私はホイアンに1週間ほど滞在したのですが、旧市街の”映え”スポットでマッタリするだけでは、とても長い時間に感じられる。旧市街にも飽き、そろそろ重い腰を上げて旧市街の旅行会社を覗いてみると、いかにもオモシロそうなツアーの数々が誘いの手を伸ばしてきます。その中から選んだ「ミーソン遺跡」探索ツアーは昼食込みで15万ドン(約708円)という安さ!しかも往復でバスとボートを選べるという、まことに魅惑的な内容。まぁこれまでもツアーと言えば、パンフレットに書かれた内容と実際のツアー内容では大きなギャップがあり、結果的に不満たらたらで終わることが数多あったのですが今回のツアー、結論から言えば大満足、値段以上の価値があるコスパ抜群のツアーでした。

 

まず始めにミーソン遺跡について少々の解説(『地球の歩き方 ベトナム編』を参照)

例によって『地球の歩き方』の解説をそのまま引用します。2世紀末から17世紀までベトナム中部の海岸平野に栄えたチャンパ王国の聖地として、このミーソン宗教都市が建築されたとのこと。現在の遺跡群は8世紀から13世紀末までにつくられた遺構で、見どころはヒンドゥ~仏教信仰期のチャンパの女神像や各種石像。1999年にユネスコ世界遺産に指定された、とても由緒ある遺跡・・・。これは私の個人的な偏向解説ですが、時代的にはカンボジアやタイ・イサーン地方で見られるクメール遺跡と同時代のもので、建物デザインや伽藍の配置など、クメール王朝の影響がとても強いものと思われます。う~ん、期待が持てるゼ!
 

ではミーソン遺跡ツアーをご覧ください

ミーソン遺跡はホイアン市内からクルマで1時間半ほど、始めはノドカな農村地帯を走るが遺跡の手前からは緑深い山に分け入る。写真はミーソン遺跡エリア入口のゲート。ここでクルマを乗換え再び降りて渓流沿いを歩いたりと、かなりせわしないです。
 

遺跡管理小屋に到着、驚愕のチャムダンスショーを目の当たりにし目が……点!

ガイドによると遺跡管理小屋では毎日9:15,10:45,14:00,15:30からチャムダンスショーなるものが行われ、人気があるらしい。急げばショーに間に合いますよ、ということでクルマから降り一目散に管理小屋に向かいました。

会場にはすでに多くのツーリストが詰めかけ熱気ムンムン、今にして思えばエロそうな目つきをしたオヤジが多かったなぁ~……。ショーの始まりは4人の美女による壺を使ったショーや、息を切らさず笛を吹き鳴らす男性など、少々変わった趣向ではあるが健全なショーでした。
 
ところがライティングが明らかに変わり、場末の風俗街のような原色バリバリの照明に照らされ登場したのは…

待ってましたとばかり、オヤジたちの声援が飛び交う。なんなんじゃ~このお色気ムンムンの衣装は!音楽も妙に艶っぽいものに変わるが、えっチャンパ王国時代にそんな演奏があるわけないゼ!
 

子供たちも多く見ていた中、引率の母親はアタフタしているかどうかは不明だが、とにかくオヤジ世代が盛んに声援を飛ばしている。大体、この振り付けは誰が考えたんだよ!ラジオ体操第二のゴリラポーズさながら二の腕の筋肉を強調するポーズは、チャンパ王のご趣味なのでしょう。いや~とても上品なポージングです。声援を飛ばす下品なオヤジたちに混じり、同世代の私も一緒に楽しまないとモッタイナイ。ここは親子水入らずの健全な環境の中、オヤジたちのパラダイスじゃ!
 

チャンパ遺跡を巡る:グループB~Dエリア

ショーを十分に堪能すると、その観客たちが一気に遺跡になだれ込むのだから、遺跡エリアには人だかりができるのは当然ですね。

ミーソン遺跡のメインエリアであるグループB/C/Dはおおむね1つにまとまっており、時間がない観光客はこのエリアを巡るだけで十分だと思います。ただ、ダンスショーの直後は人が多いため、避けた方が無難かな?
 

日本の意匠とは全く違う”異世界”を心置きなくぶらつくのが大好きな私、とくにカンボジアのクメール遺跡や中東の遺跡がトリップ感を強く味わえる。ただ、あまりツーリストがいない方が気分は盛り上がるのですが。
 

エリア内にはリンガ(シヴァ神の象徴)や女神の彫像・レリーフなども多く残され探検気分が味わえます。ただ、人のいない時を見計らわないと気分は盛り上がりませんが。
 

人混みを避けたい方におススメするグループG

ミーソン遺跡のメインエリア・グループB~Dはどうしても人が多いため、それを避けるならば別のエリアに行けばいいだけの話し。グループGはグループCから5分ほど歩くが、その程度離れただけで人はぐっと減ります(ほとんどいない)。
 

私が勝手に選ぶグループGの見どころは、宮殿の四角にある”悪魔”の彫像。ってこれが悪魔かどうかは判らないが、映画エクソシスト(古い!)で登場したシリアの遺跡から発掘された悪魔の彫像なるものにソックリです。嘘だと思うのなら、ぜひとも映画エクソシストをチェックしてね(あまりの恐怖に脱糞しても責任は持てません)。
 

自然に埋もれた廃墟遺跡が魅力のグループE

グループE自体は整備されたエリアもあるが、その近隣に廃墟遺跡が点々と放置されているのが興味深い。そうした”廃墟”に関心を示すツーリストは意外に少なく、とてもステキな空間が広がっています。
 

再度申すがグループB~D周辺にあれほど溢れていた人波が、そこから少し離れるだけで一気に静寂が支配する廃墟となる。カンボジア・シェムリアップのメジャーなクメール遺跡なら、いつ訪れても人・人・人だが、それと比べ規模・内容的には遜色がないミーソンにはまだまだ人に荒らされていないエリアがあるのは新鮮でした。ただ私もツアーに参加する身、バスの出発時間までには戻らないといけない、う~んシンデレラ(?)の気持ち。後ろ髪をひかれる思いで遺跡を後にしたのでした。
 

追伸:帰路はボートでホイアンに向かう

帰りは途中からボートに乗船、トゥボン川を下りながらホイアン市内に戻ります。ツアー代金に含まれていたランチは船内で、内容は豪華とはいえないが、野菜たっぷりのボリューミーなメニュー。味の方は……論評を差し控えます。この頃にはツアーご一行はみな顔見知り、ベトナム語は判りませんが拙い英語で自己紹介タイム!この後、合コンのノリになればGOO~Dだったのですが、皆さんチャムダンスショーが目当てのエロい目つきをしたオヤジたちばかりでした。う~ん、残念!


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