宿も決まり昼食をとった後、肇興の村を歩きはじめます。肇興の村落はおそらく1㎢内に収まり、歩いて観光するのにちょうどよいコンパクトさ。この狭いエリア内に5つの団(部落)があり、それぞれが鼓楼と風雨橋をもつことや、ほぼすべての住宅が木材剥き出しの時代劇にでも登場しそうなつくりだったりと、村全体が”木の部族”トン族の文化に浸れる空間になっています。また、私が訪れた時期はまだ観光開発が進んでおらず、トン族の方の素朴な優しさにそこかしこで触れた、まさに私にとっての桃源郷でした。
 

肇興の村:儒教思想に基づく村づくり

肇興は5つの団により構成され、それぞれ仁団・義団・礼団・智団・信団の名前がつけられています。この「仁義礼智信」の言葉にピン(!)ときた方は多いのでは。これは儒教でいう「五常」を表しており、道徳(人としてあるべき「道」)を説いた言葉です。この言葉を集団の名前につけることで、それぞれを性格付けすると共に、5つの集団が一つとなって村全体の道徳世界を築いていこうとする決意の表れではないかと思われますが、この解釈いかがでしょうか?

では、肇興の村を構成する5つの「団」について見ていきましょう
1.智団

バスが発着する広場の裏手にある鼓楼。前回の記事で紹介しましたが、こちらで「団飯」の準備をしています。

近くの家で藍染布を干しています。見事ですね。
 

智団が管理する風雨橋。小ぶりですが、いかにも生活に溶け込んだ様子がイイですね。
 

昼過ぎに団飯をごちそうになります。2枚目の写真、向かって右上から2番目の赤い食物、実は豚の鮮血を和えた生肉なのです。食べてみると・・・これ、今や日本で食べられなくなったレバ刺しやユッケに近い味ですが、生臭みがなくオイシイ!
 

2.信団

智団鼓楼のすぐ近くに信団鼓楼があります。車道に面しており、バスから降りて、すぐに気づく鼓楼でしょう。
 

鼓楼から道路を挟んだ裏側に出た川沿いにある風雨橋。この橋が信団の管理下にあるかどうか、いまいち判りませんでした。
 

3.義団

こちらの鼓楼と風雨橋、周囲の景色と溶け込んでおりGOODなプロポーションだと思います。
 

義団には大きな戯台が残っており、伝統文化の保存といった点でも好感が持てます。
 

4.仁団

実に絵になる鼓楼と風雨橋。インスタ映えって感じですかね。
 

この鼓楼は、夜、ライトアップをしていまして・・・GO~OD!
 

しかも、夕食に団飯をごちそうになる!余計に印象深い肇興の一夜となりました。
 
「5.礼団」・・・すみません、写真が残っていませんでした。次回に訪問した際は、必ず写真を撮ります!
 

高台に上り村全体を見渡す

宿から10分くらい歩いた場所にある高台。見渡す限り、黒瓦が連なっており壮観です。鼓楼がいくつか見えますね。
 

写真を撮っていた際中にすれ違った人たち。男性の方、かなりイケメンですね。
 
 
肇興で過ごしたこれらの日々、私にとってはまさに桃源郷でした。伝統建築群にたたずむと、タイムスリップしたような感覚となります。鼓楼を訪問するとステキな笑顔をこちらに向け、客人として迎えてくれます。極めつけは、やはり団飯でしょう。一見したところ粗野な食事ですが、素朴なおいしさに心打たれました。
 
大規模な観光開発が現在進行する肇興の村ですが、儒教思想の素晴らしいエッセンスだけを抽出しながら、伝統と現代の微妙なバランスを保ち発展していくことを期待します。


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