私にとって思い出が詰まった街、月島と門前仲町を私が訪れたのは2019年3月21日、気温が高く少々早い桜の開花宣言がなされた日は春分の日と重なったため、いずれの街も大賑わいでした。月島のもんじゃストリートではどこの飲食店も行列をつくる。門前仲町の深川不動では、最近に新築された本堂で行われる護摩祈祷の見物者があまりに多く、肝心のお護摩焚きの迫力ある炎が上がる光景がほとんど見えませんでした。富岡八幡宮も多くの人出があり、1年以上前に起きた某事件の影響をさほど感じさせず、本来関係ない私もホッと胸をなでおろしました。

 
さて、月島界隈や深川がいつの間に観光地に変貌してしまっていたことは、私にとってある意味驚きでした。月島のもんじゃストリート、確かに噂には聞いていましたが、もんじゃに行列をつくる発想って昔はなかったですね。あれって駄菓子屋で食べるもの、小遣いに100円をもらった時に喜び勇んでオバチャンにつくってもらうもの、それが今や1000円超えの少々お高い料理となってしまいました。結局どの店も混んでいたため、もんじゃにトライはしませんでしたが。しかも月島名物と言ったら焼き豚だったはずですよ、それがもんじゃ屋は大盛況なのに「たかさご」は休業、ああ焼き豚が買えずに残念!
 
そして門前仲町(富岡)のお不動様!ずいぶん立派になって驚きました。参道正面の本堂が小さく見えますが、これはご愛敬。お不動様がこれほどの発展を遂げて、とても喜ばしい限りです。
 

私、さほど協調性があるわけではないのです!同調圧力は勘弁してください

観光化が進みある意味スノッブな街に変貌した月島と門前仲町、今さら行列の中に入りコスパの低いブランドもんじゃ焼きに舌鼓をうったり、お護摩炊きの列に並んでカバンを差し出すことは、私の本意ではありません。大勢の人が同じ方法で楽しむ、いわば同調圧力がかかった行動って、なぜか恥ずかしく感じてしまいます(-_-)
そもそも幼少時に馴染んだ街を観光するって、どこか妙ですよね。例えば京都清水寺や金閣寺の参道で生まれ育った方が、清水や金閣のことをよく知っているかどうかと言えば疑問符が付きます。私がいくら深川と縁があったとしても、ここの有名店に詳しいかと言えば、そんな訳がありません。サラリーマン時代に「みかわ是山居」で1回くらい食べてみたかったなぁという気持ちはありますが、そんな機会は訪れませんでした。門前仲町でせいぜい知っているのは「魚三」と「いり江」くらいでしょうか。
 

雑踏の中の異空間、その場所だけに静寂が宿る場所

しかし、こんな大都会東京の観光化された街にも穴場的な場所が存在するのです。例えば、月島に来たのなら、月島の路地裏や佃島を散策してみましょう。ちなみに、この辺りの民家の特徴あるつくり、例えば看板建築や古い木造家屋の家割、長屋建築などは専門の書籍やサイトに解説を譲りますが・・・。
 
佃島にわざわざ来たなら(おそらく)訪れる場所は「住吉神社」と老舗佃煮屋が3軒並ぶ一角、また隅田川の光景でしょうか。

これだけの景色を見ても確かに美しいです。しかも月島と比べれば観光客の数はグッと減ります。しかし、本題はこの住吉神社ではありません。それこそ、観光客はほとんど訪れない、静寂に満ちた場所があるのです。
 

佃天台地蔵尊

佃島を散策していると赤い幟が目に入る、こちらが佃天台地蔵尊に入る参道の目印です。

しかし、ここはあまりにも狭い路地、地元の者でもないのに入ってしまっていいのかどうか迷ってしまいます。が、迷ってここに参拝しないのはモッタイナイ!ここを入るのを躊躇してしまうネガティブな発想は捨て去り、参拝に行きましょう。
 
さて佃天台地蔵尊の歴史や背景についてといきたいところですが、そうした解説は他の方が詳細にブログや書籍で発表しているので、そちらをご参照ください。ここでは私の印象論を中心に述べさせていただきます。
 

いよいよ本堂にたどり着きました。ご本尊の子育て地蔵尊は一枚の自然石に線描で刻まれたもので「天台地蔵比丘妙運」の刻銘があります。
 

さて、佃天台地蔵尊でもっとも目を引くものは、入口にある大きな銀杏の木です。この巨木は建物よりもずっと大きく、地蔵尊本堂の屋根は木の幹を傷つけないように建てられています。
しかし、この木が本堂を貫く光景はかなり異様なもの、なぜこうしたつくりになったのでしょうか。私の印象論で申し訳ありませんが、まず、本堂の屋根を建造する前に銀杏の木が存在したものと類推すれば、この地はもともとこの巨木に対する信仰があったのではないでしょうか(ご神木ですね)。歴史ある神木は成長と健康の象徴として、氏子の方たちが我が子の健やかな姿を重ねて願うのは自然の姿だと思われます。
 

深川不動堂 祈りの回廊

月島と門前仲町の間は歩いて20分くらい、この2つの街を巡るのは絶好の散歩コースです。さて、深川不動堂(お不動さま)にたどり着くと、ここも参拝客が群れをなす。皆さんのお目当ては少し前に新築された本堂でのお護摩炊きを見学することだと思われます。ちなみに深川不動堂についても多数のブログや書籍で紹介がされているので、ここでは私の印象を中心に述べます。
 

「開創310年記念事業として建立された新しい本堂」とお不動さまのホームページで紹介されているとおり、全く見覚えがない建物がつくられていました。確かここには以前、駐車場やテニスコートがあったけなぁと不完全な記憶を呼び覚まします。
しかし、この本堂スゴイですよ!壁全てが梵字で埋め尽くされており(真言梵字壁)、先のホームページでは「仏の力に守護された空間」と記されているが、本当にそうした気持ちに突き動かされます。
 
さて、この梵字で埋め尽くされた本堂には内部に入場するためのドアがつけられているが、ここを入ろうとする方は誰もいません。試しに巫女さんの方にドアの内部は何か尋ねてみると、「祈りの回廊」があり、どうぞご自由にお入りくださいとのこと。本堂を新築した際につくったのでしょう。
 
重たそうな自動ドアが開き、「祈りの回廊」に入場すると・・・

う、美しい・・・しかも中には誰もいないため、凛とした静寂感が辺りを包む、素晴らしい場所です。しかも一つ一つの”光”を見ると、それら全てがクリスタルの像となっている。深川不動堂ホームページによればこの祈りの回廊は「約1万体のクリスタル五輪塔が奉安」されているとのこと、信者さま達の祈りの情念を強く感じさせるタダならぬ雰囲気が漂う空間でした。


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