カンチャナブリーは、バンコクからバスで2時間ほどの郊外にあたる場所で、泰緬鉄道の乗車とあわせ日帰りで観光する方が多い街だと思う。確かに橋(クワイ川鉄橋)を渡り、鉄橋周辺にある博物館や連合国軍の共同墓地を巡るだけなら、日帰りも可能だが、それではあまりに忙しすぎます。しかも、この街を単に第二次世界大戦での悲劇を象徴する場所としてダークツーリズムの視点だけで捉えるのなら、現在進行形で発展する街の魅力をあまりに無視した暴挙です。このダークツーリズムの視点は確かに重要ですが、例えば広島や長崎を「原爆が投下された悲劇の街」といった捉え方だけで、戦跡巡りだけを目的に観光するのは、あまりにモッタイナイ!広島・長崎は「原爆が投下された事実」以外にも多様な魅力をもつ観光都市として、現在も発展を遂げているのと同様に、カンチャナブリーも「戦争という悲劇」以外にも多くの魅力があるのでした。
 

と、長い前置きは脇に置いて本題に。このカンチャナブリーの街は、鉄道駅とそこから1.5kmほど離れたバスターミナルを中心に発展しており、ゲストハウス街は鉄道駅にやや近い場所にあります。このゲストハウス街から少し(10分以内)歩けば、ナイトマーケットなど日常の賑わいを見せるエリアとなります。そして、カンチャナブリーの魅力的な観光スポットは、ゲストハウス街からほぼ2~3km以内に密集するが、この距離ってクセモノですよね。熱帯の地を歩くにはあまりに暑く気が遠くなるが、トゥクトゥクをチャーターするには(観光都市ゆえ)けっこう金額が張る上に交渉が面倒。こうした中途半端な距離を移動するのにもっとも適したツールが自転車なのです。自転車はゲストハウスで無料で借りられることもあるが、ゲストハウス街に数多くみられるレンタサイクル店でも1日借りて50バーツ程度で収まります。では、私のカンチャナブリー自転車紀行(大げさ!)を報告します。
 

まずは定番観光スポットを巡ります

カンチャナブリーの定番観光スポットと言えば、クワイ川鉄橋と近隣の寺院や連合国軍共同墓地、チョンカイ共同墓地、カオプーン洞窟などでしょうか。ただ、クワイ川鉄橋については前回の記事で記したので、ここでは連合国軍共同墓地からカオプーン洞窟まで巡った記録を紹介します。
 

鉄橋と並ぶカンチャナブリー・ダークツーリズムの聖地「連合国軍共同墓地」

カンチャナブリー駅からほど近い場所にある連合国軍共同墓地には、よく手入れが行き届いた6982柱の墓碑が連なり、戦争を直接知らない私も敬虔な気持ちになりました。
 

この共同墓地の裏手には中国廟があり、両者の対比が興味深い。私の気がついた範囲で記せば、中華系=仏教系の白い墓標は家のようで墓碑正面に花が描かれている、ただ墓自体には生花が飾られていない。一方、共同墓地にある英米系=キリスト教系の墓標は黒くシンプルな墓標が整然と並ぶ姿が印象的。
 
午前中でも遅い時間になると観光バスが何台も共同墓地に到着し、かなり賑やかな場所となります。静寂で敬虔な雰囲気を味わうためには、やはりカンチャナブリーに宿泊するべきかな!
 

チョンカイ共同墓地、訪問者はぐっと減り静寂で敬虔な雰囲気を存分に味わえる

連合国軍共同墓地から自転車で15分ほど漕ぐとチョンカイ共同墓地に到着します。こちらは約1750人の連合国軍兵士が埋葬される、とても静かな墓地。通常のカンチャナブリー観光コースではクワイ川鉄橋と連合国軍共同墓地は巡るが、1本道が異なるこのチョンカイまでは足を伸ばさないようです。
 

カオプーン洞窟は手軽に散策ができる迷路、仏像に導かれ出口に至る

チョンカイ共同墓地からさらに10分ほど自転車で先に進む。

カオプーン洞窟のある寺院に到着しました。この黄金の仏像様を入口の目印に、洞窟を探索します。
 

奥は怪しく光る洞窟。私にとって洞窟といえば、インドネシア・タナトラジャ(スラウェシ島)にある埋葬洞窟が想起される。あの真っ暗闇の中、ガイドが懐中電灯を照らすとそこには人骨がゴロゴロしていた、ヒエ~!ただ、このタイの洞窟で人骨を見ることはなく、ホッと胸をなでおろす。
 

洞窟内では随所に仏像様が安置され、それを辿りながら洞窟内を探索するうち出口に導かれます。
 

洞窟を出ると、そこには絶景が待っていました。このクワイ川に沿いながら、さらなる山奥に泰緬鉄道の線路が敷かれたことを想うと、先人たちのご苦労が偲ばれる。合掌のつもりで手を合わせました。
 

カンチャナブリーの魅力はモノクロームな街なかにある

観光スポット巡りを一通り終え、ゲストハウス街に戻ります。

カンチャナブリー駅からほど近いゲストハウス街はクワイ川沿いにあり、夕方はとくに美しい光景を川面に落とす。ただ夕陽の景色って、私のブログ記事ではかなり頻出(-_-)なため、話題を変えます。
 

この街を歩くと何気ない景色だが妙にレトロチックで郷愁を覚える景色に巡り合える。試しにカメラのカラー設定を変えてみると、オモシロイ写真が撮れたと勝手に自画自賛しております。
 

どうですか、古い工場&塔もイイ味を出しているでしょ!?ちなみにセピア色のレトロな雰囲気の中、Free WiFIの看板が妙に現代的、このギャップがオモシロいな~(うぬぼれ)。
 

と、本人のうぬぼれを強制した形でこの記事を閉じますが、最後にカンチャナブリー駅正面で生態保存された鉄道車両(おそらくガソリンカー?)を紹介。私、この形式の鉄道車両が一番好きなのでした。次回記事から舞台はタイからミャンマーへと移ります。


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