私たちは小黄を後にし、黄崗へ向かいました。小黄から黄崗までは7~8kmの距離、車で15分も走れば十分に着くだろうと考えていましたが、それが大間違い!道は舗装されておらず、ぬかるんだ道にタイヤをとられながら、車は停止と急発進を繰り返す。何回もスタックをし、これは先に進めるのかと不安に感じましたが、ドライバーは「没問題」(問題ない=大丈夫だよ!)と言い、私たちを元気づけます。これほど頼もしいタクシードライバーに、私はいまだかつて出会ったことがありません!そうこうするうち、小黄を発ち1時間以上経った頃やっと到着した黄崗は、まるで前近代にタイムスリップしたかのような、現代とはかけ離れた別世界が広がっているのでした。

 

黄崗村の概略

黄崗は貴州省黎平県双江郷にある村(寨)で、ネット情報によれば従江と双江を結ぶバスが小黄や黄崗を通るとのことだが、私が訪れた冬季は道自体が悪いため、バスが運行されている様子がなかった。小黄村には5基の鼓楼があり、いずれも古い形態が残されている。また、自給自足が基本で、外部との接触を避けてきたため、非常に古いトン族の伝統的な風俗習慣が残された村として、近年中国国内の文化人類学/民俗学者の注目を集めている村・・・うん、こんな記述を目の当たりにしたら行ってみるしかないでしょう!とにかく興味が湧きますね。
 

黄崗にやっと到着した!

いつまでも続く悪路にいいかげんウンザリしてきたところ、いきなり、まるで時代劇で出てくるような木造の住宅が立ち並ぶ場所に着きました。ドライバーはここが黄崗だよと誇らしげに宣言する。

私が訪れた数々の中国の村落のうちでもTop3に入る鄙びた(ひなびた)光景です。ここと比べれば小黄など都会!以前の記事で紹介した堂安や芭沙ですら鄙び加減ではかなうわけがありません。
 

動物たちと共に暮らす村人たち

牛を連れた男性たちが道を歩きます。野良仕事から戻ってきたのでしょうか。
 

こちらは馬を引き連れている。まさしく西部劇でもお馴染みの幌馬車ですね。
 

今度はヤギを引き連れて歩く老婦人とすれ違いました。家畜と共に暮らす生活が当たり前のように広がっています。
 

自給自足の村でありふれた光景って、私たちにとっては珍しいよね

道を歩く人たちを見ていると、薪や藁を運んでいる人が非常に多いことに気づかされます。そう、この村は自給自足で成り立っている村、燃料も自分たちでつくりだすのです。

薪を運ぶお年寄りの方。手伝いましょうかと言いかけましたが、たぶん私よりよほど力持ち、言いかけたセリフを飲み込む。
 

こちらは藁を運ぶご婦人の方ですね。やはり重そうですが、バランス感覚が良いのでしょう、難なく運びます。
 

脱穀をしています。手つきが鮮やかでしたよ。
 

村人たちの素朴な生活

村のあちらこちらにある、この木の枠、何だと思いますか?実はこれ・・・トイレなのです。村の家庭にはトイレはなく、こうした公衆トイレで老いも若きも用を済ませます。私が歩いている間にも、若い女の子が入っていましたが、とくに恥ずかしがる様子などありませんでした。皆さん、おおらか!
 

水場での洗濯の様子。トン族の伝統的装束である藍染の布を叩いた後、近くの物干し台にかけて干します。
 

村の広場には移動式販売車が停車しており、村人が群がっています。現代的な服が売られており、飛ぶように売れて行く。おおかた、子供服やシーツ・布団類が売れている様子。

 

黄崗の鼓楼を見ていきましょう

黄崗には5つの鼓楼があるという予備知識を持ち、村をぶらつきましたが・・・今回の訪問では4つだけ写真に収める。
 

まずは、もっとも小黄寄りにある鼓楼。村の景色に溶け込み、大変プロポーションが良い鼓楼です。鼓楼の後ろには、作物を収穫した際の干し台が見えます。
 

石畳の小径を歩き、次の鼓楼を見ましょう。前に見た鼓楼とはさほど離れていないため、写真に2基を並べて撮影しました。
 

では、3番目に見た鼓楼です。こちらのものは石が積まれた土台の上に建てられています。
 

今回の旅行で見つけた最後の鼓楼。どの鼓楼も一緒のデザインだと思う方もいるかもしれませんが、細部をご覧になれば、その違いは一目瞭然!層の数や最上段の頂の意匠がそれぞれ異なる上、精巧な彫刻や素朴な絵が描かれているものが多く、どれも個性的なものばかりです・・・!
 

黄崗村を俯瞰する

村はずれの高台に上り村を俯瞰してみました。

ズームをインとアウトのものを2枚並べました。アウトしたものをよく見ても5基あるはずの鼓楼が4基しか判別できませんでした。うん、僕の探し方が悪いのですね。
 

黄崗村の小学校

先に紹介した俯瞰写真は、実は村唯一の学校裏の高台から撮影したもの。この村にもしっかり小学校があり、子供たちの教育がなされています。小学校入口の黒板を見ると、「燕が低く飛ぶときは、なぜ雨が降るのか?」という質問に対する回答や、「中国六大古都」の説明が書かれていました。きっと子供たちだけではなく、村の大人たちへの啓蒙も兼ねているのでしょう。
 

最後に子供たちのスナップ写真を紹介し、次の村へ向かいます。


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