地平線がどこまでも広がる砂山の向こうにシルエットで見えるラクダの姿、これぞ小さい頃から憧れ続けた砂漠の光景です。私が滞在していたトルファン近郊はタクラマカン砂漠の周縁にあたり、確かに火焔山の周辺などで砂漠を見たが、まだまだ満足できないレベル。実はトルファン近郊にピチャン(鄯善)という街があり、そこで広大な砂漠が見られるということで、公共交通を使い自力で向かってみました。

 

まずは、ピチャンの旅行情報を簡単に案内します
ピチャンへの行き方

ピチャンはトルファンから東へ90kmほど離れた街で、トルファンとハミ(波密)の間くらいに位置します。トルファンのバスターミナルからはピチャン市街地まで公共バスが頻発しており、トルファン~ピチャン間で約2時間、片道料金は当時16元でした。
 
ピチャンの街は小ぶりで、砂漠を含め徒歩だけで十分に観光できますが、一応、市内バスも走っている。バスターミナル周辺は中国によくある近代化された没個性的な街で、まぁ漢族がつくった地方都市といった様相。大沙漠まではバスターミナルから4~5km程度か、歩くと1時間くらい。老城路という目抜き通りをまっすぐ歩くとたどり着けるため道に迷うことはないはず。この道中は後半がウイグル人街となり、脇道に入るとかなり楽しめます。
 

ピチャンの宿泊施設

バスターミナル周辺などに安宿(旅社)はあるが、私たちが訪問した時は(ウイグル問題の影響か)外国人の宿泊は許可されていなかった。バスターミナルの並びにひときわ目立つ建物で「西遊酒店」という大きなホテルがあり、1泊288元とかなり高額。まぁ仕方がありません、渋々泊まりました。
 

ピチャンの大沙漠公園

ピチャンの大沙漠はクムタグ砂漠にあたるが、この「クムタグ砂漠」をネットで画像検索すると美しい写真がたくさんヒットする。そうした写真の多くがピチャンで撮影されたもので、もう行く前から期待がバクバクでした。
 

砂漠の入口には巨大なエントランス。しかし入場するのは至難の業?

巨大なラクダのエントランスが入場ゲートのはずだが、入口は閉ざされ一見したところ中には入れません。
 

すると、やはり観光で来た中国人(漢族)の方が手招きをしてくれる。上の写真をご覧ください。なんと、脇のブドウ畑がある茂みから大沙漠公園の中に入れてしまい、当然ながら入場料はかからない。漢族の方たちはこの方法で十人以上が入って行きました。私たちも彼らと同類ですが・・・。
 

いよいよ砂漠に入場。まずは中国らしいオブジェが出迎えてくれる

まずは「クムタグ」の名が入った石碑とラクダがお出迎え・・・このラクダが作り物のオブジェであることは一見して判りますよね。ちなみに、砂山の手前にも様々なオブジェ(昔の偉人の像など)が作られているが、わざわざ見に行く気が起こりません。
 

このキャラバン隊の姿は、僕が画像検索で見つけたものと一緒です

ラクダのキャラバン隊が砂漠の中を歩む、素敵な光景です……って、ナンダコレ、ラクダは全部作りものだぜ!そういえば、こうした画像の切り取り方って画像検索で見つけたものと一緒じゃん。僕はインスタ職人じゃないし(当時インスタはなかったが)、自分で撮影した写真の出来栄えはこの程度。しかしねぇ、ネット上に出回る職人たちがつくり上げた画像は溜息が漏れるほど美しい。さすがはカメラマンと褒めたいところだが、明らかに加工された画像が真実を写しだすモノかどうかは・・・甚だ疑問です。
 

もう一度キャラバン隊の気分になりきって撮影・・・って、微妙。
 

いよいよ砂山にたどり着く

せっかく砂漠に来たのだから、そんなオブジェを無視して、何もない砂山まで行きたい。ほとんど苦労することもなく周囲を歩き回ります。
 

いよいよ、私が思い描く砂山を見つけました。砂だけで人工物が何も見当たらない砂漠の光景にぶち当たり、しばしの休憩。
 
しかし、中国の観光地って、どうして手を加えたがるのか。砂漠の魅力とは、まさに何もないことであり、そこに人工物のオブジェを置くセンスは私には理解できません。砂漠といったらラクダというステレオタイプなイメージは確かに強いかもしれないが、それだったら生きているラクダでキャラバン観光をすればイイと思う(入場ゲートのそばではラクダが実際に飼われていたが、観光客が少なすぎるのか稼働していなかった)。
 

ピチャンの街を紹介します

若干の不満を残したまま砂漠探索を終え、ピチャンの街なかに戻ることにしました。
 

街歩きが楽しい、ウイグル人が多く住む一画

ポプラ並木が続く道に、カラフルな門を備えた家が見える。ウイグル人街が残され、気分が盛り上がります。
 

裏に入ると、まだまだ泥造りの家が多く立ち並ぶ。
 

ウイグル人の集落を当てもなく歩くと、子供たちから声がかかり、いつの間に彼らの輪に加わることになる。私自身、中国語(普通話≒北京語)での日常会話はできるが、ウイグル語はさすがに理解できない。ただ、この地の子供たちは割と流暢な普通話を使うので、コミュニケートは順調でした。
 

屋台が並ぶ夜市で一日を締めます

こちらの夜市は老城路沿いにあり、ちょうどホテルと砂漠の中間あたりに位置しています。ただ、ウイグル人街からは外れているためか、エスニック情緒漂うウイグル料理の屋台は見当たらない。仕方がなく中華総菜を何品か購入、小さなテーブルに座りビールで乾杯!明日はどこへ行こうかと思案を巡らす時間が、一番の至福の時間だったりします。


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