ミャンマー第2の経済都市マンダレーは、バガンやインレー湖と並ぶミャンマーを代表する観光都市としての側面もあります。バックパッカーとしてマンダレーに滞在したなら、おそらくはマンダレーヒルや周辺の衛星都市アマラプラなどを目指す方が多いとは思いますが、ではマンダレー中心街での見所というと・・・前回の記事で紹介したダウンタウンは私にとってはオモシロい場所だが、いかんせんB級感が抜けず一般的な観光スポットとは言い難い。やはりミャンマーの観光スポットと言えば、壮麗でキラキラな寺院や遺跡となるのでしょうか。
 
ただね、始めにヤンゴンのシュエダゴン・パヤーやバガンの遺跡群、ピンダヤの洞窟寺院などを見てしまうと、それ以上の感銘や刺激を求めるのは酷なモノ。ハッキリ言いましょう、観光的にはマンダレーを始めに見て、バガンやインレー湖は最後に残した方が”感動マーケティング”の順番としては正しいのです。寿司を食べる順番として、最初にトロやイクラ、ウニを食べてしまうと、後に残した白身魚の淡白な味わいが判りにくくなってしまうことと一緒。そう、マンダレー(中心街)は一見すると淡白だが実は奥深い白身魚としての楽しみ方が似合う街なのです。
 

マンダレー王宮の北東側をメインに自転車で巡る

マンダレー市街地はレンタサイクルで周るのがちょうど良いサイズ、この日も自転車を借りてマンダレー市街地探索に出発です。まず目指すは旧マンダレー王宮、ミャンマー最後の王朝となったコンバウン朝の王宮です。

王宮は1辺が約3kmのほぼ正方形の敷地を持ち、とにかく広い。ただ王宮自体は1945年に焼失してしまい、王朝時代の遺物は城壁のみ。1990年代末に内部の建造物が再現されたが、まぁそれ以上記すことは止めておきます。こうして再現された歴史的建造物も、あと数十年経過すれば、きっと味のあるステキなモノとなるのでしょう。
 
マンダレー王宮を後にし、マンダレーヒル(山)方向に自転車を進める。このままマンダレーヒルを観光することも考えるが、広い王宮と簡単な山登りを一日でこなすのは忙しいツアー観光客や短期旅行者だけ。疲労を後に残さないためにも、ここは軽い観光に留めておくことが肝要です。マンダレー王宮の北東に隣接していくつかの寺院群があることはガイドブックから仕入れた情報で知っていたので、さほど期待を持たないまま目指します。
 

白身魚の魅力1)世界最大の経典があるクドードォ・パヤー(Kuthodaw Phaya)

まず始めに訪れたのはクドードォ・パヤー、ガイドブックによれば729の小仏塔に経典を刻んだ石板が1枚づつ収められているとのこと。これは「世界最大の経典」として、2013年にユネスコ世界記憶遺産に登録されたらしい。霊験あらたかな場所なのでしょうが、う~ん石板ですか・・・なんて不安は吹き飛ぶ。これぞ白身魚の魅力に詰まったスポットでした。
 

到着してまず驚いたのは、白亜の仏塔が整然といくつも並んでいること。729の仏塔はさすがにインパクト抜群です。
 

仏塔の中を覗くと、ナンじゃこれは~!丸っこくカワイらしい暗号、これがミャンマーのビルマ文字ですが、その小さな文字が大きな石板にビッシリと刻み込まれている。もう一度言います、書いたのではなく刻み込まれている。さすがに世界最大の経典はだてじゃない!石板を収めるための仏塔の数が729、そして最後730番目の石板に経典作成の経緯が記されているとのこと。これを彫る労力に感服しながら、寺院中央にある黄金の仏塔を目指す。
 

これ自体は、ミャンマーで見飽きた(?)黄金の仏塔ですが、子細に見ると仏塔の随所で顔を覗かせるキャラクターのB級感あふれる味わいがヨロシイ。
 

まずは、前回記事でも紹介した「上半身が女性、下半身がライオン」の伝説の生き物マヌーティアです。このマヌーティアを見て思い出すのは、やはり前回記事で紹介した橋の欄干で見た謎の造形物(2枚目の写真)。どうもマヌーティアは龍の口元にチョコンと鎮座するのがお好きなようです。
 

こちらは黄金仏塔の入口柱に止まっていた得体の知れない鳥です。炎をたぎらせた目は不死鳥のごとくと知ったかぶりをするが、この鳥のことを何も知りません。私、エスニック集団の政治的な考察は得意ですが、宗教学や図像学は全くの門外漢でして…。ミャンマーのオモシロ造形神様に関するレクチャーを受けてみたいもの。
 

得体の知れないオモシロ神様は至る所に出没していて、これを全て写真に記録することは不可能なのじゃ。
 
このクドードォ・パヤーでは無数の石板による無言のプレッシャーを感じながら、中央の黄金仏塔に足を運ぶと数々の神様キャラクターに癒されるスバラシイ場所なのです。では、隣接する次の寺院に向かいましょう。
 

白身魚の魅力2)サンダムニ・パヤー(Sanda Muni Phaya)

サンダムニ・パヤーはクドードォ・パヤーに隣接しており、その境界が判りにくい。とりあえず、サンダムニ・パヤーと思われる場所を紹介します。

白亜の小仏塔の数は、先のクドードォ・パヤーよりさらに多く、なんと1774!仏塔アレルギーの方やホワイトアレルギー、あるいは尖端アレルギーの方がここを訪れたら、悲惨なこととなりそうです。
 

白身魚の魅力3)シュエナンドー僧院(Shwenandaw Monastery)

次に向かったのはシュエナンドー僧院、とにかく造りこまれた彫刻の妙が見ごたえのある寺院です。これほど精微な彫刻で装飾された建造物が、このミャンマーに残されていることがとにかく驚き。
 

僧院の前では竹皮で大きな木籠を編んでいるお姉さんを見かける。木製品に対する造詣の深さは私たち日本人にも共通する感覚、こうしたホッコリする光景が私は大好きです。
 
朝から動きマンダレーの王宮周辺を巡っていただけなのに、気がつくともう夕方近くになっていた。これが団体による観光ツアーなら今日の行程は1~2時間で済ませるのだろうが、実際には1日でも時間が足りない。ただね、この暑苦しいマンダレーの街で休みなく観光するのは、私の体力では無理っす。観光は早めに切り上げ、夕方からビールを片手に疲れを癒し明日に備えることにします。


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