カンポットの街中にあるツーリストオフィスで現地ツアーをチェックしていたところ、ボーコー国立公園を巡るモノ以外にも魅力的なツアーがいくつか見つかる。そのうち私の関心を最も引いたのは「カントリーサイドツアー」と名付けられたモノで、具体的な内容は以下の通り:

    ●トゥクトゥクによる完全なプライベートツアー、ゲストハウスまで送迎。まず始めにカンポット郊外にある塩田・漁村・コショウ農園を巡る。
    ●その後、7世紀前後に建立された洞窟寺院「プノン・チュヌーク」を参観。
    ●シークレットレイクを通り、蟹市場で有名な街ケップに移動(ランチタイム)。

これだけの内容で、料金は12ドル。ボーコー国立公園やシハヌークビルのように食事は含まれませんが、十分に満足のいくものだと判断しました。トゥクトゥクをチャーターしたプライベートツアーなら、例えばシェムリアップの小回りツアー(アンコールワットやアンコールトムの都城・寺院遺跡群を巡るトゥクトゥクのチャーター)で10~15ドルかかることを思えば、12ドルは妥当な値段でしょう。
 
ボーコー国立公園ツアーの第一幕を終了し夕方のリバークルーズは後日にまわした私にとって、翌日の午前から夕方前まではとりあえず暇。カントリーサイドツアーに参加した後、リバークルーズでサンセットを楽しむという多忙スケジュールを勢いのまま組んじゃいました!
 

カンポット・カントリーサイドツアーのハジマリはじまり

トゥクトゥクはゲストハウスまで迎えに来るとのことだが朝食を食べたいし、結局はツーリストオフィスの隣りにある食堂に来てもらう(その方が安心!)。朝9:00を指定したらその10分くらい前にお迎え、焦って食事を済ませる。
 

まずはチラシの予告通り塩田と漁村を巡る

私の場合、最近ではトゥクトゥクよりも安価なバイクタクシーに乗ることが多く、ゆったりくつろいで座れるトゥクトゥクは久々。しかも朝、風を切りながら走るトゥクトゥクの心地良さに改めてフレッシュな感動がよみがえる。
 

20分ほど走ったところで停車、塩田に到着です。見渡す限り海水が張られた敷地で、いくつかの仕切りによって区切られている。水が蒸発し塩分が凝縮した池の水を少し舐めてみると、さすがに通常の海水よりショッパいですね。
 

塩の精製所にも立ち寄る。ここでも塩を手に取り舐めてみるが、かなり鋭い塩気が舌を突き刺し辛かった記憶があります。まあグルメにウルサイ紳士淑女の方なら、強い塩気の中にも芳醇な香りやコクを感じ取るのでしょうが、私には無理っすね。
 

塩田の隣りにある村が漁村のようでして、確かにボートが何隻か停泊している。ただ、私が訪れた時間は船が出払っているタイミングのようで、魚を陸にあげる光景などは全く見られなかった。それどころか、村を歩く人にもほとんど出会えず、ここはすぐに出発します。ちなみにドライバー氏の話によると、この漁村にはムスリムが住み、周囲の村とはかなり趣きが異なるらしい。
 

ツアーのメイン目的地「プノン・チュヌーク」で得体の知れぬパワーをいただく

漁村を出て10分も走ると、いまだ未舗装の道に入る。うん、これぞ私が想像するカントリーサイドだよ。
 

結局、漁村からは30分ほどかかり降ろされた場所は・・・これまたチープな彫像ですね。まさか、これがプノン・チュヌーク!?と一瞬うろたえると脇に崖を上る参道が。そうそう洞窟寺院=山中にあるのでしょうか。高所から見る周囲の景色は、見事に何もないことが潔い。
 

参道を歩き5分ほどで洞窟にたどり着く。これが意外な大きさでして・・・写真に入りこむドライバーさんと比べたら一目瞭然。
 

この広い洞内には不思議な寺院が建立されている。レンガ造りの祠は7世紀前後に建立されたプレ・アンコール期の貴重な寺院とのこと(『地球の歩き方』最新版の受け売り)。写真では小さく見える祠も実際にはかなり巨大で、祠の天井を突き破る鍾乳石はまさに圧巻のスケール。ここで私が不思議に思ったのは、洞内を写した写真はどれもモヤがかかったようになりブレ気味、明瞭な画像は一つもありません。まぁ高温多湿な洞内の空気が影響しているのでしょう。
 

シークレットレイク→コショウ農園への行程

プノン・チュヌークからはかなり長い道程をトゥクトゥクは進む。30分ほど走ると、この乾いた大地には意外なほどの大きな湖が広がる風光明媚な光景となります。これがシークレットレイクで、なぜかシークレットな場所。ドライバー氏は湖沿いで何ヶ所にもトゥクトゥクを停め、解説をしてくれる。私が理解した範囲でその解説をまとめると、この湖はポルポトの手によってつくられたが、なぜか湖(人造湖?)の所在は秘密にされ建造に携わった人々を含む多くの人達が惨殺、この湖に打ち捨てられたらしい。彼はこのような話しをしながらバイクを停め、写真を撮ることを促す。いや~確かに風光明媚だとは思うが、こんな話を聞かされると写ってはいけないものが写りこまないか不安になります。私自身、幽霊の類には出会ったことはないが、タダナラヌ雰囲気を感じることはよくあり、そうした場所からはスグに離れたくなります。ただ、この湖にタダナラヌニオイを嗅ぎ取ることはなかったですね。
 

シークレットレイクの周辺には、世界にその名を轟かせる(らしい)コショウ農園が広がり、そのうちの1つに立ち寄る。まぁどうぞどうぞとコショウの粒を手渡され口に入れるが・・・コショウ辛いっす!再度言うが、私はグルメの達人ではない(ただし、サラリーマン時代は中国&東南アジアの食品マーケティング=新規参入業者のブランディングに従事しており、一丁前な口調でブツブツうんちくを垂れていた恥ずかしい過去があり)ため、コショウ粒を嗜みクオリティーを判断できるはずがない。ただそれだけ高品質なコショウなら、先ほど見た塩田の塩と一緒にシンプルな豚肉のソテーを食べてみたいものです。
 

長時間のトゥクトゥクツアーの行きついた先はカニが名物の海岸、ケップの街

トゥクトゥクも始めは心地よく感じていたが、腰がズキズキと痛みだすと共に、さすがに腹も減ってくる。と、コショウ畑から1時間近く乗ると見えてきました海岸、ケップに到着です。この街はカニが名物らしく、港や脇のマーケットにいくつも積み重なった籠はカニを捕獲するためのモノ。
 

籠の中を見せてもらうと、生きたカニがウジャウジャと入っています。これを買いこみ近くのレストランで調理してもらうのですから、オイシイに決まっている!ところで中国や韓国を含め、日本以外のアジア一帯で食べるカニってワタリガニの類が多いですね。贅沢を言えば久しぶりにズワイやタラバ、それが無理なら毛ガニや花咲ガニを食べたいものですが・・・ナイモノネダリは止めておきます。ヨダレがじゅるじゅる、いざ食べようと思い値段を聞くと・・・(確か5ドル程度からと高くはないが)財布内に残された私のキャパを超えってしまっていた!キャッシングをしようにも近くにATMを見つけることはできず、カニにむしゃぶりつくことは断念。近くの食堂でカニチャーハンを食べることにしました・・・無念!
 

ケップの港近くには白砂が美しいビーチが広がっている。カニの無念を晴らすためにも、カンポットの次にはケップを訪れることを誓う。
 

おまけ:リバークルーズツアー

トゥクトゥクのドライバーには夕方にサンセットクルーズツアーに参加することを伝えており、4時ごろにはカンポットに戻る。これから少し休んだ後、サンセットクルーズに出発です。

乗り込んだ船は、この日すでにボーコーツアーに参加し皆さん仲良くなった西洋人の方が占拠していた。乗り込む際には挨拶「Hello! You enjoy Bokor!」などと言っても返事を返してくれる方は誰もおらず、寂しいクルーズを迎える。ちなみに、この川では現地カンボジアの学生たちも船を借り切りドンちゃん騒ぎ、けたたましい音楽がいっそう私の寂しい気持ちを盛り上げる。
 

夕陽に照らされた川面はとても美しい。実は私、一人で夕陽の沈む光景を鑑賞することは好きなのですが、それは周囲も静かな時に限る。乗船メンバーたちは互いに写真を撮りあいながらハイに喜んでいる中で、一人言葉を発さず物憂げな表情を浮かべているのは何ともやるせない。グループの中でボッチになる気分を味わい、ツアーに参加することはしばらく控えようと決意したのでした。


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