バガン滞在も1週間程度となり、日々、自転車で周辺の遺跡群を探索するのにも疲れと飽きが生じてきました。そこでゲストハウスのご主人に相談したところ「ポッパ山」へ行ってみればというアドバイス。この地名は確かに聞き覚えがあり、突き出した山上に建てられた楼閣のような寺院の写真が記憶に残っている。ご主人の話しでは、シェアタクシーによるポッパ山ツアーは毎日出ており、料金は宿への送迎込みでK10000(2018年夏ではK14000前後=約1000円前後)。意外と安いよ~!即座にチケット予約を完了したのは言うまでもありません。
 

出発の朝、しまった寝坊した!と思ったら・・・宿のお姉さんは弁当を作り待っていた

ポッパ山出発の朝、部屋を叩く音で目が覚める。送迎の方が宿に到着したようです。実は私が寝坊するのは珍しいこと、約束の時間を守れなかったことは過去にほとんどないのに何たる不覚。焦る気持ちで顔を洗い、急いで扉を開けると・・・なんと送迎スタッフと一緒に、宿のお姉さんが朝食をつめた弁当を持って立っていたのです!(こちらの写真は、チェックアウト日に、ゲストハウス屋上の朝食会場でお姉さん達をパチリ)

 
落着きを失った私の気持ちが一気に和む。ミャンマーでは、さりげない心遣いや優しさに接する機会が多いが、その大半は余計なおせっかい(スミマセン)で終わる。ただ、このお弁当は私の望みに見事はまり、とても嬉しかった。そこでポッパ山の話しを始める前に、この親切なゲストハウスについて語らせてください。「Hotel Thumbula」はニャウンウー村の中心街にある真新しいゲストハウス、20ドル以内で泊まれる割には設備が整っている。液晶テレビや冷蔵庫、朝食込みは標準的と言えるが、なんとキレイなバスタブが付いているのです!

いや~、ミャンマーのゲストハウスで熱い湯を張って風呂に入れるのですから素晴らしいですよ。しかも、宿のスタッフはとても親切とあったら、これ以上に望むものはありません(プールはあってもイイかな)
 

ポッパ山に行く途中で立ち寄った場所、謎の牛の行動は?

ツアーバスからいったん降ろされた場所では、いきなり繋がれた牛がグルグルと円周上を歩く場面に遭遇。これって何をしているの?と一瞬理解できなかったが、以前、ベトナム・ミトー近郊や沖縄・琉球村で見た光景が脳裏に浮かぶ。実は牛の背中につけた棍棒によって、サトウキビから樹液を抽出しているのです。隣にある茅葺き屋根の下では、採れた樹液を煮つめて黒糖を精製していました。
 

ヤシの実をとる男性の姿もある。私にはとてもできない仕事を行う方、尊敬します。
 

ナッ神信仰の聖地ポッパ山を探索する

サトウキビを潰す牛さんに別れを告げバスは出発、30分ほど走ると、いよいよポッパ山が見えてくる。

とんでもなく切り立った要塞のような山の上に建つ寺院・・・あまりに異様な光景に圧倒されます。
 

ポッパ山登山の開始、お土産屋が軒をつらねる参道を上ります

ポッパ山登山はこの長く続く階段・・・と脅かすようですが、とても楽な行程なのでご安心を。参道にはお土産屋が軒をつらねており、冷やかしながらユックリと歩を進めます。
 

参道には人と同様にお猿さんの数も多い。往きの参道では子ザルが多く、こちらを好奇心たっぷりに覗き込むことはあっても悪さはしませんでした・・・後の悲劇にまだ私は気づいていなかった!
 

参道には様々な神々が鎮座している。これらはナッの神々で、ポッパ山こそナッ信仰の総本山、守護神マハーギーリーの住処なのです。
 

ポッパ山頂に到着。この見晴らしを見られただけでも嬉しい

階段を上り詰めると、いきなり見晴らしの良い場所に出る。ポッパ山の頭頂部に到達したのでしょう。バガン近郊の大平原を眺む光景に息をのみます。
 

山頂部で見た様々な神像の姿。ほぼ全てが人や仏の姿をとっており、異形(!)の姿を期待していた私は少々肩透かしをくらう。
 

こちらは高倉健?、いや”人気の聖人”ボー・ミン・ガウンのお姿でしょう。ただね、ガイドブックで人気と記されていても、彼がどのような人物かほとんどの方は知らないはず、と、ここで彼についての若干の知識を披露!ボー・ミン・ガウンは1938年から1952年までポッパ山で修業をした聖人で、様々な”奇跡”を起こしたとされている。まぁ奇跡の真偽は…ですが、最近までご存命だった方ゆえ、現在でも非常に人気があるのでしょう。ミャンマーでは奇跡を起こす聖人に対する信仰が広まっており、詳しくは土佐桂子氏の著作をお読みいただければと思います。
 

山頂に建てられた仏塔にも多くの仏像が鎮座している。どれだけの神様が祀られているのか、興味がある方は数えてみては?
 

下山道で、いよいよサルが邪悪な牙を向けてきた

一通り山頂での参拝を終え下山を開始する。朝方にいただいた弁当のうちバナナを残し、後ほど食べようと考えていました。折よくスペースを見つけ、バナナを取り出すと・・・数匹の猿が私を囲み、こちらを威嚇してくる。多少の危機感を覚えるが、猿コウに負けるのは、こちらが悔しい。猿を睨みつけながら立ち上がり、こちらも威嚇の目を向けながらバナナを手に取ると・・・ものの見事に取られてしまいました。せっかくのお姉さんの厚意を踏みにじられ、怒り心頭です。
 
その後、ほぼ下山を済ませミネラルウォーターをカバンから取り出すと・・・これも急に飛びついてきた猿に取られてしまった。何たる不覚!我ながら気恥ずかしくなってきた。
 

下山道の猿はとくに行儀が悪いと思われ、あちらこちらで悲鳴が聞こえる。中にはタバコなどを取り出し、猿に飛びつかせ喜ぶ方までいる。せっかく気分良くポッパ山を観光していたのに、最後にとても気分が悪い・・・この下山道、ぜひとも猿にご用心ください。


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