肇興の村落から4km、歩くと1時間ほどの場所にある「堂安」は集落全体でトン族の伝統生活が保存されており「堂安侗族生態博物館」の異名をもちます。「生態博物館」・・・さて何だろうと興味が湧いたが、ネット上でこの博物館に関する情報がヒットしない。こんな山奥で博物館、さてはトン族の文化や生活実態を展示した建物があるのだろうと想像しましたが、堂安ではいつまでも博物館は見つからず、ただ伝統的な生活を守るトン族の方々の優しさに触れるものとなりました。

 

堂安までの道

宿のそばの観光案内所(肇興游客服務中心)で堂安への行き方を相談していると、外にいた方が「これに乗って行け」と言って半ば強引に車に乗せられました。実はこれ、かなりありがたい申し出で、肇興に戻ってきた後に感謝の気持ちが湧いてきた。
 

肇興エリアの入口で車から降ろされました。ここが堂安へ向かう道の分岐点らしく、上記写真で向かって左の道を真っすぐ歩けば堂安に着くとのこと。
 

この道、山道ではあるが舗装されているため歩きやすく、(天気は悪いが)軽いピクニック気分で堂安に向かいました。
 

貴州省や雲南省といった山間地域では山の斜面が田畑として活用され、こうした大規模な棚田が見られます。ここは規模的にはさほど大きくはないが、やはり見応えがあります。
 

車を降りてから20分ほど歩いたでしょうか、堂安村の案内板がありました。少し先には村落が広がっており、堂安に到着したのでしょう。いよいよ探索の始まりです。
 

堂安村に入り、いきなり驚き(?)の場面に遭遇する

堂安村に入ってさっそく、センセーショナルな光景を目の当たりにしました。

村人たちが何人か集まって豚さんを焼いています。このブログでも何度か食肉が解体される場面を紹介しましたが、こうした光景に遭遇し何事もなく通り過ぎることは、まだできません。
 

これは堂安村を離れるタイミングで撮影したものですが、焼かれた豚さんが天秤棒にくくりつけられて運ばれていきます。近いうちに、この村で祭礼があるのでしょうか。
 

村には少し雪が残っています。天秤棒を担いだオジサンをパチリと撮る。
 

村の中心部に入ってきました。立派な鼓楼が建っています。
 

堂安で生活する人々の様子

鼓楼の周辺では人々が集い、各々の生活を営んでいました。

鼓楼の中で休む人たち。竹に火をつけて暖をとっています。
 

こちらのオジサンは縫製や靴修理を営んでいるのでしょう。パイプをくわえ一服する様子が何とも愛らしいです。
 

鼓楼のすぐ脇には洗い場があります。女性だけではなく、若い男性が洗い物をしていますね。
 

こちらは水飲み場ですね。しっかりと注意書きがあり、ここでは顔や頭・衣服を洗ったり、痰をはいてはいけないと書いてある。オジサン、口を直接つけて飲んでいるけれど、これは大丈夫なのかな?
 

ちなみに子供さんは、ちゃんと柄杓を使って水を飲んでいる。
 

村落内のお宅。外にある煮炊き用かまどを写真に収めていたら、家の中からお二人が私たちの様子をうかがいに来る。こちらのお宅でお茶をご馳走になりました。
 

村にいたお子さん。なんと両脇だけ髪の毛を残し、真ん中を全て剃りあげている。こうした髪形をしている男の子は、この村で他にも何人か見ました。また、後に紹介しますが、従江近隣の村では髪の毛を真ん中で束ねて盛り上げる髪形をとる男性が多く、トン族の伝統的な男性頭髪だろうと思われます。
 

結局「生態博物館」ってなに?

鼓楼にいた方たちや家の中に招いてくれた方に「生態博物館」をことを聞くが、皆さんチンプンカンプン、何のことを聞かれているのか理解していない様子でした。村の中をいくら歩いても博物館らしきものはありません。そういえば、村に入るときに生態博物館の説明がなされた案内板の写真を撮ったなと思い出し、それを見てみると・・・「生態博物館には特定の建物はありません。トン族の生活やその環境こそが博物館の内容です」と書いてあるではないですか。入村したときには小雨が降っていたため、この案内板を読んでいなかったことが悪いですね。
 

肇興に戻る

肇興への帰路につきます。堂安から出る車はないようなので、肇興までの歩き方を聞くと、段々田をずっと下って行けば良いとのこと。この道、下るのは楽ですが、上るのは絶対に無理!往きに車に乗せてもらったことはラッキーでした。
 

肇興に戻ると藍染の布を折ったり干している様子に目が留まる。
 

写真を撮っていると、家の中に招かれ、布を木槌で叩いて伸ばす様子を見せていただきました。
 
 
こうして肇興の充実した一日が過ぎていきます。次は従江へ向かいます。


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