タイ東北部はイサーンとも呼ばれる広大なエリア、過去にラーオ族(現在、ラオスの主要民族)やクメール族(現在、カンボジアの主要民族)と接触を繰り返した歴史を通し、独特の風土がつくりあげられた地域。大雑把に言えば、ウドンターニやノーンカイを擁するイサーン北部はラーオ文化、ナコンラーチャシマやスリンを擁するイサーン南部はクメール文化による影響が色濃く残っており、タイの他のエリアとは全く異なる空気感を受けると思います。
 
とまぁガイドブックの冒頭のような書き出しで始めましたが、要は私が今回巡っているナコーンラーチャシマ(コラート)やスリンはイサーン南部にあたり、数々のクメール遺跡が残されていることで特徴づけられるエリアなのです。私自身はクメール文化や歴史にさほどの造詣があるわけではなく、見た目の美しさや奇抜さ・巨大さなどのインパクトで判断するしかありませんが、勝手に「タイで見ておくべきクメール遺跡Top3」を選びました。パチパチパチ(拍手!)

〇ピマーイ遺跡
〇パノムルン遺跡
〇シーコーラプーム遺跡

まぁ当然に異論は認めます。実際、タイ国内には「カオプラウィハーン(プリアヴィヘア)」という壮大な遺跡があるという反論がありそう。

上の写真カオプラウィハーンは、このタイ旅行の後カンボジア側から訪問した際に撮影したものですが、現在カンボジアと領有権を争っており、今や遺跡全体がカンボジアによって占領されている。う~ん隣国同士、仲よくしようぜ!ということでカオプラウィハーンの代わりにシーコーラプームを勝手に「タイ3大クメール遺跡」に入れてしまいました。
 

以前に紹介したピマーイ遺跡(上の写真)はナコーンラーチャシマからバスで1時間ほどの場所にあり、アクセスがとても簡単。では、残りの2つ、パノムルンとシーコーラプームはどうかと言えば、こちらもスリンからバスや鉄道でダイレクトにアクセスできるので旅行はとても簡単。しかし情報量はぐっと減ってしまうのはナゼかな?やはりスリンに滞在する人が少ないのかなと思うが、私なら滞在コストが安く街もコンパクトなスリンを拠点に巡ることをおススメします・・・。
 

パノムルン遺跡 訪問記

パノムルン遺跡の最寄りの街はバーンタコー、ナコンラーチャシマとスリンを結ぶ間のややスリン寄りにあり、どちらの街からもバスでアクセスできます。スリンからバーンタコーまでは1時間半ほどの行程。
 

さてバスを降りると、そこに待ち構えているのはバイクタクシーのお兄さんたち。遺跡公園まで歩ける距離ではなく、バイクで20分ほどかかる。しかしねぇこのバイタクの運ちゃんがクセモノ!『地球の歩き方タイ 2019~2020』ではバイクチャーター代金が往復250バーツと記載されているが、その値段に下げるには・・・。私の場合はバスで来た観光客がおらず、1人で値段交渉するのは難しかった。最終的には300バーツで手を打ちましたが、敗北・・・。
 

とにかく広大な遺跡、バイクを降りてからも長い距離を歩く

参道の階段を上り詰めると前方に立ちはだかるのは「王の参道」。長さ160mの参道には70基の石灯篭(サオナーリアン)が並び、神殿へと誘います。
 

参道の石畳が終わると、今度は蛇神ナーガが両脇を護る階段を上る。上から見下ろすと・・・暑いタイの気候でここを歩いた自分を誉めてやりたい
 

神殿は見応え十分!クメール調の様式が残るレリーフ群に目を奪われる

神殿前の塔門&周壁に到着しました。ここで既に瞑想するシバの姿が彫られたレリーフがしっかりと残されている。
 

塔門をくぐると正面には主祠堂である礼拝堂が姿を現します。何と言っても必見なのは2枚目写真にあるレリーフ下部に見える「水上で眠るナーラーイ神」、これはいったん盗掘されシカゴ博物館で発見されたものが、市民運動によって返還されたもの。一度は失った国の宝、保存には当然力が入るのでしょう。
 

では神殿を探検します。数あるレリーフの内、もっとも私の目を引いたのは5人の聖者がヨガのポーズをとるレリーフ(判りにくい写真でスイマセン)。まるで空中浮遊をする姿に、さすが鍛え抜かれたヨーギとひとり感銘を受けます。
 

神殿の先には裏門があり、ライオンが来るものに睨みをきかせる。ちなみにタイでライオンと言ったら「シンハ」、ビールでお馴染みですね。
 

神殿を護る衛士にご本尊のリンガ像と、このパノムルンは細かく見出したらキリがない。ただ、何度も繰り返すが私は遺跡マニアでもなく研究者でもない。一つ一つの図像に関心は持てるが、ミャンマーのような思わず笑える像に出会えなかったのは残念。まぁ、私的には裏門にあるライオン像のシナヤカなポーズと艶のあるお尻がイチバン印象に残りました。
 

シーコーラプーム遺跡 訪問記

タイを代表するクメール遺跡は、その規模で言えばピマーイとパノムルンを巡れば十分な気がします。しかし、フォルムの美しさや観光客のいなさ加減(静かに心置きなくボーっと見ていられる)、アクセスのしやすさを考えれば、私ならシーコーラプームをTop3(神3:AKB風)に挙げたい。
 

再び日本国鉄キハ20形によく似た鉄道車両に乗り込む

スリン駅から普通列車(Ordinary)で30分ほど乗るとシーコーラプーム駅に到着します。この辺りの普通列車は大半がキハ20形によく似た車輛で運行されているのでしょうか、国鉄時代の日本製ディーゼル車輛が大好きな私はとにかく大興奮です。
 

遺跡探索の前に、まずは腹ごしらえでしょう!

前回の記事でも書きましたが、滞在ホテルはその外観と設備に反して宿泊料金がとても安いが朝食が含まれていない。シーコーラプームの街ではまず腹ごしらえです。駅横にあったタイならどの街でも見られる市場で素晴らしくウマい焼鳥を購入、市場内の麺屋で一緒にいただきます。
 

街なかにある遺跡、均整の取れたフォルムはただ美しい

駅から少々判りにくい道を15分ほど歩くと、いきなり遺跡公園に突き当たる。この出現の意外さが印象度アップの要因です。シンメトリーな伽藍の配置が美しい。
 

この遺跡をもっとも特徴づけるものは、レリーフの素晴らしい彫像でしょう。これほど精微に刻まれたレリーフはかなり珍しいものと思われる。主祠堂を探索すると、そこで見つけたものは・・・黄金の冠でした。これ、何か囲いなどがあるわけではなく、近づけば誰でも手に取れてしまう。しかも観光客がほとんどいない中、防犯カメラなどは当然のごとくナシ!まぁレプリカでしょうが、誰かが持ち去ったとしても、それに気づくこと自体がなさそう。う~ん、さすがタイ、おおらかだなぁぁぁ。
 
 
タイ国内のクメール遺跡は私としては堪能しつくし既に飽きてきた気分。そこで他の観光スポットを検索したところ、カラシンという街にタイ最大規模の恐竜博物館があるとのこと。実は私、子供の頃は恐竜博士の名を受け、将来は考古学者になろうと考えていた時期があった身。カラシンという街は一度も聞いたことがないが、調べると県庁所在地でもあり交通機関が何もないド田舎ではなさそう。これはカラシンに行くしかなさそうです。


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