(久々の更新なので、まずは前置きの御挨拶)2021年も残すところ2カ月弱、皆さまいかがお過ごしでしょうか?昨年はGoToキャンペーンが実施されたことで、年度後半になると猫も杓子もオヤジも旅たびタビの日々をエンジョ~イ……とまぁ世間全体を覆っていた浮かれ気分も影響したのでしょうか、今年はコロナ第3波・第4波・第5波と怒涛の大津波が押し寄せてきたのでした。そんな状況下でオヤジも長期旅行を諦めコロナワクチン接種による副反応に呻く日々を送っていたのですが、なぜか9月後半以降になるとコロナ感染者数が激減、まさかの”旅しようぜ”といった雰囲気が醸成される。私もワクチンは2回接種済み&日頃のマスク着用と手洗い消毒を真面目に守っている身、旅励行(?)のビッグトレンドに乗るならぁ~(第6波到来前の)今でしょ!


目指す目的地は北海道の釧路、事前に入手していたピーチのキャンペーンチケットを使い2021年9月20日~26日まで1週間程度の旅程。道東を旅行するにはいささか短いかなと思いますが、この日程で釧路・霧多布・阿寒エリアを存分に楽しみました。今回記事は霧多布編、まさかまさかの珍道中&素晴らしい出会いの旅に感動!(テレビ東京系番組のキャッチコピーではありません)


釧路で迎えた朝、「鮭番屋」にて食べログ高評価レビュー通りの素晴らしい朝食を堪能した後、30分ほどかけ釧路駅まで歩く。港町を貫くあまりに寒々しい国道で歩を進めるうち上機嫌だった妻の顔がどんどん引きつってくるのはマァ想定の範疇内、タクシーを停めようと仰られてもねぇ…。釧路11:12発JR快速ノサップ号には余裕で間に合い、茶内へと向かいました。


この根室本線、釧路・根室間では進行方向右側の座席を断然推し!車窓から見える景色がまるで左側とは異なる別世界が広がります。門静駅を過ぎる厚岸湾が、厚岸駅を過ぎると汽水湖の厚岸湖が広がり、どこでカキを養殖しているんだと目で追いたくなる。ただねぇこの程度の景色で感動していたらマダマダ甘い。

しだいに湖面からは離れていくが、比較的幅が広い川がつかず離れずついてくる。よく目を凝らすと一面は大きな水辺、我々の乗るキハ54系気動車は水草が生い茂る湖の上を滑り走る錯覚にすら陥いる。現実感があまりにない、例えればシベリア辺りを旅する気分に浸っていると、いつの間に茶内駅へ到着しました。


茶内駅舎を出ると目の前で浜中町営バスが私を迎えてくれる。すぐに発車のはずだが、運転手氏がなんともまぁ気さくな方で”良かったらトイレに行ってください”と声をかけてくれる。”トイレは済ませてあるので大丈夫ですよ”と応えるが、”いやぁぜひともトイレを使ってみてください”と謎の念押し。なぜトイレをそこまで勧めるか理由を聞いてみたところ、実は数日前に駅前トイレを新たに竣工したらしい。これまでのとにかく汚いトイレに代わり、最新のハイテク仕様(?)トイレができたのがあまりに嬉しく、観光客の我々にも使って欲しいとのこと。う~ん、納得!

トイレで気を良くした運転手氏は、その後も浜中町の経済・観光事情をいろいろ教えてくれる。タカナシ乳業が茶内に進出しハーゲンダッツの原材料を作りだしていることを自慢げに語る氏の誇らしげな姿にホッコリしました。ちなみに運転手氏がしきりに勧める観光スポットは琵琶瀬展望台。私のプランではまず霧多布岬を訪れるはずだったが、妻のかなり疲れきった表情を見ると、バスを降りてから岬まで30分以上歩く(予定)のはさすがに気が引ける。ここは運転手氏が言う通り琵琶瀬展望台(バス停から徒歩0分)へ向かうことにします。

いったん「ゆうゆ」でバスを乗換え到着しましたよぉ……琵琶瀬展望台!左(北)に目をやれば眼下に広がる霧多布湿原、右(南)には太平洋の海原が広がる光景はさすがの絶景。妻も満足げな表情を浮かべておりホッと胸をなでおろす。実は私にとって琵琶瀬展望台は2度目の訪問、30数年前に来た際は霧多布里という民宿に泊まるついでココを訪れたのだが、当時は霧が薄く出て幻想的な光景が広がっていた。どちらの景色の方が好みかと申せば…幻想的な方かな?

展望台では20分ほど過ごし折り返しのバスに乗車、「仲の浜入殖」といういかにも最果ての開拓地然とした場所で降りることを伝える。目指す民宿わたなべは、この降り場の眼の前にありました。

サイトに記載されていたチェックイン時間15:00には1時間以上早いなと思いながら声をかけると、すぐ部屋に入れますよとオーナー女性から優しい言葉で出迎えられる。そして18:00の夕食時間までまだしばらく時間があるが、もしよかったらクルマを出すので行きたいところはあるかと尋ねられた。これはスペシャルな申し出!翌日に霧多布岬へ行こうかなと漠然と考えていたが、バスが走る霧多布市街地から岬まで片道30分以上を往復歩くのが面倒だった……思い切って霧多布岬まで片道(もう片道は自分の足で歩きたかった)送ってくださいと申したら、あっさりOKの返事がでる。感謝!

最寄りの駐車場から岬までの歩道はまさに最果ての地を体現した道、茫洋とした海原に目をやるといきなり断崖絶壁が現れる。油断していると風速ウンメートルの比較的強い風に身体が流され断崖からジャ~ンプ…とならないよう、気持ちを引き締めて歩を進めます。


霧多布岬を示す看板の前で記念撮影後、先に見える灯台(湯沸岬灯台)を目指す。


この遊歩道は灯台が終着点ではありません。まだ先、岬の先端に行けば「運が良ければ」ラッコのカワイらしい姿が見られるはず……どうも私たちはラッコとはご縁がナカッタようです。

岬見学を終え霧多布市街地までトボトボ戻る。この霧多布がある浜中町はルパン三世の原作者モンキーパンチさんの故郷ということで、浜中町総合文化センターでモンキーパンチコレクションが見られるはずなのです。足を引きずりながら文化センターに到着した私たちは目を疑うような光景に遭遇する。そこはコロナワクチン接種会場に転用されており、部外者が入り込めない場所と変貌しているのでした。文化センターでバス発車時間まで2時間ほど過ごそうと考えていた私の念密なプランが脆くも崩れ去る。周辺の飲食店も開いている様子はなく、ただ1軒、セーコーマートの明かりが灯っていただけのような気がする。藁にもすがる気持ちで文化センターの方に休める場所があるかどうか聞くと、近くに喫茶店があるとのこと。助かった!


勧められた場所は、いまや絶滅寸前の全テーブルがゲーム機仕様の喫茶店でした。他に客が入る様子もなく、退屈しのぎにオーナーと時折会話をする時間……まさに海外旅(バックパッカー)生活をしていたあの頃にタイムスリップした時間が流れていきます。

民宿わたなべに無事戻り、お待ちかねの夕食タイム。テーブルに並ぶのは・・・花咲ガニをメインに厚岸産カキ、ローストした鹿肉、ブリの煮物、シマエビと刺身、各種おでんetc…とにかく地物のご馳走が並ぶは並ぶ。こんなご馳走がでるのは盆暮れ正月くらいのもの。しかもどれも味付けが素晴らしく、多すぎる~と思いながら全て平らげてしましました。


翌朝、部屋に差し込む光で目を覚ます。窓辺には朝焼けに光る最果ての海が広がる光景が広がっていた。朝食で頂いた、サンマの塩糠焼きもとにかく絶品。茶内を9:38に発つ列車に間に合うよう駅まで送っていただくが、オーナーとの別れ際、妻の目が少し潤んでいることがハッキリと分かる。コロナが終息せず私も海外に出られない状況がしばらく続くのだったら、必ずやわたなべさんを再訪しようと心に誓うのでした。



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