コンポントムを訪れた当初の目的は、現在は世界遺産にも指定されたサンボープレクックを訪れることでした。しかし、私に声をかけたバイクタクシーのドライバーの話しを聞くうちに、コンポントムの魅力はこの巨大遺跡群だけに留まるものではないことが判ってきた。むしろ、カンボジアの観光スポットがクメール遺跡しかないと勘違いをしたバックパッカーや個人旅行者にこそ気付きとなるスポットが目白押しなのです。カンボジア農村部のオモシロスポットを存分に堪能できるコースを教えてくれたバイクタクシーのドライバーには感謝!
 

前回記事のおさらい:バイクタクシーで巡ったコンポントム郊外日帰り旅のコースを紹介

コンポントムのマーケットにはトゥクトゥクやバイクタクシーのドライバーが手ぐすね引いて待機しているが、その大部分は単純にサンボープレイクック往復を提案するだけ。ただ私に声をかけてきたドライバーは違った!サンボープレイクック以外にワットムープラやプノンサントゥクといった、学生バックパッカーのブログや『地球の歩き方』では決して紹介されないスポットをまわるとのこと、しかもバイタクのチャーター料金は15ドルと安い!
 
実は料金の安さだけで私が動くことはありません。調子の良いことを言ってお金を巻き上げようとするドライバーに当たってしまっては最悪です。しかし、今回のドライバー氏は地図を指で辿りながら具体的なコースを示す点で信頼できる。ここは腹をくくり彼に任せることに決定。
 

まず始めにサンボープレイクックを巡るのは当然でしょ!

サンボープレイクックについては前回記事で詳細に記したので、ここでは手短かに。コンポントムに来た最優先の目的がサンボープレイクックに来ることだったので、最初にここを訪問。密林に点在する巨大遺跡群のうち、Nグループ(プラサットサンボー)・Cグループ(プラサットタオ)・Sグループ(プラサットイェイポアン)を歩いて巡るだけでも2~3時間は要した。途中、上智大学に留学経験のある現地研究者と偶然にも出会い、ガイドもしてもらいました。
 

コンポントムの観光スポットはサンボープレイクックだけではない!多様なオモシロスポットを巡る

サンボープレイクックを探索して早くも腹一杯の私。広大な遺跡群(密林)を歩き回り疲れたのも確かですが、これだけ見どころが多い遺跡を巡った後に、それ以上の感動は味わえないだろうなと半ば諦めの気持ちが生じていた。最初にメインディッシュを食べてしまったら後は残り物、とくに腹一杯の状態で続きのモノを食べなければならないとしたら、これがコース料理なら拷問ですよね。こんな憂鬱な気持ちでバイクに乗り込むが、それ明らかに間違いでした!
 

人家すらもない未舗装道を走る、僕はどこへ連れていかれてしまうのか…不安!

サンボープレイクックに至る道はツーリストも多いためか、しっかりと整備されていました。しかし、ここからはダート道の連続、たまに車が通ると埃が巻き上げられて辛いのなんの・・・。

と、進むとかなり大きな川に突き当たる。(当然)橋の架かっていない状態でどうするのか疑問に感じていたら(まさか、ここで引き返すの?)、何か木の板を組み合わせたものが川べりに横づけにされた。
 

これ艀だったのです!先客のバイクを載せて向こう岸に渡る姿はファンタスティック!まぁラオス旅行ではメコン川流域の観光スポットでボロ木造船にバイクを載せる光景はよく見たが、動力らしきものがない木板を組み合させた艀は初めての経験。
 

川向こうの寺院、ワットムープラを参観する

川向うは舗装道が整備され埃に悩まされることはなくなる。数分と短い時間を走ると真新しく大きな寺院に到着。どうやらワットムープラという寺院のようです。

何もない荒野に突如現れた寺院、周囲の光景とあまりに不釣り合いな様子に笑えてきます。写真の建物以外にも多くの伽藍があるが、いずれも金箔がふんだんに使われた装飾がなされ(とりあえず)美しい。ただ、参拝客が誰一人見当たらず寂しい限り。そんな状態でこれだけの規模の寺院を運営するって、予算ス・ゴ・イ・ね。
 

ワットムープラで目を引くのは、美しい伽藍よりもむしろ、このチャーミングな船の模型!おそらくは神々(あるいは王族)の乗る船には屋根付きの祠が備え付けられている。カワイイお目めは孫悟空が乗るキントウン、船のお口は怪鳥ガルーダが羽を広げる姿に見えなくもない。まぁ縁起物のデザインなのでしょう。
 

プノンサントゥクでクメールルージュ(ポルポト派)のニオイを感じる

ワットムープラを参観した後に向かうはプノンサントゥク。ここは地元では有名な観光スポットのようです。

プノンサントゥクの山門に到着しました。なんじゃ、ここで出迎えてくれるのは、まさかの兵隊さん。山門の脇に設えたナーガ(蛇)の像はやけに新しい。ここで勝手な私の推測を始めますが、ポルポト統治時代にいったん寺院は破壊され、彼らの像がつくられた。その後クメールルージュが駆逐され再び信仰の場として整備されたことで、とって付けたようにナーガ像がつくられたのでは。まぁ、これって私の勝手な推測ですが・・・。
 

山門をくぐると延々に山道の参道が続く。本来、ここにはナーガの長~い胴体が続いていたはずですが、なぜか勤労少年・少女と思しき像が鞭のような綱を抱く姿が続く。ポルポトいわく、子供たちに教育は害悪じゃ!楽園たる農村建築のため働け~と鞭を打つ光景が目に浮かぶ。
 

参道には無数のサル~猿~!しかし、ミャンマーのホッパー山で見たような悪行三昧のサルではないためご安心を。
 

奇岩の先に本堂がある山頂部に至るが、整備がおぼつかないお堂がけっこう目立つ。まぁ私にとってはこの方がロマンを感じるのです。復興が終わった真新しいモノでは有難みを感じません。
 

実はこの山頂部はかなりカオスな状態となっているのです。ヒンドゥーの神々(シヴァ神)は最近に建てられたものだと思われるが、安い塗料を使ったのでしょうか(失礼!)塗装がすでに剥げかかり妙に味わいのある姿に変貌。そばにあった獅子像、君はたぶん古いものだね。そのヒョウキンなお顔を拝見できて僕はとてもウレシイで~す!どこかで見覚えのある顔だが、う~ん思い出せない。とりあえず、タイムボカンシリーズの悪役(ボヤッキーなど)のお顔としておきます。
 

盛りだくさんの一日、他にも見せたい場所があるとドライバー氏は言うが・・・

プノンサントゥクを下山するとヘトヘト状態、なぜなら今日はサンボープレイクックをはじめ歩き回った一日だったのですよ!ドライバー氏は出発前に示した地図を出して次はドコソコへ行くぜっと意気込むが、私は十二分に満足、これ以上観光スポットを巡ったら食べ過ぎから下痢になってしまう!

帰り道に立ち寄った工芸村。バイクから降りようとしない私にドライバー氏は不満顔だったが、私の疲れを察した様子。コンポントムマーケットに向け出発したのでした。


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