ミャンマーをまともに旅行するのは初めての経験。滞在期限1ヶ月のうちなるべく多くの街を見てまわりたいと考えていたが、うだるような暑さと胃もたれしそうな料理が重なりダウン・・・寸前でした。とくにマンダレー市街地は大気汚染もひどいようで、息苦しいなと思い鼻をかむと真っ黒い汁がチリ紙につく。この街とは離れた方が良いなと実感し、夕方バスターミナルに向かいます。

上のバスターミナルで撮った写真を霊能者に見せたら、禍々しいオーブ(大きな丸い点)が写っていると言われ、お祓いを勧められてしまう?いや~これ、心霊写真の類ではありません。あまりにも暑く埃っぽいため、湿気やチリが写りこんだものです。ハッキリ言って、霊よりも不快だぜ!

旅の行程は、まさに人まかせ~運まかせ~時の流れに身をまかせ~

ヤンゴン行き夜行バスはリクライニングが妙に倒れこむバス、ただ(例によって)冷房が効きすぎてナカナカ寝付けません。ヤンゴンの街で1泊して態勢を整えようと考えているうち、5時頃にヤンゴン到着。しかも外に降り立つと、早朝だと言うのにマンダレーをさらに超える暑苦しさと埃っぽさ・・・インドでさえ、朝早い時間は爽やかなのです。う~ん、今の気分ではヤンゴンで過ごすことも無理そう!

こんな時には状況が導く運の流れに身を任せることも一興。近くのイスに座ると、ミャンマーの方が声をかけてくる。どうやらバス運行会社の職員のようです。これまでどこを旅行したのかなど社交辞令的な質問を受けた後、次にどこへ行きたいのか聞かれる。敢えて具体的な地名を言わず、”今すぐバスが出発する、ヤンゴンからさほど遠くない、私がまだ行っていない場所”と答えると、じゃぁ、こっちへ来いと言われる。まさかのミステリーツアーの始まりかな?

連れてこられたオフィスで彼は何やら話している。こうした状況では不安になる方も多いかもしれないが、いや、ここはミャンマー。ミャンマー人の優しさと気の利き方には一目を置いている私、不安なことは何もないはず。彼は地図を示し、このオフィスから出発するバスの行先をいくつか示す。うん、決めました!今からすぐ(数分後)に出発するバスでキンプンに向かいます。このキンプンはゴールデンロックで有名なチャイティーヨー観光の拠点となる街、映えスポットとして期待が持てるね。

キンプンに到着、いつの間に気分も体調も回復!

午前10時頃にはキンプンに到着。宿を探すのが面倒になり、すぐ目の前に建つキレイなホテルにチェックイン。ここはバスルームが共同ながら、真新しいため清潔に保たれており気分がイイ。荷物を下ろした時点で体調が回復したように思えてくる。まだ時間は早いし、ゴールデンロックに向かっちゃおうかな!

ゴールデンロックに向かうトラックは愉快で恐ろしいアトラクション

キンプンからゴールデンロック(チャイティーヨー・パヤー)へ向かうためにはピックアップトラックで行くことが一般的とのこと。

宿のすぐ近くにトラック乗り場はあったが・・・これって難民輸送トラック?のはずはありませんが、とにかくギュウギュウ詰めの車内は、乗り心地が抜群・・・に悪い!

ゴールデンロックまでの道はヘアピンカーブの連続。クルマが曲がるたびに車内はキャーという叫びが一斉にあがる。もう気分はアゲアゲ、寝不足も相まってハイテンションになってきました。ミャンマーのオバサマに押され身体が鉄の手すりに食い込みながら、私も負けずにウギャーと雄叫びを上げます。う~ん、運命共同体!いつの間にオバサマと仲良しだよぉ。

山あいの物売りお姉さん、たくましいね!途中のお布施スポットでは皆さん恭しくお金を払う。

先に申したがトラックの乗客(オバサマ)達とは運命共同体、言葉は通じないが心が通じ合う仲になったのでしょうか。カーブのたびに食い込む私の身体も、両脇のオバサマがガードをしてくれて痛みが和らぐ。

いつの間にトラックは終点に到着、オバサマ達と一緒にゴールデンポイントを目指そうとするが、私だけ何やらワイシャツ姿の男性に呼び止められる。外国人はチェックポイントに立ち寄り、入山料を支払わなければいけません。けっこう高い料金だなと一人考えていたら、オバサマが詰め合わせた係官となにやら話している。話しが終わった後、オバサマは私を残したままバイバイという仕草とともに先に行ってしまった。私を残して行ってしまうなんて冷たいよ~・・・とは逆の結果が待っていました。

係官はパスポートをチェックしながらも、なぜか入山料を請求せずに私を通す。この時オバサマが、係官と何を話していたのかは私には判らないが、それなりに高価な入山料が無料になった事実・・・小走りでオバサマを追いかける。お礼を言いたかったが、後に会うことはありませんでした。

これがゴールデンロック?・・・いやフェイクです

参拝道を歩いている中で、いくつかの小さなゴールデンロック(もどき)を目にする。これがフェイクだと知らなければ、期待とのギャップに発狂しそうですが・・・(^^)。ガイドブックによれば、当時の国王がゴールデンロックのレプリカを試しにいろいろ置いて、気に入った場所を探した名残とのこと。

と散策を楽しむうち、眼前に巨大な岩が見えてきた。これこそ正真正銘のゴールデンロックです。

これが目指して来たゴールデンロックだ!

当初来る予定はなかったが、流れに身を任せるままに到着したゴールデンロックです。この巨大な岩が絶妙なバランスを保ちながら、崖から落ちそうで落ちない姿は、まさに私の姿と重なるモノでした。偶然が折り重なった結果、今この場で私が立っていることに深い感銘を受ける。普段はミャンマーの方に遠慮をして間近まで寄って参拝することはしませんが、この日は別!岩に触れて感謝の気持ちを直接に伝えます。

岩の真下にまわり上を見上げる。接地面があまりに狭いことに驚き!偶然の産物とは言いながら、この状況下で安定したバランスを保つ姿に、これまで歩んだ人生をつい重ねてしまう。今後も偶然に左右されながらも、絶妙なバランスでドキドキかつスバラシイ人生を歩むことを願いながら、この地を去ることにします。

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