美しい家屋)
    ・ティエンム寺を訪問した後、船上でランチタイム
    ・ホンチェン殿
    ・ミンマン帝陵

2)その後ボートを降りワゴン車で観光:

    ・カイディン帝陵
    ・線香製造などワークショップの見学
    ・トゥドゥック帝陵

これだけの場所を見学して500円もしない、なんとステキなコスパの良さ。感動ものです。ただね後ほど気づくが、観光スポットの見学がとにかく高くつく。各帝陵の入場料がそれぞれ10万ドン、安軒2万ドンやホンチェン殿4万ドンも加え、入場料は計36万ドン(約1700円)う~ん絶句!ちなみにドケチな外国人参加者には入場料を支払いたくないのか、ずっと観光スポットのエントランスで我々が参観を終えるのを待つ強者もいました。まぁ私はそこまで精神的に強くはないので、入場料をしっかり支払い全てのツアー行程を消化。では今回記事はツアーの前編、フーン川クルーズとそこで訪れた観光スポットについてレポートします。
 

雨のフエ、クルーズは晴れの日にしたかった・・・

私がツアーを申し込んだオフィスに8:30集合、クルーズ船乗り場まで歩いて向かう。

東南アジアで日帰りクルーズと言えば、今にも転覆しそうな小型ボートに何人も乗り込むものと相場が決まっていますが、このクルーズ船はそれよりは大型、ドラゴンの装飾が目を引きます。
 

先日渡ったチューンティエン橋を下からくぐるのは貴重な経験。まあ特別な感慨はありませんが。
 

「安軒」に降り立つ

ボート乗船後1時間ほどのクルーズ、まず最初の見学場所「安軒」に到着です。グエン朝時代には園宅(ニャーボン)と呼ばれる庭園付き邸宅が築かれ、皇族や高級官僚の邸宅として使用されました。安軒もそのうちの1つ、小さいながらも折々の自然を模りつくられた庭園が見どころのようです。

石門をくぐると、それなりに手入れが行き届いた蓮池がお目見えする。
 

邸宅内には霊廟があり、ウンヌンカンヌンと書こうと思えばいろいろ書けるが・・・。見学時間は割と長めに取られているが、敷地はやや狭い上に小雨が降っているため本心ではすぐに出発したい!ということで、次→→
 

「ティエンム寺」は入場料を取らない点に好感が持てる

次の目的地ティエンム寺までは15分ほどのクルーズ、この程度の時間の方が退屈をしないで済みます。

ボートを降りると眼前に迫りくる高い塔、ティエンム寺のシンボルタワー・トゥニャン塔(慈悲塔)です。
 

この仏塔は高さ21.24mの七層八角形の塔、各層には仏像が安置され、塔の隣りには約2トンの大きな鐘がある……と『地球の歩き方』に記載されています。例えこうした解説をツアー中にレクチャーされても、おそらく30秒後には頭からスッポリ抜け落ちるでしょう。
 

個人的には亀の石碑がツボにはまる。こんな巨大な石を甲羅にのせられて、亀さん辛くないのかなって同情!
 

本尊を祀ったダイフン寺に向かう。ちなみに本尊とは釈迦像となるが、私的には黄金の布袋様がツボにはまる。ガラスケースの中で不敵な笑みを浮かべる布袋さんにカメラを向けると、写真には私の影まで映りこんでしまいました。
 
ティエンム寺でもかなり余裕のある見学時間が取られているため、小雨が降る中オモシロスポットを探し回る。が、そんなに都合よく見つかるわけがナイ。

必至にオモシロを探し撮影したものは上の2枚。巨大な急須と巨大な蜘蛛です。ハッキリ言ってオモロクナイと言わないでくださいね。巨大な急須、そこから注がれる茶を一気飲みする住職……こんなアホな想像を思い浮かべて一人ニヤニヤする私って、少々お疲れ気味のようです。
 
そして、獲物を待つ女郎蜘蛛……なんと淫靡な響きでしょう。まぁこれ以上の言及は避けておきます。
 

高らかに宣言されたランチタイム

船に戻るとすでにランチの支度が終わり、出港後、ガイドさんはさんざん場を盛り上げ高らかにランチタイムを宣言。この頃にはすっかり顔見知りになった外国人同士で、旅の挨拶話を交わしながら食事をとります。と言ってもバックパッカー同士の挨拶話って記憶に残らないモノばかり、残念。
 

「ホンチェン殿」は参拝すると婚期が遅れると言い伝えのある由緒正しき寺

再び『地球の歩き方』から抜粋しますが、ホンチェン殿は「未婚の女性が参拝すると婚期が遅れる」らしい。私の場合、アラフィフのオヤジなので全く関係ないが、このツアーに参加する方々には少なからずお若い女性もいるので・・・まぁ所詮は言い伝え、気にする人はいないのでしょうか。

外はかなり土砂降りの雨に変わる。ランチ時から私と話していた西洋人は、わざわざ入場料を払ってまで降りたくないと主張しだす。いや~、彼はかなりの締まり屋、その後の帝陵でも入場料を払うのが嫌で、門前の土産物屋で一行が見学し終えるのを待っていると主張しだすと、それに同調した西洋人数人が彼を中心にタムロしだす等々の小さい伝説をつくる。私の場合、せっかくここまで来たのだからと自分を納得させ下船するが、彼の主張が正しかった。雨を避ける場所に乏しい古刹、ここに長時間留まるのは苦行です。ただね、すぐ船に戻ってしまうと彼らに笑われながら「ほら言わんこっちゃない」とマウントをとられるのがオチ、雨の古刹を楽しむことにします。
 
ここで一つ考察。私は、入場料を払うのを惜しがる彼らを「締まり屋(=ケチ)」と表現しましたが、わざわざツアー代金を支払ったのだから、その全ての行程を消化しようと意気込む私もある意味「ケチ」でしょう。コスパを求め、支払った分の価値を全て堪能しないと気が済まない私に対し、入場料をケチる彼ら、どちらの方が貧乏根性丸出しなのかは・・・謎です。
 
今回記事はここまで、次回はフエ観光のハイライト・帝陵の数々を紹介します。


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