ボーコー国立公園ツアーはコスパ抜群、ヤンキー魂も抜群
カンポットの街なかをブラブラ歩くと結構目立つのが間口の狭いツーリストオフィス。ダラダラゆっくり滞在したいと決め込んでいたが、ツーリストオフィスに貼られたチラシを見ると魅力的な文面と金額の安さについ目がひかれます。私が自力で行こうと考えていたボーコー国立公園の「ゴーストタウン」を巡るツアーも数多くあり、とくに私の関心を惹いたのは次のような内容。
- ◆ツアー前半:9:00、カンポットを出発。ボゴール国立公園内のゴーストタウンを一通り散策。その後、ピールポーチー滝に立ち寄り昼食タイム(無料の弁当付き)。15:00頃いったんカンポットに戻り休憩(自由時間)。
- ◆ツアー後半:17:00、再度カンポットを出発。クルーズ船に乗船しカンポンバーイ川を北上。サンセットやホタルの乱舞を船上から見学。19:30頃カンポットに戻り解散。
この2部構成のツアーが昼食込みでなんと10ドル!10ドルで交通の脚がつくだけではなくガイドや昼食、しかも夕方はクルーズ旅行が楽しめるとあっては、参加しない方が損というモノ。ちなみに、最新の『地球の歩き方(2019~2020年版)』で確かめたところ、カンポットからボーコー国立公園を往復するだけでトゥクトゥクは25ドル、シャトルバスは13ドルかかるらしい。一方、上記のツアーは現在でもあり価格は10ドルからと変化なし。う~ん、この価格設定は謎と言うしかない。
秘密(?)の情報を追加します。ツアーを決める際「けっこう疲れが溜まっているからツアーの前半と後半は別の日に参加したいなぁ」とダメもとで言うと、別の日にそれぞれ参加してイイよとアリガタイ返事をいただきました。しかもツアー料金は変わりなし。ここまでの素晴らしい対処に感動し、即座に翌日出発のツアー(まずは前半部だけ)申し込みを完了!
ツアー申込は終わったが、いまだに10ドルでこれだけの内容が盛り込まれていることに一抹の不安が残る。まさか、お土産屋をさんざん巡る格安団体ツアーのノリじゃないよね(結論を言えば、お土産屋は1軒もまわりません!)。
朝方ツーリストオフィスに出向くと、お迎えまで隣りの軽食屋で休んでいてイイよとのこと。朝食を食べていなかったしラッキー!カンボジアではこうしたさりげない優しさを感じることが多いのです。軽食屋に横付けされたワゴンバスは滞りなく私をピックアップ(上の写真は国立公園内の駐車場)、ツアーの始まりハジマリです。
カンポット市街を抜けしばらくすると、バスは山の稜線を走る。かなり急な山道のはずが意外なほどに道路状態が良く、快調な走行が続く。
一時間ほどで到着した場所は山の上。バスから降りると肌寒さすら感じる気温に驚くが、それ以上に驚いたのは目の前の巨大な真新しい仏像と奇岩!確かにそれも観光スポットに見えるが、私が期待したゴーストタウンとは相容れない姿。まさか騙されたの?と一瞬不安になるが大丈夫でした。バスドライバー兼ガイドさんはゴーストタウンの方向を指さしてくれる。
指示された方向を歩くと、1軒のレンガ造りの小屋が見えてくる。
ここは1924年に建造された当地の王族の別荘らしいが、今となってはミスボラシイ造り。ただ、外壁などに精巧なレリーフが残されている点はサスガと言っておきます。
建物の中はガランドウで、ただ汚らしいだけ。しかも、方々に(かなり上手な)落書きが目立ち、まさかヤンキーの集会場所に使われていたのかと疑ってしまうほど。私、茨城県にいきなりトリップしました!
ガイド兼ドライバーさんは後から私たち一行に追いつき一所懸命に説明をしてくれるが、いかんせん英語が通じにくく話す内容の5割も判らない。ただ内容を推察するに、ここはクメールルージュ(ポルポト派)により「虐待施設」として利用された場所で、かなり多くの骨が発見されたらしい。まぁカンボジア各地にあるキリングフィールドでしょうか。浮かばれない亡霊たちが見える人には見えるかもしれないが、私には禍々しいものは何も感じられず一安心。
クルマに戻り5分ほど進み再び停車。フランス植民地時代の栄華を伝える教会跡を見学します。
クルマから降りるとすぐプロポーションの良いカトリック教会が眼前に建つ。
中に入るが案の定ガランドウ、やはりポルポト時代に破壊をされたのでしょうか。平和な時代が訪れ、やっと真新しい祭壇とキリスト&マリア像が設えられたのでした。
教会の裏手には本来はスバラシイ眺望が広がり、晴れていれば遠くベトナムまで見渡せるらしいのですが、この日はあいにく霧が出てしまい、おそらく5km先も見えていないはず。ただ、ガイド(兼ドライバー)さんが隣に座り「You are Lucky! You see Vietnam」などとのたまう。いや~ベトナムまで見えてるわけないっす。このセリフって昔どこかで聞いた覚えがあると思ったら、高校生の頃に旅行した北海道、宗谷岬へ向かうバスで運転手さんが「(見えてないのに)皆さんスゴイですね。今日は樺太がはっきりと見えます」とアナウンスしていたのと一緒だよ!笑えます。
次の目的地は、この廃墟ツアーのメインとなる目的地、1920年代に建てられたカジノ跡地です。
霧の中で浮かび上がる堅牢な建物は存分に怪しい元カジノ、ポルポト時代には一時、司令部(コマンダー)として使われていたとガイドさんは説明するが、そういえば彼はけっこう私のそばについて、他の西洋人の方には行かない。おそらく英語に自信がないのか、私で練習をしているのかと穿ってしまう。まぁ一人身のオヤジを哀れに思い、そばについてくれる優しい方としておきます。
内部探索を開始。ここを一言で例えたら刑務所でしょうか、空洞が広がる室内に一人でいたら気がふれてしまうかもしれない。
しかし子細に見るとイスラム風のタイルが残されていたり、螺旋風の階段が上階へ続いていたりなど、かなり凝ったモダーンな造りであったことが判る。これを破壊してしまうポルポト派の見識のなさ、嘆かわしいです。
ボーコー国立公園のゴーストタウン(ボーコー・ヒルステーション)の散策はひとまず終了。次はカンボジア有数の滝との触れ込み「ピールポーチー滝」へ向かう。到着前には弁当が配られ、Let’s enjoy hiking time!とガイド(兼ドライバー)が言うと、西洋人一同ヤッホーと雄叫びをあげる。僕も期待に胸が高まります。
岩場をハイキングするが、え、ここが目的地?確かにこの河床を水が流れていればステキな光景だが、今はただの岩場。滝ツボもただの岩場で水が一滴も流れていない。ガイド(兼ドライバー:しつこい!)さん、無駄に期待値を高めてしまってはダメだよ!
上流に行くと多少の水があるが・・・。ガイドさんが再び近づいてきたので少々の嫌味を言うと、彼はそれをいなしながら「ここには美しい自然があり、心の底からリラックスができる。君もそうだろ?」とおっしゃる。そうだよね、乾季は乾季の楽しみ方がある。雨季なら川沿いにハイキングなんて、そうそうできないしね。森林浴を楽しむことに頭を切り替え、リラックスタイムとしゃれこみますか!
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