ボルの水牛市場を後にし、サダンという集落に向かいました。そこで見た伝統家屋トンコナンハウスは実に見事でした。

 
ボルの水牛市場を見学した後、俄然、元気がみなぎってくるのを感じた私は、ベモ(ワゴン車を使ったバス)乗り場に戻り、次に出発するベモの行先を尋ねました。まぁ、英語は通じませんが、適当にコピーした地図を見せると、「サダン」へ向かうベモがもうすぐ発車するとのこと。サダン・・・うん、知らない地名だけれど、まぁ、ノリで行ってみましょう。
 

サダンは観光客が意外に来る? トンコナン、伝統的な布織物(イカット)と見どころが結構あります
サダンへの行き方。なんと、集落入場料をとられます

ボルからベモに乗りましたが、これはおそらくランテパオから出ているベモがボルに立ち寄ってから向かうのでしょう。ボルからは40分くらいかかりました。多少、山の中へ入っていきます。ボルからの料金はIDR5000(約43円)でした。ちなみに、集落で写真を撮っていると、おばちゃんが入場券(!)を持って来て、「マネー、マネー」と言ってきます。なんと、入場料はIDR10000(約85円!)、ベモより高いです。

サダンのトンコナン集落をご覧ください

ベモで、降りた場所から、少々、丘道を歩くと、いきなりトンコナンハウスがいくつも立ち並ぶ集落に突き当たりました。これは、かなりインパクトがあります。

ここで、トンコナン集落の特長について、私の気が付いた範囲で解説します。いくつか見た集落では、まず中央に長方形の広場があり、その両側にトンコナンハウスが立ち並んでいます。トンコナンハウスは、専門書などでは遺体の安置場所に使われるなど儀礼的側面が強いと解説されていますが、私が見たところでは、中で生活している方も多く、家財道具一式や炊事道具が置かれています。ただ、実際の炊事などは、広場の端など屋外で行われることも多そうです。また、穀物の保管場所としても活用されています。なお、サダンでは後述しますが、織物(バティック)の保管&見学場所としても使われているようです。
トンコナンの外観正面です。牛の角がこれでもかと飾られています

スゴイ数の角が正面に飾られたトンコナンハウスがいくつかあります。トラジャでは、葬祭の際にしめた牛の数が、その家の財力を表すとのこと。正面に飾られた牛の角が多いということは、それだけ葬祭にお金をかけた=その集落の権力者ということですね。

トンコナンハウスに描かれた絵がとてもカワイイです

トンコナン外観に描かれた絵は、水牛や豚、鶏といった身近にいる動物をモチーフにしたものが多いです。ただ、水牛をオカルティックにデフォルメした絵や、角あるいは海でしょうか渦巻き状の絵は、彼らトラジャ族の死生観の中でどのような意味を持つのか、いつか調べてみたいと思います。
ちなみに、Wikipediaからの引用ですが、水牛をモチーフとした文様(パテドン)は富を象徴し、家族がたくさんの水牛を持てるという願いが込められているとのこと。

村人たちの日常の光景です

う~ん、のどかで平和ですよね。ただこうした光景、我々の感覚で言えば髪の毛をお互いに整えているだけだと思われますが違います。実はこれ、髪の毛についたシラミを互いにとっているんですよ。タイやベトナムを含む東南アジアでは、今でも農村部では日常的なありふれた光景ですが、日本ではもう馴染みにないもの。
 
たった今、のどかで平和と申しましたが、スラウェシ島中部エリアでは民族紛争が散発的にあり、タナトラジャから北に100kmも行けば、かなり危険なエリアとなります。2000年代前半にポソ(Poso)という街で起きた宗教紛争は非常に凄惨なものだった(らしかった)のですが、外部に情報がほとんど出回らず、実際に何が起こったかほとんど明らかになっていません。よく言われる情報では、1000人以上が死亡、数万人の難民が発生したとか。ただ、虚実がよく判らない中、被害程度を記述するのはあまり好ましくありませんね。ネット上では当時の凄惨な様子が上げられているらしいのですが、それすらも真実かどうか怪しいところ。
トラジャに身を置くと、あまりにも近い場所で平和と暴力が共存することが当たり前の感覚となってしまうことに、今さら驚いてしまいます。

トラジャ族の伝統的な布(イカット)が作られています

インドネシアの伝統的な布といえばバティックが有名です。これは、ろうけつ染めという技法によって染め上げられた布(更紗)で、主にジャワ島のジョグジャカルタやソロで作られています。私は、このバティックが好きで、ジョグジャカルタなどで工房巡りをしたことがあります。
先日、トラジャの葬祭を見たとき、先導役の若い女性や子供が着ていた伝統衣装が、素朴で美しく印象に残っていました。ここでの伝統的な布織物は「イカット」という絣(かすり)で、天然染料で染めた布によって、抽象化された動植物などをモチーフに織り込んでいます。
どうやら、この集落では、こうした布織物の工房がいくつかあるようで、イカットをいろいろ見せていただきました。
 
この日(7月31日)の旅行はこれに終らず、さらにパラワ、パンリといった伝統集落に向かいますが、それは次回の記事で紹介します。あ~、ますますトラジャの地にはまってしまう自分、日本や欧米とは全く異なるベクトルを持つ文明にますます魅せられてしまう!


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