シーパンドンには4000の島々があると言われていますが、そのうちバックパッカーに馴染みがある島はドンデットとドンコーンの2つではないでしょうか。私の場合ドンデットのゲストハウスに滞在し、何もしない”極上”の日々を過ごしていました。しかし、その状態で何日もいるのはさすが退屈になる。ここは意を決して、シーパンドンもう一つのデスティネーションであるドンコーンへ、自転車を借りて向かうことにしました。

 

ドンデットでレンタルサイクルを利用する方法:レンタル場所や費用は?

まず、自転車を借りられる場所ですが、ドンデットにあるゲストハウスやレストランの大半はレンタルサイクルを行っています(拍子抜けする情報でスミマセン)。レンタル料金は1日借りて10000キップ(2018年12月現在で約130円)、1日の足を100円チョイで借りられるなんて安いですよね。ただ、ここで1つ注意をしなければなりません。レンタルサイクルの料金は、おそらくどこも変わりませんが、自転車の質や整備状態は借りる場所によって大きく異なります。納得できなかったら何軒かレンタル店をあたることも懸命です。
 

それでは、自転車の旅が始まりです

ドンデットの北端にはボート乗船場があり、この島に上陸する方の大半はこの乗船場を利用しているはずです。ここからドンコーンの入口となる橋(Historic Bridge)までは島の東岸と西岸を巡る道があり、それぞれ3~3.5km程度の道のりです。私は東岸の道を走り、ドンコーンに行くことにしました。
 

ドンデットの老舗ゲストハウス「ドンデット バンガロー」を過ぎると道は2手に分かれ、そのまま川岸を走る道と少々内陸を走る道になります・・・と、Google マップを見ながら書いておりますが、このとき私は地図を持っていなかったため、走りやすそうな道をズンズンを進んで行く。島東岸の道を進めば切れ目なくゲストハウスが続いていたはずですが、私が辿った道は途中から何もない田園風景の真っ只中に入り込んで行きました。
 

途中で人だかりがあったので立ち寄ってみると、地元ドンデットの小学校でした。子供たちが寄ってきてハシャギだします。
 

お願いしたわけではないのですが、なぜか中に招き入れてもらい、授業風景を見学させていただきました。英語を使って授業をするわけではないので言葉は判りませんが、子供たち全員が目を輝かせ授業に集中している姿が印象的。ここでは”授業崩壊”などというフザケタ状況とは無縁ですね。
 

子供たちと別れ自転車をこぎ出すと、すぐに川沿いの道に出る。写真の村人の皆さん、どこで買い物を済ませたのかな?
 

ドンデットとドンコーンを結ぶ橋にたどり着きました

ふと対岸を見ると大きな橋が見えていた。こちらの橋がドンデットとドンコーンを結ぶHistoric Bridge、なんとフランス統治時代につくられたもので、もともとは鉄道を通すための橋。4travelなどのインタネットッサイトでは「鉄道橋」と呼ばれているようですね。
 

橋を渡ってみます。長さは200m程度でしょうか、さほど長い橋ではありません。しかしシーパンドンは、カンボジアとラオスを結ぶ交通の要所に位置しているが、メコンの流れはとても急峻で海運による事業化はとても困難だったものと思われます。そこで、おそらく鉄道による大量輸送を試み、この地に路線を開設したのでしょう。ドンデットとドンコーン間には約6.5km程度と短い鉄道路線が敷かれ、約半世紀の間、利用されました。
 
鉄道橋を渡ると、ドンコーン入域料を徴収するためのブースがあります。このドンコーン入域料は35000キップ(約460円)、けっこう高くつきます。ただ、このブースでは係員が座っていないこともよくありますが・・・まぁ、しっかり払いましょうね。
 

ドンコーンの鉄道を簡単に解説します

橋を渡るとすぐに目に付くのが、この地で使用された蒸気機関車。これ、鉄道ファンじゃない方でも興奮しますよね!
 
では、ここでドンデットとドンコーンを結んだ鉄道「Lao state railway」について解説します。こちらの鉄道は1893年から運行が開始され、1940年あるいは1949年まで営業が継続されました。軌間(レール幅)は始め600mmで建設されましたが、その後1000mmに改軌、この展示されている機関車も1000mm軌間のものです。インドシナと中国を結ぶ計画のもと、建設が開始されましたが、やはりこの地の自然環境は厳しくメコン川沿いを利用した物流計画はすぐに中断したようです。
 
ただ、この鉄道はラオスに築かれた最初の鉄道で、しかも2009年に開通したノーンカイ・ターナレーン間の鉄道までラオスに鉄道路線がなかったことを考えれば、フランスのインドシナ植民史だけではなくラオス史の観点から見ても意義深いものだと言えるでしょう。
 

ドンコーンの寺院はユーモラス

蒸気機関車の展示からスグの場所に仏教寺院がありました。とてもユーモラスな造形におもわず微笑んでしまいます。
 

ソムパミットの滝(リーピーの滝)は急峻な流れで見応えがありますよ

鉄道橋から約2km、自転車で15分ほど走るとドンコーン最大の見どころ、ソムパミットの滝に辿り着きます。
 

こちらの滝、ネットで見るとかなり壮大な滝ですが、私が訪れた時期はあいにく乾季、水量がもっとも少ない時期です。私たちの感覚で言えば、ここは滝というよりは急流といったものでしょうか。関東民なら荒川や多摩川、利根川の上流部ならこれよりも流れが急な渓流はいくらでもあるぜと自慢するかもしれません。しかし、ワールドワイドなスタンダードからすれば、この流れこそが「滝」なのです。そう、私たちが想像するナイアガラやイグアスの滝、日本国内なら華厳の滝や袋田の滝、北海道の大雪山系にある滝などを想像してはいけません。
 
ただ、この急峻なメコンの轟きを見ると、この地に海運事業が興らなかったのは当然と言えますね。


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