今回は、モンゴル大草原ツアー第1日目後半とモンゴル式テント・ゲル(一応はゲストハウスという名)「MUNKHSUURI GUESTHOUSE」での初日宿泊の様子を報告します。ゲストハウスとは名ばかりの、ゲルを囲むキャンプ状態の中での食事に加え、夜の珍客の来訪、流れ星がいくつか見えたモンゴル大草原の夜・・・まるで、小中学校時代の林間学校のよう。アウトドア派にとって、モンゴルは憧れの場所なのが納得です。

 

夕刻、エルデニゾーに到着。しかし・・・本格的な観光は翌日に持ち越し

謎のチベット仏教聖地(?)の拝観を終え、車はさらに走り続け、夕方、ようやく本日の目的地である、古都ハラホリン(旧名カラコルム)にある世界遺産エルデニゾーに着きました。

エルデニゾーについて、少々、解説します

エルデニゾーはハラホリンにあるチベット仏教ゲルク派の寺院群の総称です。108のストゥーパ(仏塔)が約400m四方の外壁に並び、内部には寺院や塔が立ち並ぶ様はまさに圧巻。2004年に「オルホン渓谷の文化的景観」として世界遺産に登録されました。
 

エルデニゾーに到着。外観の様子をご覧ください。このストゥーパの連なる光景はやはりスゴイ

この光景、やはり圧倒されます。実は学生時代にチベット仏教にはまり、大学院で学問に励んでいた1997年に中国チベット自治区を旅行した経験があり。この時は成都からカトゥマンドゥまで陸路で旅行したが、これほどの大群ストゥーパは見たことがナイ。う~ん、壮観!
 

大門の扉は閉まっていた・・・しかし、エルデニゾー内部に難なく入れました

到着時間が遅かったのか、エルデニゾーの入口にある大門の扉は閉まっているように見えました。あ~ぁ、今日は見学ができないのか少し落胆したが・・・大門の扉にある小さな出入口を押してみると開くのでした。これは、中に入れますね。
 

無断で中に入るのは、やはり気が咎める・・・観光は翌日に持ち越すことになりました

この通り、無断でエルデニゾー域内に入ることはできたが、著名な「ラブラン寺」などは見学できませんでした。仕方がないので、エルデニゾーの観光・拝観は翌日(5月2日)に持ち越し、改めて訪問することに決定。
 

本日の宿泊先ゲルでは自称芸術家のオヤジが来訪、微妙なパフォーマンスに思わず苦笑と戸惑い

再び車に乗り込み10分も走らないうちに、車から降りろとの指示。着いた先は・・・なんの予備知識もなくツアーに参加した私たちにとって意外な宿泊先でした。え、これがゲストハウスなの・・・?

着いたゲストハウスの名は「MUNKHSUURI GUESTHOUSE」、まぁアウトドア派にはシックリくるかな?
ゲストハウスの看板はあるけれど・・・どこにゲストハウスがあるの?

車から降りると、確かにゲストハウスの看板はありました。え、ここにホテルがあるの?どこに泊まるの???ただただ広大な空き地に羊が放牧されているような場所に面食らう。犬もいるが、こちらには吠えない、良い子だね。
 
キツネにつままれた感じとなったが気を取り直し、ゲストハウスらしきものを探す。木の柵で囲まれた一画があり、誰か人を呼ぼうとしたが誰も出て来やしない。

仕方なく木の柵の中にガイドともども勝手にドカドカ入っていくと、そこにゲルが多数建てられていました。そう、本日泊まる「MUNKHSUURI GUESTHOUSE」のようです。
 

素朴な現地の方々が柵の中に入り込んで散策しており、どこがゲストハウスでどこが村落なのか皆目わからず。
 

いよいよお楽しみ、夕食タイム
外に長い板を渡し、1列になって夕食をいただきま~す

夕食のメニューは、羊肉と野菜がたっぷり入ったスープにパン。スープは塩味が効いていておいしかった!パンには、たっぷりのバターとジャムをつけていただきます。長い板を渡して、ツアー参加者が1列に並んで夕食を食べました。
 

もう夕方、この長~い影、ご覧ください

日の入間近ですが、これだけ伸びた影は見たことがナイっす。さすがモンゴルっす。
 

ネコもおすそ分けをいただきました

新鮮な生肉、おいしかったかな?
 

夜は突然の来客にビックリ。モンゴル伝統芸能のコンサートがいきなりスタート
突然のオヤジの来訪。彼は、モンゴル伝統芸能の達人・・・!?

ゲルの中でジュースなどを飲みながら一服している時、突然どこかの見知らぬオヤジさんが訪ねてくる。オヤジさんは写真帳と古い『地球の歩き方』を持っており、一応は通じる英語で「ほれ、ここで俺が紹介されているだろ!俺は、馬頭琴とホーミーの達人だ」と主張する。
 
私と伴侶の2人は「イイね、こうした機会にせっかくだからモンゴルの伝統芸能に触れたい」と互いに言い合っていたが、他の参加者の方々がお金を出すことに渋っている様子。確かに自分で「達人」と言う方に本物の達人がいることは極めて稀で、あまりにも胡散臭いオヤジさんにお金を出したくない気持ちはよく判るよ。結局1人5ドル(計40ドル)の出費で合意、オヤジさんは一度外に出てモンゴル伝統衣装に着替えた後にゲルに戻ってくると、いきなり伝統芸能コンサートが始まりました。
 

まずは、馬頭琴の演奏。ゲル内部(つまり寝る場所)の様子と一緒にご覧ください

こちらのバイオリンのような楽器が「馬頭琴」(モリンホール)。具体的にどんな音がでるかは、YouTubeなどで検索してみてください。ただ、オヤジさんの演奏は私のような素人の耳で聴いても、その良さが理解できない。YouTubeでアップされた動画や後日ウランバートルで聴いたものとは、まさに別物のような気がした。ただ、オヤジさんの自信満々な態度を見せつけられると、「それもしかしたら下手だよね」とは言えない雰囲気でした。
 

モンゴル琴(ヤトゥガ)の演奏も行われたが・・・

写真からも伝わるでしょうか、とにかく微妙の一言。
 

オヤジさんは興に乗ってきたのか、自分の身体で演奏を始める

オヤジさん、ホーミーもやりました。ホーミーとは「喉歌」と呼ばれる歌唱法の一つで、緊張した喉から発せられる笛のような声が特長です。もう相当の大昔、おそらく20年くらい前でしょうか、松任谷由実さんがモンゴルを訪ね本場のホーミーを堪能するという番組を見たことがあります。このことはずっと記憶に残り、「モンゴルに行ったら絶対にホーミーを聴く」と決めていたが、オヤジさんの奏でるホーミーはテレビで見たときのホーミーとはあまりにも違いすぎる!ちなみに後日「トゥメン エフ民族アンサンブル」のホーミー公演を聴いたが、うん、本場のホーミーはとても素晴らしかったです。
 
パフォーマンスが進むうち、オヤジさんはどんどん調子にのってきたのか「自分は身体のどこからでも音が出せる」と言ってきた。目や腹、オデコ、頭を順に小さなしゃもじで叩き奏でる音は「ポン」!おそらくは僕でも出せる音。
 
オヤジさんの演奏技量に対しお金を払う価値があるかどうか……なんてことはどうでも良いのです。この人とにかく面白すぎる。しゃもじでオデコを叩きながら一瞬かなり痛がる様子を私は見逃しませんでした。それほど思い切りよく叩いて聞こえる音が乾いた「ポン」、う~ん、まるで身体を張るお笑い芸人のよう。そのうち、頭を高速で連続して叩く”大技”を繰り出すが、すぐにイタ~イ、イテテテと頭をさすりだす。あまりに滑稽な光景に私など心の中で大笑い。ちなみに女性陣は心配した様子で”大丈夫ですか?”とオヤジさんに駆け寄るが……私には心配する”優しさ”が欠けていました。
 
とにかくオヤジさんのあの気合の入った衣装に加え、これだけの演奏道具をわざわざ持参した苦労と凝った演出、つまり大げさな舞台装置を用意してまでオヤジさんが行ったことはオデコを「ポン」と叩くこと。う~ん、シュールだぜ!最高のエンターテインメントを見た気分に浸りとても満足しました
 

ではでは、眠りにつく時間です。おやすみなさい

オヤジさんの素晴らしいショータイムも終わり、薪ストーブに火を灯します。ゲルの室内には上から裸電球が吊るされているが、電気を消すと経験したことがないような真っ暗闇が広がる。ロウソクに火をつけ、そろそろ眠りにつきます。この1日、突然のツアー参加から始まり、モンゴルの厳しい大自然を堪能。最後は、お酒をたしなみながら、オジサンのよく判らないパフォーマンスと盛りだくさんなツアー内容に疲れがどっと出てきた。
 
とにもかくにも、1日目の夜は楽しく更けていきます。おやすみなさい。


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