タイ・カンチャナブリー、この街を訪れる大半の人の目的は映画『戦場にかける橋』の舞台となったクワイ河鉄橋を渡りながら、クワイ河マーチ(♪チャラ チャチャチャ チャッチャッチャー♪)を口ずさむことでしょうか。

こちらは、カンチャナブリーの街なかからほど近いクワイ河鉄橋駅と鉄橋で撮った写真。ちなみに映画が公開されたのは1957年、私の父母が青春時代をおくった頃でしょうか、私は子供の頃(昭和50年代?)にテレビ・ゴールデン洋画劇場で観た記憶がかすかに残っている程度。こんな古い映画なのに、カンチャナブリーは舞台巡礼の目的地としてタイ中部を代表する観光地となり、多くの旅行客を集める街となりました。その結果・・・

見てくださいよ、この人の多さ!とくに2枚目は鉄橋を渡る列車の車内から撮影したもの。この方たちは退避スペースに避難しているが、サイレンを鳴らす列車の前を大勢の人が嬉々として逃げ惑う様子が車内からも見えました。危ないぜ!!
 
とまあ記事ではカンチャナブリのアホな状況を告発することが目的ではありません。ではなぜ、私がカンチャナブリに来たかと言うと、この地で静態保存されている日本製蒸気機関車C56系を見学したいから。しかも、SLは年に4回ほど運行されるらしい!このSL運行日はホームページなどで要確認ですが、私がカンチャナブリに滞在したのはプミポン国王の誕生日から何日か後のこと。ネット情報などによれば、SL運行日の前後数日間は線路の上を動くSLが見られるかもしれないらしい。ならば、鉄道ファンの私としては黙っていられません、第二次世界大戦前に建造されたあの名機、C56型の雄姿を見たい!
 

カンチャナブリーに到着、さっそく駅に向かうと・・・C56が動いている、感動!

カンチャナブリーに到着後、即座にゲストハウスで自転車を借りて鉄道駅に向かう。すると・・・

見てください、日の丸を掲げた2両の蒸気機関車の雄姿を!まさか駅に着いてすぐこのような光景に巡り合えるとは想いもせず、驚きのあまり呆然と立ち尽くしてしまいました。
 
この2両のSLについて少々の解説。手前の車両はRSR715号機、旧C56形17号機です。昭和10年・日本車輛で製造。奥の車両はRSR713号機(旧C56形15号機)、昭和10年・日立製作所で製造。いずれの車両も戦前タイに運ばれた後、1970年代まで定期運用されていた。現在は上記イベント時の運用に留まるが、日の丸を誇らしげに掲げる姿にジーンと胸にこみ上げるものがあります。
 
では、一両ずつアップでこれらのSLを見てください。

 

翌日カンチャナブリー駅を訪れると、SLを動かす姿に遭遇

翌日はタイ国鉄ナムトック線(旧 泰緬鉄道)に乗車するため、カンチャナブリー駅へ早い時間に訪れました。すると、衝撃の場面に遭遇!

ディーゼル機関車に引かれながら、SL2両を移動させていたのです。~~またまた昔話になりますが、日本国鉄でのSL運行がいったん全廃された後、1980年・横浜港を走る貨物線(高島線)でSL(C58形)復活運転があると聞きつけ、小学生の私は親から小遣いをたんまり貰い横浜に向かう。この時に見たSLの姿は今でも目に焼き付いています。その後、大井川鉄道や国鉄山口線で運行されるSLに乗車したが、レトロ感をわざわざ売りにする商売根性を敏感に嗅ぎ取ったのか、マイSLブームは高校に上がる前ではすっかり消えていたのでした。そして、今に至るまで鉱山や森林などで活躍する産業用鉄道(とくに線路幅が狭いナロー鉄道)に関心が向かうのです~~
 
ただ、タイで見たC56形は小学生の頃に抱いた興奮を喚起するのに十分、ほんの数分だけの出会いでしたが、カンチャナブリーに足を伸ばして良かったと満足感に浸るのでした。
 

泰緬鉄道に乗車する

この日のメインイベントはタイ国鉄ナムトック線(旧 泰緬鉄道)に乗車することですが、C56の動く姿を見てしまうと、それが単なる余興に成り下がってしまう。まぁ、とりあえず見ていきましょう。
 

カンチャナブリー駅に入線したナムトック線。確か1時間以上遅れての入線です。
 

チョンカイの切り通し辺りのリゾート地。う~ん、イイ景色だな!
 

有名なタムクラセー桟道橋(アルヒル桟道橋)です。これは帰りの折り返し時に撮影したもの。多大な犠牲のもと建設された泰緬鉄道の姿を現在に留める光景は、今や世界中からツーリストを集める観光資源として地元に多大なお金が落ちているのでしょう。う~ん、平和だな~。
 

終点ナムトック駅で折り返し便の出発を待ちます。
 
 
いや~、泰緬鉄道も素晴らしかったですよ。切通や桟道橋はスリル満点ですし・・・ただね、動くC56を見てしまうと、あとは刺身のツマ、印象がどうしても薄れてしまう。確か往きの車内では中国人親子と同席し、私は学生時代に学んだ中国語(社会人時代も活用!)を駆使しコミュニケートをしたが、彼女たちはタイ語はおろか英語もほとんど話せないため、なにかと私を頼ってくる。しまいには、到着したナムトックからタクシーで戻りたいから、カンチャナブリーまでガイドをしてくれと言われたが・・・断りました。私もこの地を訪れるのは初めて、そんなに頼られても助けられる自信はありません。


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