カンポット街なか観光、市場とカフェと夕陽が揃う素敵な街
シハヌークビルでビーチリゾートライフを楽しんだが、まだそれでは満足できない私は、次の目的地にカンボジア南部の街カンポットを選ぶ。このカンポットにはフランス植民地時代に開発された高原リゾートがあったが、1970年代には「カンポットの戦い」で勝利したクメールルージュ(ポルポト派)が占拠、1990年代前半までポルポト派の一大拠点が置かれた過去。ポルポト派が駆逐された後、高原リゾートにはただ廃墟だけが残されたが、ただでは転ばないカンボジア政府はそこを国立公園に指定。現在は廃墟観光の聖地として一部マニアの人気を呼んでいるらしい・・・
カンポットの現代史に触れたので、ついでにもう1つのエピソードを紹介。もともとこの地は「世界一の胡椒」を生産する地として西洋人には認識されていたが、1970年代のカンボジア内戦によって胡椒づくりは途絶えてしまう。荒廃した胡椒生産を再び軌道に乗せ、2000年代に「カンポット・ペッパー」は復活を遂げるのだが、その立役者になったのは一人の日本人でした。
こんな2つのステキなエピソードを知り、興味津々のままカンポットに移動。シハヌークビルから東へ約110km、バスで2時間程度の行程です。
街の中心を流れるカンポンバーイ川が見えてきたのでマイクロバスを下車。川沿いに整備された遊歩道からは見事な橋が見える。街のランドマーク「オールドブリッジ」で、フランス植民地時代に架けられたカンポットで最も古い構造物の1つ。ここを起点にカンポットのホテル街を目指すことにします。事前に調べた情報では、「塩づくりの像」から延びる道(St.730)にゲストハウスが何軒か並んでいるとのこと、オールドブリッジからは800mほどと散歩にちょうどよい道のり。
オールドブリッジから真っすぐ内陸に延びる道を5分ほど歩くと、奇妙な形の大きな彫像が見えてくる。
これ、巨大なドリアンの像です。なにゆえドリアンなんだよ~と笑いたくもなるが、このカンポットはドリアンでも有名らしい。私、実はねぇ大概の食べ物はOKなのだが、ドリアンと昆虫(あと柿)だけはNGなのです。昔むか~し、市場に漂うあの強烈な臭いに一発KOはされなかった私、市場のおばちゃんに選んでもらい切り分けてもらったのを食したのでした。すると・・・良い例えが思いつかないが、強いて言えば餃子味のネットリした甘~いカスタードクリーム。この”餃子味”というのがミソで、ニンニクや生姜が効いた餃子を思いっきりクリームに混ぜて甘くネチョネチョにしたものを食べた感想は、う~ん、もう無理!
しかもこれも昔、市場のヌルヌル道で滑ってしまった私、手をついてしまった場所にたまたまドリアンがあった!この痛さ、想像できますか?しかも結局、手足は市場のヌルヌルで汚れてしまい、一日立ち直れなかった悲惨な過去を持つ私 (;´д`)
ドリアンへの恐怖を引きずりながら交差点を見渡すと、ここから何本もの道が分岐している。グーグルマップでしっかりチェックして、歩いて5分ほどの場所にある次の目的地「塩づくりの像」を目指しましょう。
「塩づくりの像」に到着しました。この辺りは塩田も有名なようで・・・(後日、見学に行きました)
ところで、塩づくりの像から延びるSt.730沿いには確かにゲストハウスが並ぶが、このエリアは西洋人バックパッカーに人気があるようで、何軒かはFullと断られてしまった。ただ全てがFullという訳ではなく、少し奥に入ったPepper Guest Houseに部屋を見つける。
宿が決まったことで街なか散策を開始。ついでにツーリストオフィスを訪ね、近隣の観光スポット情報の収集に出かけます。
東南アジア街歩きの基本はまず市場からと決めている私は、ゲストハウスから15分ほど歩いて向かう。
まずは装飾品の加工台や雑貨品が売られるエリアを通り過ぎると生鮮品市場に入る。バナナやパパイヤ、ドラゴンフルーツといった定番品に並び、あの憎きドリアンもありますね。
食肉市場では生きたままの鶏や鴨が売られているが、まぁこれもド定番、特筆すべきものは・・・
この場では、鶏を絞めて、熱湯につけ毛をむしり、丸鶏として売られるまでの一連の行程が見られるのです。中国やアジアを旅行し獣畜の解体作業には見慣れている私、むしられた毛が散らばり絞められる際の声が聞こえても、鶏肉として製品化された丸鶏を見ると、つい美味しそうだなという感情が湧いてくる。今、日本に戻りしばらく経過した私から見れば、よくこんな状況の下「美味しそうだ」と思うのか少々疑問が湧くが・・・。まぁビーガンの方なら別ですが、食肉となる動物たちを素直に美味しくいただけることに感謝できる環境を誇りに思います。
カンポットの街なかを歩くと、けっこうカフェが目立つ。この街の規模に見合わず、外国人旅行者が多数訪れていることがうかがえます。
コーヒーと一緒に私が必ずオーダーするものはバナナケーキ。これ、大概のカフェに置かれており、しかもどこでも安くてオイシイ!ちなみに日本に戻ってからも、これ以上のバナナケーキには巡りあっていません。
カフェのバケットが外国人バックパッカーをターゲットにしているのなら、地元民が御用達のパンも食べてみる。薪で焼き上げた堅焼のパンは、モッチリフワフワとは対極の大人の味!食べるなら焼き立てに限ります(少し時間を置くと歯切れが悪くなるのは経験済み)。
街をうろつくうちに時間は過ぎ、ゴールデンタイムがやってきました。メコン沿いでさんざん夕陽は見てきたはずだが、一日の終わりを告げる橙の空は、いつまでも見飽きることはありません。
川べりに出ると見事な夕景が広がっていた。下では子供が私にちょっかいをかけてくる。そういえば、この日は旅に必要な事務的会話以外に人と話していなかったなぁ。一日くらい誰ともしゃべらないからといって人恋しいことはナイが、このまま孤独の時間を過ごすよりは、楽しい方が良いに決まっている。子供としばらく遊ぶことに決定。
いつの間に空は黄金色に染まっていた。子供との遊びもおしまいにして、飲みに出かけることに。バックパッカーの私にとってカンポットは、妙に居心地の良さを感じる街です。
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