ヤンゴン滞在を短く切り上げバスで向かった先はミャンマーで一番の見所といえるバガン。ここは無数の仏教遺跡群が平原に点在、それを高所から眺めればもうそれはスバラシイ絶景が広がり言葉に表すのは無粋なほど・・・ただ、今や世界的に人気の観光地となったバガンも”映え写真”を狙ってのことでしょうか、夕刻になればその絶景を見ようと多くの観光客が上から俯瞰しようと高所に集結、命の危険すら感じさせる状況となっていました(大げさじゃないよ!)。

これは2015年にシュエサンド・パヤー(Shwesandaw Paya)という寺院から撮影したものですが、夕方になると狭い階段を上った先にある狭い通路に集結する観光客の数・数・数・・・場所取りに失敗した観光客(多くは中国の方)が割込むのなんのって、もう阿鼻叫喚のロケーション。

そりゃ美しいですよ!ただね、この写真を撮るために費やした苦労・・・何度、身体を押され足を踏まれたことか!ちなみにお坊さんが座っている場所は、通常の神経の持ち主であれば決して立ち入ろうとしない危険な場所、さすが修練を積んだ方はやることが違う。
 
とまぁ、バガンには多くの観光客が集まる場所があるが、それはオールドバガンのほんの一部、ツアー観光客が来る有名寺院はとりあえずチェックするにしても長居は無用です。
 

灯台下暗し、バガンのオモシロスポットはニャウンウーの近隣にある

バガンを訪れる大半のバックパッカーはニャウンウーという街に滞在すると思いますが、このニャウンウーからオールドバガンに向かう途中に、誰もほとんど見向きもしない寺院が打ち棄てられたように点在します。しかもこれらの寺院に祀られる石像や寺院のフォルム自体が、もう奇怪!これってまさか悪魔の所業って思わずニヤついてしまいます。しかも、観光客の大半はニャウンウーから直接オールドバガンに向かってしまうため、心置きなく堪能できるスバラシイ場所!
 

まずはガイドブックでお馴染みのシュエズィーゴォン・パヤー

え、観光客が訪れない場所を紹介するのではとお思いの方、スミマセン。まずはニャウンウーのゲストハウス街から歩いて10分ほどの場所にある、バガン最大の仏塔をもつ寺院から紹介せねば申し訳が立ちません。

良く晴れ渡った昼下がり、こちらの参道を通り境内に入ると・・・
 

巨大な黄金の仏塔が眼前に迫りくる。この素晴らしい寺院は、11世紀にバガン王朝のアノーヤター王により建造が着手されたが、あまりに規模が巨大なため、次の代(チャンスィッター王)まで完成しなかったもの。バガンの仏塔の多くは赤土など石造のため、黄金に輝くこの仏塔は大変貴重です。
 

裏側の参道を抜けると、これまた巨大な獅子が待ち受けている。手前に停まるクルマやバイクと比べれば、これがどれだけの大きさか…驚愕モノです。
 

閑話休題、タナカを塗るステキな女の子たち

前回の記事で、タナカを顔に塗る女性の姿が美しいと書いたので・・・黄金の仏塔を観に来ていた方を紹介。とにかくミャンマーでは老いも若きもタナカという植物由来の化粧品を顔に塗っています。
 

謎の韓国人が舞踊を奉納する寺院遺跡

シュエズィーゴォン・パヤー(Shwezigon Phaya)からさらに自転車で10分ほど行くと、それなりに見応えがある仏教遺跡が見えてくる(Tha Gyar Hit Phayaなど3つの寺院)。ただ、インパクトには乏しく思え、すぐに立ち去ろうと考えていたら・・・
 

何だ彼は!?顔は白塗り、しかも頭にのせた置物はなんなのじゃ~!?誰もいない寺院遺跡で、誰にこの舞踊を見せているのじゃ~!?休憩中、彼に話しかけると、韓国から来たとの返事が。イベントのためミャンマーを訪問中に彼の世界観に合う場所を見つけたので、そこで踊りを奉納しているとのこと。彼は日本でも公演をしたことがあると言っていたので、もしかしたら有名な方かもしれないが・・・私、舞踊や芸能の世界には無知だし、この世界観を理解できるほどの知識や感覚を持ち合わせていません!
 

ティローミィンロー寺院は軽く触れます

韓国人ダンサーとしばらく談笑するが、どうも会話がかみ合わない。やはり芸術家たるもの、常人とは異なる感覚についていけず、再び自転車を漕ぎだす。この寺院遺跡からすぐの場所にはガイドブックでもお馴染みのティーローミィンロー寺院(Htilominlo Temple)があります。

13世紀創建の寺院の見所は、いくつかの仏像と壁画。歴史的価値はさておき、インパクトにはやや欠けるので早々と退出。
 

いよいよ本題の奇怪寺院を紹介

もうこの辺りは寺院遺跡が密集しており、そのどれも興味深いのだが、多くの観光客は有名寺院だけ立ち寄り、他はクルマで素通り・・・なんてもったいないんだ~!私にとっては歴史的価値よりも見た目のインパクトや奇怪な造形物の方が大事なのです。
 
ということで、ティローミィンロー寺院を拝観した後、再び5分ほど自転車を漕ぐと・・・ある寺院(Khaymingha Temple)への案内標識が気になる。

う~ん、のどかな景色。こうした道をサイクリングするのって気分が良いです。
 

そこには多くの寺院が残されていたが、再建されたものと古いものが混在し独特な景観をつくりだしている。同じ場所から、まるで植物のように仏塔が生えているように錯覚してしまう不思議な光景。
 
ただこの日は、まともに散策をせず再び自転車に乗り込んでしまう。しかしこの寺院の光景がなぜか気になり再訪すると、私の期待するインパクト抜群の彫像が待っているのでした。
 

同じ場所でも天候の良し悪しで雰囲気がガラッと変わります。寺院を散策すると・・・
 

私を出迎えてくれた彼はいったい何者?こんな姿で寺院を護っているのでしょうか。仏教寺院にあるまじき姿は、まさか悪魔の化身かな?お股をよく見れば、うんカワイイね。
 

鼻が長く牙があるから、あなたはゾウさんですね。しかし、なぜグルグル目を回しているのでしょう?それとは対照的に仏塔の中の仏像さんはリリシイ目つきでこちらを睨む。どんなご利益があるか判りませんが、思わず皆さんを拝んでいきます。
 
 
後日談ですが、このインパクトある姿に惹かれ、再度この場所を訪れたが、あの石像たちがどうしても見つからない。そう言えば、晴れた日には見つからなかった彼らが曇りの日には姿を見せていたのです・・・怪奇!


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