現在のインドネシアでは国民の約9割がイスラム教を信仰している世界最大のムスリム国家で、ジャワ島におけるムスリム比率はとくに高いのが実情です。しかし、15世紀までを見るとヒンドゥー教を信仰する王国がたびたび栄え、とくに1293年から1478年までのマジャパヒト王国統治期はヒンドゥー文化が花開いた時代だと言えます。余談ですが、現在のバリ島で華麗なヒンドゥー文化を私たちが楽しむことができるのは、マジャバヒト王国が滅亡した際、王国にいた数々の廷臣・僧侶・工芸師たちがバリに逃れてきた結果だと言えるでしょう。
 
さて、ヒンドゥー教を特徴づけるものとして有名なものに性器崇拝があります。創造神シヴァはリンガ(男根)によって、シヴァ神の妻ドゥルガーはヨニ(女性器)によってシンボライズされているのは、ご存知の方も多いのでは。
 
いや~、なぜリンガやヨニの解説からこの記事を始めたのかというと、これから紹介するスクー寺院が、まさにこのヒンドゥー王国時代の性器信仰を表現したものと思われる彫像やレリーフで溢れているからです。一説では、ジャワ島中部がイスラム化する中、そこから逃れたヒンドゥー教徒がこのスクー寺院を建立したとのこと。ただ私が見る限り、あの華麗なヒンドゥー文化&寺院建築と比べ、ここはあまりにも素朴。しかも数々の彫像は、確かに性器を強調したものが多いのですが、ヒンドゥーの宮廷文化というよりは、”邪教”そのものに見えてしまう(この方が私にとっては面白い!)。おそらく、ヒンドゥーと現地でもともと信仰されていたアニミズムが結合し、このような姿になったものと勝手に推測しますが・・・。再度繰り返します、スクー寺院オモシロいですよ。
 

スラカルタ(ソロ)からスクー寺院への行き方

スクー寺院はスラカルタ(ソロ)の郊外、約40kmほどの場所にあります。他の人のブログなどを拝見すると、ソロでレンタルバイクを借りて自力で行った方などが散見されますが、私は素直にソロのバスステーションからスクー寺院の最寄りの街グロロッまで公共バスで行きました。このバス、1時間に1本以上は運行されているのでアクセスに問題はありません。

こちら、グロロッの街の様子。街と書きましたが家々の裏は鄙びた農村、ステキな風景が広がります。
 
グロロッの街からスクー寺院までは2kmもない程度、歩いて行ける道のりですが、私たちはこの後チュト寺院も回る予定だったので、声をかけてきたバイクタクシー(オジェッ)の方に案内してもらうことにしました。ちなみにこれが正解!街から寺院まではかなり勾配のきつい道で、歩いていたら・・・疲労困憊でしょう。
 

スクー寺院に到着、まずは寺院境内に入ってみましょう

スクー寺院の正面にある門に着きました。ただ、この正門の階段には鉄扉がつけられており通れません。脇にある階段を上り寺院の境内に入ります。
 

寺院境内からの眺望。かなり標高が高いことが判りますね。
 

境内の正面にはピラミッド型の本殿が見えます。とまぁ、インパクト大の彫像の数々はこれから紹介します。
 

スクー寺院、インパクト大の彫像たちが踊りまわっているよ、楽しい~!

まずは境内の全体像を俯瞰します。写真正面に見えるコミカルな人物像は、本殿を守る番人、実は道の両脇に別々の人物像が建っています。人物の向かって左側、亀の甲羅がたくさん見えます。これをヨニ(女性器の象徴)として見るか、あるいはクールマ(ヴィシュヌ神の化身である亀)か、はたまた全く別の意味を持つのか、私には全く判別できません。う~ん、謎の亀たち。ちなみに向かって右側の石塔はリンガ(男性器の象徴)ですね。
 

羽(手)をバッと広げて”どうだ~”と見せつけてくるのはガルーダ像(インド神話における神の鳥)なのでしょう。しかし、つい変態ジジイに見えてしまう。別のレリーフで表された姿は、一見したところ子供のように見えます、ハヌマン(インド神話で大活躍の猿)でしょうか?しかし、なにゆえこれほどアレを強調しているのか・・・。まぁ、力の象徴、多産の象徴などもっともらしいことを述べておきます。
 

エロティックな彫像の紹介は止めておきます(実は、先ほど紹介したモノ以上に”あからさま”な彫像がいくつもある)。こちらの像やレリーフもコミカルなデザインで楽しいですね。


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