カンボジアを代表する観光都市シェムリアップ、この街に来る目的はアンコールワットやアンコールトムといったクメール王朝に築かれた巨大な遺跡群を拝観することでしょう。時間のない方ならば、そうしたアンコール中心部の遺跡群を見てこの地を去る方もいるでしょうし、大半の方は中心部の遺跡群に加え、アンコール東部に広がるプレループなどを拝観するだけで見学を終えるものと思います。

実は、個人でシェムリアップに来た場合も、トゥクトゥクのドライバーから提案されるルートは、アンコール中心部+東部を巡るツアーが大半で、その際に巡る遺跡とトゥクトゥクのチャーター料金は以下の通りとなっています。

Small Tour(小回り観光):おおむね4~6時間程度のチャーターで10ドル
  訪れる主な観光スポット:アンコールワット、アンコールトム遺跡群、タケオ、タプロームなど
 
Grand Tour(大回り観光):1日チャーターで12ドル
  訪れる主な観光スポット:上記Small Tourに加え、東メボン、タソム、プレループなど

確かに、シェムリアップで1日~2日しか時間が取れない方は、これだけの遺跡を見れば十分かもしれません。

さて、アンコール遺跡群の歴史を少々ひも解いてみましょう。アンコールワットやアンコールトムの遺跡群が12世紀から13世紀にかけて造られ、また、プレループや東メボンなどの東部遺跡が10世紀から12世紀にかけて建立されたものですが、これらは、クメール王朝の黄金時代を築いたスーリヤヴァルマン2世(1113-1145年)とジャヤーヴァルマン7世(1181-1218年)治世期に造られた大規模な都市・寺院遺跡群を見学していることになります。
 
ところで、クメール王朝の歴史はスーリヤヴァルマン2世の時代を遡ること約300年前、ジャヤーヴァルマン2世によって建国され、9世紀(800年代)にハリハラーラヤという王都が築かれる。実は、このハリハラーラヤこそ、今回の記事で紹介するロリュオス遺跡群を構成する都なのです。王都ハリハラーラヤ=ロリュオス遺跡群はシェムリアップの近郊、市街地から見て国道6号線を東に13kmほど離れた場所にあり、トゥクトゥクや自転車で容易に行ける必見の遺跡と言えますが、訪れる観光客は非常に少ない。まぁ、そこがシェムリアップ穴場の遺跡と言えますね。
 

ロリュオス遺跡群を構成する、主要な3つの遺跡

現存するロリュオス遺跡群は、9世紀にインドラヴァルマン1世が建立したプリアコーやバコン、ヤショヴァルマン1世が建立したロレイで、いずれもヒンドゥー寺院群です。この点、ジャヤーヴァルマン7世が建造したアンコールトムが仏教遺跡であるのと異なりますね。では、私が訪問した際の写真をもとに、ロリュオス遺跡群を紹介します。
 

プリアコー:879年、インドラヴァルマン1世建立

アンコール遺跡最古の寺院プリアコー、正面から見ると3基の寺院が並んでいるようですが、実は背面とあわせ6基並んでいることになります。
 

古い寺院であるのにもかかわらずレリーフが細かく残っている点がウレシイ。こちらの寺院ではヒンドゥ教・破壊/再生の神シヴァを祀っており、寺院前方にはシヴァの乗り物である雄牛ナンディンの像があります。
 

バコン:881年、インドラヴァルマン1世建立

バゴンは参道からもよく見える巨大な遺跡で、おそらくロリュオス遺跡群の中でも一番多くの参観客を集める遺跡です。このバゴンこそ、アンコールにおける最初の砂岩で築かれた山岳型寺院で、後のクメール寺院の特徴的な造形になっていますね。
 

寺院は登ることができます。上から見ると、城壁や伽藍の配置がよく判ります。
 

ロレイ:893年、ヤショヴァルマン1世建立

ロリュオス遺跡群で最後に建立されたロレイは、4基の煉瓦の塔の祠堂により構成されますが、私が訪れたときは再建途上にありました。
 

かわいい子供たちが、一所懸命に説明をしてくれますが・・・ごめんなさい、何を言っているか判りませんでした。
 
 
シェムリアップの市街地からほど近い場所にあるのに観光客は極端に少ないロリュオス遺跡群。ぜひとも半日分の時間をとって訪問してみることをおススメします。


<スポンサーリンク>