昨今は”映え”写真を狙うツーリストで賑わいを見せるホイアン旧市街、古い街並みを散策すると、まるで明朝時代の華南(中国南部)にある地方都市にタイムトリップしたような気分にさえなる。古い街並みをそれらしい時代の衣装に着替えコスプレすれば楽しさは倍増・・・?

う~ん、キツイゼ!仮にオヤジバックパッカーが一人でコスプレ衣装に身を包んでニタニタ微笑み歩いていたら、きっと通報されてしまう。まぁ街なかに氾濫するコスプレカップル、この紳士淑女たちのドヤ顔を間近で見せつけられると、幸せを祝福する善人を装いながら沸々とイラダチがこみ上げてくる。そんな私のことを心の狭い奴と軽蔑するのはケッコウですが、逆に言えば相思相愛のカップル達にとって、これほど(孤独なオヤジに対して)マウントをとれる場所は少ないのでは?カップルの方々、ホイアンに来て卑屈なバックパッカーを見下してやってください!
 

繰り返すが、ホイアン旧市街はたった一人で訪れるオヤジバックパッカーにとってかなり難易度が高い鬼門だったのです。他人のことは気にならず、一人孤高を守りながら旅を続ける姿に誇りを持っていたのにも関わらず、そうしたプライドをずたずたにされる街ホイアン。ただねぇこれまでカップルだらけの街を避けてきたからこそ、こんなつまらないプライドが守れてきた気もする。そう、現実世界は人も羨むカップルだらけ、私のようなバブル期に学生時代を迎えた者にとってはクリスマスを思い起こせば判るじゃないですか。独り身男性は人にあらず!そう言えば彼女がいない者同士が集いクリスマスイブに合コンを開いたが、そこからカップルは1組も誕生しなかった・・・こんな懐かしい時代の光景を想起させてしまうホイアン旧市街、ただモノじゃないぜ!
 

ホイアン旧市街観光、チケットを購入せずに楽しむもう!無料で入れる観光スポット

ホイアン旧市街の主な観光スポットに入場するためには、5枚つづり12万ドンの観光チケットを購入せねばならず、かなりどうでもよい場所(失礼!)でもチケットの提示が求められる。フラフラと気のおもむくまま感じの良さそうな旧家に入ろうとしたら、かなり強い調子で「No~No~!」と言われ興ざめしてしまう方が後を絶たないとか(それ、私です)。独り身状態の我が身に加え、まともに旧市街を観光したら財布まで寂しい状態となる・・・なんて世知辛い街なんでしょうか。
 
意地でも金を落とすかと強い決意を持ち、飲んだくれるのも一つの手です。オシャレカフェでウダウダ過ごす、例えば・・・

こんなカフェで疲れきった顔で街歩きに勤しむ人たちをウオッチングすることも、まぁ一興でしょう。ただね、せっかく東南アジアを代表する”映え”の街に来たのですから、お金をかけずに楽しめる観光スポットをいくつか紹介したいと思います。まぁ私の訪れたときは完全に無料でしたが、もしその後に有料となっていたらゴメンナサイ。
 

まず目指すは「中華会館」(Hoi Quan Ngu Bang)、ここで中華革命の息吹を感じる

こちらは『地球の歩き方』にも解説がなされる観光スポット。その記述を引用すると「1773年に福建、潮州、海南など5つの省人会が共同使用の目的で建てた集会所」とのこと。質素な建物に拍子抜けする方もいるかもしれませんが、なにせ無料!他の〇〇会館は、これと同規模でもチケットが必要なことを考えれば(ホイアンにしては)良心的です。
 

祠の中央には航海安全のための守護神「天后聖母」と帆船の模型が飾られています。
 

さて、私が選ぶここの一番の見どころは上の写真、三民主義が彫られた柱でしょうか。孫文が唱えた三民主義とは民族(清王朝=満州族国家を打倒し、漢民族による国家を打ち立てる)、民権(民主主義達成と共和国の建立)、民生(近代化と社会福祉の充実)を柱とした中国革命の基本理論で、その後の清王朝打倒から中華民国期にかけてのスローガンとなったことはご存知のことと思います。この三民主義を表に出しているということは、20世紀前半にここが中国革命のベトナムにおける拠点として機能した(現在も機能している)ことををうかがわせますが、いかがでしょうか?
 

鮮やかな黄色の彩色が印象的な黄詞堂

潮州会館や福建会館など旧市街の東から攻めているなら、日本橋(来遠橋)を渡った先にこの黄祠堂があります。小さい祠ですが、この鮮やかな彩色がとにかく気に入りました。なんと言っても無料です!
 

ちなみにこの祠のそばには、革命アートと申しましょうか、社会主義国家建設のための古いスローガンやポスターを集めたお宅があり、当然無料で見させていただきました。中国国内でもそうですが例えば文革時期のポスターなど、現在の”資本主義”に染まった市民から見ればつい笑ってしまう”革命”絵画・文物が、かえってポップアートとしてのポジションを獲得しているようです。
 

徳寶寺(Chua Phap Bao)

この寺に僕が関心を示すような見どころは・・・ありません。でも無料です、GOO~D!
 

ホイアン旧市街をただ歩くだけで、ポップでステキな光景に巡り合えるのです

本音を言えば、ホイアン旧市街でわざわざ観光スポットを目指すのならチケットを買った方が良いです。無料のスポットはしょせんは無料……有料スポットより無料スポットの方がオモシロいのならば、誰もチケットを買いませんよね。しかも、さすがはインスタ映えの街、ただ出歩くだけでもステキな光景には巡りあえます。

古い街並みにベトナム国旗が掲げられている何気ない風景もカメラを向ければご覧の通り、さまになっているでしょ?そうした視点で見れば、トゥボン川に浮かぶ船も風情があります。
 

そう思えば、どこを切り出してもインスタバエ~、もうどうだっていいぜ~となるはずです。しかし、せっかく旧市街にいるのにケチ臭くチケットも買わず、むやみに映えスポットを探すのも虚しくなるばかり。やはりチケットを買って観光スポットを目指そうと決意を新たにするのでした。


<スポンサーリンク>