ブキティンギの街は大のお気に入りで、ここでずっと過ごしてもイイかなと思っていました。しかし、せっかくスマトラ島に来たのですからパダンからメダン方向へと島を縦断したいものです。何泊か過ごしたゲストハウスのフレンドリーなスタッフに別れを告げ、トバ湖(パラパッ)に向け発つことにしました。
 
ただ、この間の移動は私、すごく不安だったんですよ。実は1990年代後半に出張でメダンに来たことがあり、何を血迷ったか帰路の航空券をパダン発で予約してしまったのです。その時にとった有給休暇は3日間、日本を発つ前は3日あれば途中の街に立ち寄りながら旅行ができるかなと考えていたが、現地メダンに着いてその認識が非常に甘かったことを思い知らされた。当時の話しは控えますが、これだけを書くと、当時のメダン-パダン間の道路事情は劣悪そのもので「世界3大悪路」とも揶揄されていたのです!私はトバ湖やブキティンギに立ち寄ることなく、写真も撮らずに半ば発狂しながら、ほぼ死にかけの状態でパダンにたどり着いたのでした。
 
こうした昔話はさておいて、現在パダン-メダン間の道路をとてつもない悪路として表現する描写はブログやガイドブックからは消えています。東南アジア各地のインフラ事情がこの15~20年で劇的に変化した中で、ブキティンギからトバ湖(パラパッ)をバスで移動することに内心では興奮していました。
 

ブキティンギ バスターミナルでトバ湖方面に向かうバスを探す

宿をチェックアウトし向かったのは「Terminal Aur Kuning」、マニンジャウ湖に行ったときにも利用したバスターミナルです。ゲストハウスはチェックアウトしたが、バスターミナルに来るまでトバ湖方面に向かうバスの情報はまったく持っていませんでした。仮にトバ湖へのバスがないとなれば、再びマニンジャウ湖に行き、全くツーリストの姿がない湖畔のコテージで何泊かしようかなと気楽に構えていた。
 

昼前にバスターミナルに到着。例によって「トバ湖、トバ湖(Danau Toba)」「パラパッ、パラパッ(Parapat)」とローマ字読みで連呼すると・・・
 

May I help you?と後ろから声が、いかにも親切そうなご家族の方たちが流暢な英語で話しかけてくれました。バスターミナルで声をかけられたら(悪人かもしれないと)身構えてしまう習性をもつ私ですが、彼女たちはどう見ても善人、安心ですね。トバ湖まで行きたいと打ち明けると、彼女たちはオ~と驚いてしまいました。悪いことは言わないからメダンまで飛行機で行きなさいとアドバイスを受ける。え、もしかしたら道は昔と変わらないの!?と一抹の不安がよぎりますが・・・私はいまやバックパッカーとして東南アジアを旅行する身、敢えてバスで行きたいのです。丁重にその助言を断ると、彼女たちはトバ湖方面に向かうバスの発券カウンターを探してくれました。感謝!
 

こちらは発券事務所で撮影した写真。13:00ブキティンギ発のバス(ANS社)のチケットを入手しました。料金はRp200000(約1600円)、意外に高いです。ちなみに2018年1月現在、ブキティンギからトバ湖(パラパッ)までのバス料金はRp175000~Rp350000、所要時間は15時間程度となっています。
 

バスにいよいよ乗車、トバ湖へ向かいます

ブキティンギから乗り込んだバスは日本でも通用しそうな長距離バス仕様、空調や座席のリクライニングはしっかりしており問題なく出発しました。

まぁありがちですが、出発してすぐに物売り攻勢が始まります。僕、バスターミナルで昼ご飯を食べたばかりだし、本当は眠いんだよね。
 

想定外の事態を、ドライバーと車掌から聞かされる

道はかなり快適、山あいを進みながら景色を堪能。ブキティンギを出発してから2時間ほどでトイレ休憩&ティータイムとなります。と、ここでドライバーと車掌が私の方に近づいてくる。外国人の乗客が私1人だけなので、好奇心いっぱいに話しかけにきたのかなと思っていたら・・・想定しなかった話しを聞かされる!
 
このバスはトバ湖を通らないので、途中で乗り換えてくれ、ちなみに乗り換えた先のバスは料金を払う必要はないとのこと。え、チケットを買った時はトバ湖へ直行で行くと聞いていたよ!私は非常に憤慨した表情をわざと浮かべたが、彼らはこちらの話しを聞かないフリをしている。とにかく乗り換えてくれ、その先のバス料金はいらない・・・同じ言葉を10回は繰り返していました。
 
たぶんトバ湖(パラパッ)方面で降りる乗客は私以外にはいないのでしょう、しかも外国人は私だけ・・・。こうなったら仕方がありません。まぁ乗換えがスムーズで料金が請求されないのなら許せる範疇でしょうか。彼らの言葉をスマホに録音しながら了承すると、彼らもホッとしたのかお互いに打ち解けた様子。コーヒー代は彼らがおごってくれました。
 

これほど素晴らしい道を建設した土木技術に脱帽

アジアハイウェイ建設構想の一環としてスマトラ島縦断道路の建設が着々と進行しています。この間の建設は基本的にインドネシアの建築・土木業者が行っていますが、その建設資金の大半は日本や中国などからの援助によって得ているのが実情。しかも、近年のジョコ政権下では中国の影響力が非常に強まっています。

ブキティンギを出発して4時間ほど発ったのでしょうか、ウトウトしかけた頃にとても立派な橋が見えてきました。しかも、これから道がループしながら進むことが俯瞰して見える。うん、これって鉄道ファンにとっては「ループ線」というものだね。
 

夕食タイムの光景

夜21:00頃でしょうか。夕食休憩に入った食堂では確か麺料理だけだったかと思います。ここのミーバクソーはけっこう美味しかったですよ。
 

いよいよバスを乗換え、トバ湖に向かいます

バス内で1泊を過ごすが、ほとんど眠れなかった。その理由は冷房が効きすぎていたこと!インドネシア以外でも東南アジア全般で長距離バスあるあるの状況ですが、なんであんなに冷房をかけるのか信じられません!私は長距離バスに乗り込む際は、ユニクロのダウンジャケットを必ず持ち込み夜に着込みますが、それではとても歯が立たないほど寒かった!これ、体感気温は一桁前半ですよ。まぁ、スマトラの山越えという状況も影響していたかもしれません。
 
ということで、夜が明け陽光が差し込みやっと温もりを感じる、そして朝食を摂らずにいつしか寝てしまいました。
 
うとうとしていた時、突然に肩を叩かれ起こされてしまう。時間を見ると朝10:00頃でした。バスはテビンティンギ(Tebing Tinggi)という街に着いており、どうやらここで乗り換えろとのこと。ほとんど寝ぼけた状態で別のバスに乗り込みました。

乗り換えたバスはボロボロのベモ。当然に料金を請求されることはなかったが、観光バス仕様の長距離バスと比べると落差がひどすぎる・・・。
 

やっとパラパッに到着、トバ湖は遠かった!

オンボロバスは空いていたおかげで、けっこうよく眠れた。乗車時間3時間ほどで、また肩を叩かれ目が覚める。どうやらパラパッのバスターミナルに着いたようです。到着時間は12:00ジャスト、ほぼ24時間に近いバス旅でした。うん、このバス旅、昔よりは確かに楽になりましたよ・・・まあ、比べる基準があまりにも低いところにありましたが。
 
バスターミナルに着いたは良いが、ここからトバ湖を渡るためフェリーターミナルに行かなければなりません。近くにいたタクシードライバーに道を尋ねると、ここからは遠いから歩いて行けない、タクシーに乗れとのこと。言われたことを全て額面通りに信じるようでは旅人としては甘い!ふーんと話半分に聞きながら、じゃあ港までいくらくらいと聞くと、けっこう高い金額を言ってくる。ここは田舎町なので都会ほどボッタクル人は少ないはず、港は確かにそれなりに遠いのかなと想像がつきます。ではRp10000(約80円)で港まで行ってくれと言うと、さすがにそれは無理といった表情、結局Rp15000で港に行ってもらいました。
 

やっと到着したパラパッ港は、タクシーで7~8分、たぶん3kmほどでしょうか。荷物を持ちながら歩くには確かにキツイ距離、タクシー料金Rp15000というのは適正料金のような気がします。
 

ここでやっと一息つけます。あ~遠い道のりだった!そういえば、この日の食事はまだ摂っていなかった。港のそばにあった、感じの良い食堂に入ります。ここで食べた魚はとてもおいしかった、しかも料金はRp15000(約120円)と格安で満足まんぞく。


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