バンコクでのお祭り騒ぎな生活にはウンザリ・飽きあき、そうだ旅に出よう!

1ヶ月間にわたるミャンマーの旅を終え、例によってバンコクでしばらく羽を伸ばす日々。しかし、バンコクにいると、とにかくお金が羽をつけて飛んで行ってしまう。そりゃ毎日、昼も晩もバンコクの誘惑につきあっていたらキリがない(他の記事で書きましたが、1日あたり2000円以内の出費に留めることを目標にしているのです)。

ただ、バンコク滞在にはとても大きなメリットもあります。サラリーマン時代に知り合った者が何人か駐在しており、バンコク滞在をメールで知らせると、食事や飲み代を奢ってもらえることが、まあ何回かはある。中には昔の部下に奢ってもらうこともあったが、そんな時に当時の誇り高き態度を取ってはいけません。ひたすらヨイショ~。

“ウマいものを食って、酔って、その後は”・・・こんなジャパニーズ・サラリーマンの平均的生活なんぞ辟易、とにかく飽きる!う~ん、そんな気持ちが出てきたら、旅出(脱出)への合図です。そういえば、しばらくカンボジアへ行っていないなぁ。ただ、せっかく(昨今は出入国管理が厳しい)タイに入国してから、すぐに出国してしまうのはもったいない・・・ということで、ひとまずタイ東北部で訪れたことがない街や遺跡をいくつか訪問した後、ラオスの南端をかすめカンボジアに抜けるコースを辿ることにしました。

タイ東北部の玄関口ナコンラーチャシマ(コラート)でしばらく滞在する

まず目指した街はナコーンラーチャシマ(以下コラートと書きます)、ここはイサーンと呼ばれるタイ東北部エリアの玄関口かつ最大の都市。それなのに、私はここにほとんど滞在したことがない!不覚でした。

コラートで春節を祝う夜

バンコクからコラートまではバスで4時間ほどの行程、日がちょうど落ちた頃コラートに到着。中心街のシンボルマーク「ターオ・スラナーリー像」の近くにある安宿(Chumphol Hotel)に荷物を置きます。ホテルから歩いて5分ほどでしょうか、夕食場所を探しに行くがてらタオ・スラナーリー像を見に行くと・・・

ライトアップされた像が出迎えてくれることは理解できます。今やライトアップばやり、有名寺院などの建築物は言うまでもなく、全く知らない偉人の像まで明るく照らしだされることは、よくあること。しかしさぁ、よく判らない巨大な舞台が組まれているのはなぜ?しかも中華風のセットが組まれている。・・・そうだ、この日は春節なのでした!

怪しく光るぼんぼり、この強烈な赤はかなりエロチックな香りをプンプン放つ。と言ってもこれは春節の装飾、バンコクのナナやソイカウボーイと一緒にしてはいけません。

ただねぇイサーンを代表する大都市ではあるが、コラートでなぜ春節をこれだけ祝わなければいけないのか?確かに中国人観光客が押し寄せ落とすマネーは莫大なモノ。あるいは、コラートに中華系住民が多いのかもしれません。まぁ、タイ流おもてなしのイベントだと理解しておきますが、街全体で中華系に媚びるのはあまり感心しません。

コラート中心街の見どころを一つ挙げるとしたら、ワット・パーヤップ以外にありえない

翌日からコラート市内を精力的に歩きます。堀に囲まれた旧市街、新市街のお馴染み巨大ショッピングビル、ターミナル21やBigCも当然行きました。そこで一言、コラート市街地を観光でまわるとしたら、とても微妙な感想となってしまう。ただコラート中心部で、敢えて言えばここは行った方が良いという場所がワット・パーヤップです。

ワット・パーヤップがオモシロイといった噂を聞きつけ辿り着いても・・・丸い寺院は確かに形状は変わっているが、ただそれだけのもの。もしかしたら拍子抜けするかもしれないが、まぁ洞窟部屋を探してみてください。

どうですか!洞窟のような部屋の中には各地から集めった鍾乳石や岩石などをそこら中に貼り付け、とにかく奇怪な空間をつくり上げています。しかもこれ、一人の僧侶が自分の手でこしらえたとのこと。

ヨーロッパの宗教施設にある壮麗な寺院建築や宗教画は、その制作にかかわった人々の情念に思いを馳せたとき輝きをよりいっそう放つ気がします。ただ、ヨーロッパの場合、どこまでも壮麗で威厳があり、絵画や彫刻で現われた神々はとても写実的です。こうしたヨーロッパ的な宗教美とあまりにも対照的な洞窟部屋に驚いてしまいました。ただただ奇怪なのです。おそらく洞窟を体内に見立てることで、ウネウネの鍾乳石によって柔突起(脊椎動物の小腸の粘膜が腸の内腔に向かって多数指状の高まりになって突出した細胞集団)を表現しているのかもしれません。まぁ母胎回帰の場とするのが一般的な解釈かもしれませんが・・・ここでボーっと過ごしたら、いつしか鍾乳石の柔突起によって消化されてしまうかもしれない。恐怖!

コラート郊外の見どころはクメール時代の遺跡たち

コラート中心街では微妙なオモシロスポットしか見つけられなかったが、では郊外はどうか・・・バンコクでバックパッカーから見せてもらった『地球の歩き方 タイ編』で抜粋したメモをチェックする。

ピマーイ遺跡公園:アンコールワットをまだ見ていない方には感動できる遺跡

コラートからバスで1時間ほどの場所にあるピマーイ遺跡公園は、コラートからの日帰りデスティネーションとしては打ってつけの場所。しかも、アンコール時代にできた「タイのアンコールワット」と称される遺跡には、行く前から期待が持てるはずでした。ただ私の場合、これまで何度もカンボジア・シェムリアップを訪れ、アンコールワットやバイヨンなどのアンコール遺跡を飽きるほど見てきた身。そうなるとここは・・・まぁ写真だけで紹介します。

まずは入口。獅子と蛇神ナーガが歓迎の舞を見せてくれるかな。

いや~、歓迎の舞はこちらの人々でした。舞というよりは”シェー”ポーズですね。

いよいよ中央神殿に到着、アンコールワットほど広大ではなく観光客も少ないので気が赴くまま探索ができます。数々のレリーフやまぐさ板も観察し、ヒンドゥー教の世界観を堪能します。

と、一応のコメントを書きましたが、私自身はさほど楽しめなかった。やはりメインディッシュは後に残すべきもの。カンボジアをまだ旅行したことがない方にとっては、ここをまず見ておいた方が感動の順番としては正しいのです。

パノムワン遺跡:無人の遺跡探索が楽しめる

コラート郊外にあるパノムワン遺跡は、ピマーイとほぼ同時期に建立されたクメール遺跡。ただ、規模はピマーイと比べずっと小さく、見応えにも乏しい。その分、訪れる観光客はほとんど見られず、遺跡の中の探検気分が味わえます。

コラートの旧バスターミナルからマイクロバスに乗り15分。車掌の指示通り寺院に向け歩くが、人も家も見えず不安は募るばかり。ほとんど誰とも会わず、20分ほど行くと・・・

ありましたよ。これが(おそらく)パノムワン遺跡なのでしょう。

観光客はおろか、地元の悪ガキ連中もいないので思う存分、遺跡探索が楽しめます。仏像やレリーフなど、けっこう残っているので、こうした場所で鑑賞眼を養うのも結構なことだと思います。

とまあ、コラートを紹介しましたが、私にとってはかなり退屈な街。中心街は確かに繁華しているがバンコクのような大都会とは比べ物にならない、郊外の遺跡群はカンボジアを何度か旅行した身には物足りない。タイ名物「ぶっ飛んだ寺院」は・・・ワット・パーヤップでその片鱗を見たが、私はもっとぶっ飛んだものが見たいのじゃぁ~!そう言えば最近『タイの地獄寺』という本が出版され、タイ国内のぶっ飛んだ寺院がかなり紹介されているが、私が旅行した頃はまだこの書籍を知らず、自分の足でぶっ飛び寺院を探す能力も乏しかった。少々不満を抱えながら、この地を去ることにします。

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