ソロ(スラカルタ)郊外にあるいにしえの石造寺院群を巡る報告の第二弾、前回報告では、エロチックな石像やレリーフに囲まれたスクー寺院を紹介しました。今回はスクー寺院から再びバイクタクシー(オジェッ)に乗り、バリヒンドゥの特徴ともいえる割れ門や、どの宗教の様式かはなはだ疑問のピラミッドが残る「チュト寺院」に向かいました。このチュト寺院、寺院本体の美しさもさることながら、ここに至るまでの道程で素晴らしい光景が見られます。

 

スクー寺院からチュト寺院までの道程

グロロッの街からスクー寺院は比較的近く頑張れば歩いて訪問することも可能な道のりでした。実は、グロロッの街でバイクタクシーのお兄さんから声をかけられたとき、スクー&チュト寺院を歩いてまわるからバイクはいらないという素振を見せたところ、お兄さんは「アンビリ~バ~ブル」と言い、それは絶対無理だという仕草をしてきた。それもそのはず、スクー寺院からチュト寺院までは10km以上離れており、山道のためクルマで30分以上かかる行程のようです(グーグルマップ調べ)。ネット記事では「歩いてまわれるよ!」などと言う記事が散見されますが、普通の体力の持ち主なら絶対に無理!バイクなどの足を用意してから訪れてくださいね。
 

チュト寺院を巡る大きな楽しみの一つは、途中で見る光景の美しさです。山道をぬってバイクは走るため、途中の眺望が素晴らしい。しかも、この辺りはどうもお茶の生産地らしく(そういえばジャワティーと言えば懐かしの紅茶飲料、まだ売られているのかな)、茶畑が広がるエリアをバイクは飛ばして行く。まさに爽快感あふれる体験に、ずっとこのままバイクに乗っていてもイイなと思えるくらいでした。ただ残念なことに、美しい光景の中では、お兄さんがバイクを疾走させているため、停まって写真を撮ることができなかった。
 

チュト寺院に到着!山腹の大きな割れ門にバリ島の光景を思い出します

バイクの後ろに座ること約30分、こうした2ケツ(この2ケツという表現、たぶん人生で初めて使いました)の状態に疲れてきた頃、やっと到着した様子。前方には大きな割れ門が見えます。この割れ門、バリ島のヒンドゥ寺院ではお馴染みのもので、一説にはバリ島にもともとあった山岳信仰と結びついたオリジナルなものらしい。
 
ただ、チュト寺院の割れ門を一見したところ、バリ島の割れ門のように赤レンガで積まれているわけではなく、装飾にも乏しく思えます。参考のため、下にバリ島のヒンドゥ寺院にある一般的な割れ門を紹介します。

この理由を私なりに一方的な解釈を加えますと、チュト寺院の様式は、現代のような装飾に富んだ割れ門が造成される前の古い時代の様式を継承しているため。う~ん、この解釈で正しいかな?ちなみに、バリヒンドゥの総本山、ブサキ寺院の割れ門はシンプルな石造の様式です。
 
ちなみに、門前の階段を上る手前にある石像は、スクー寺院で見たものとソックリです。スクー寺院とチュト寺院がほぼ同時代に建立されたものと想像できますね。
 

チュト寺院の参道を上って行きます

最初の割れ門をくぐり前方を見ると、山腹を上る参道がまだまだ続いて行くのが見えます。
 

奥にも割れ門が何段か続いている。石段を上るのって、けっこう疲れます。途中にあった屋根付きの建物は、休憩を取るのにちょうど良い場所にありました(私の伴侶の髪の毛が写りこんでいますね)。ちなみにこの屋根は、バリヒンドゥのものとは異なる意匠で、ジャワ島の急峻な屋根を継承しているものと思われます。
 

しばらく上り、やっと本殿に到着。この本殿、バリヒンドゥで見かけるものとは全く異なり、石造による階段式ピラミッドのように見える。これって現在の中米、メキシコやグァテマラで栄えたマヤ文明のピラミッドとよく似ています。う~ん、このインドネシアでマヤの空気を感じられるとは不思議ですね。後ろを振り返ると、割れ門がいくつも折り重なって見えるのでした。


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