2009年9月、祝日をつなぎ何とか10連休をつくりだすことに成功(当時はまだ働いていました!)、ちょうど折よくマイレージで取得した成田~昆明間のチケットを持って妻と2人で中国雲南省を旅しました。彼女にとっては初の雲南省、希望では昆明1都市に滞在し石林など周辺の観光スポットを巡りたいとのことだが、それじゃ私がツマラナイ!
 
少数民族ウオッチャーの私にとって雲南省で行きたいところと言えば、ベトナム国境にほど近い金平や麻栗坡ですが・・・。これが1人旅ではないことの最大の欠点、同行者である妻の希望もかなえなければ旅自体が成立しません。昆明にも数日滞在した上、手軽に向かえる少数民族ウオッチャー垂涎の地と言えば、もう元陽しかないでしょ。2009年当時、元陽の棚田はブログ世界ではかなりメジャーとなってきた一方、一般的にはまだ無名の地。将来(2013年)まさかここが世界文化遺産に指定されることなど夢にも思わなかった頃の話です。

今回の旅は、雲南省の元陽を拠点にハニ族やイ族の集落をいくつか巡り、まぁ棚田観光は二の次に、定期市をウオッチすることをメインとしました。とくに定期市では、牛角寨や沙拉托など現在に至るまでほとんど報告があがらない場所も紹介したいと思います。
 

さっそく元陽に到着、定期市の日の華やかな街角に興奮

通常の私の記事では、こうやって元陽まで行ったという話しから入りますが、さすがに2009年当時のアクセス情報を欲っする人っていませんよね。そこで話は端折っていき・・・

昆明バスターミナルから元陽まで乗った寝台バス。元陽(新街)には早朝4:30と夜明け前に到着するが、ホテル(雲梯順捷飯店)は快くチェックインさせてくれる。ちなみに宿泊料金は前泊分を請求されることはなく親切ゥ~!宿泊料金は当時1泊80元でした。
 

少し仮眠をとるか……と目覚めると窓からご覧の景色。けっこうイイね。
 

ホテルから一歩外へ出ると、そこはエスニック臭漂う雑踏の中だった

仮眠後、食事でもとろうとホテルから一歩外に出ると、そこはすでに少数民族世界の真っただ中でした

元陽はハニ族とイ族が大多数を占める街、ホテルの外にはハニ族の方々たちが重い荷物を下ろして休憩中。この黒紺系を基調としたドレスに斜めにスリットが入った刺繍がハニ族の衣装デザインのトレードマーク。腕にもボーダー調の刺繍を入れている方が多い。ただこの地のハニ族とイ族は服の見た目だけでは区別が難しく、また棚田をはじめ元陽周辺ではハニ族文化が観光資源として重視されているため、両者の区別が難しい場合はハニ族として記します。
 
ついでにもう一点ご指摘を。ハニ族は中国だけではなく東南アジア山岳地帯の広いエリアに居住します。なお、中国以外ではアカ族と呼ばれており、当ブログでもタイ山間部にあるアカ族の村々を巡った報告(メーサロンの山あいにあるアカ族集落を訪ね歩く)があるので、よろしければご覧ください。
 

ホテルのすぐそばに公設市場があるが、すでに朝のピーク時間帯は過ぎているため買い物客はまばら。売り手はハニ族の衣装をしっかり着込む女性が大半を占めています。
 

まぁ客がいないこともあるが、子供たちがお店番をしている場所が多い。小さい頃からお母さんの手伝いをシッカリとこなす子供たちを見てホッコリと暖かく見守りたい気持ちになる。こうして両親の仕事に触れ手伝う行為を通し、伝統的な生活様式を伝えるといったサイクルが成立しています。まぁ中には”幼い子供たちを就労させるなどケシカラン”と言うお方もいるとは思いますが、日本など先進国において伝統的技能(匠の技)の継承がなぜ難しくなったのかを考えれば、ただケシカランと否定することだけが正解ではありません。
 

まだ食事を摂っていなかったので、遅めの朝食。おそらくハニ族ではない出稼ぎの中国人の方がつくった麺(米線)はいかにも貴州~広西辺りで食べられる米線と同じ味だった。つまみに先ほど購入した、女の子が焼いていた豆腐を食べようとしたところ、店内の奥に設えられた網で焼き直してくれる。オイシイですヨ!
 

いつの間に、街は定期市の喧騒のさなかにあった

公設市場の静けさに少々拍子抜けをしてしまった私、元陽の賑わいってこの程度なのかと落胆していたが、落胆タイムはほんの僅か。軽い食事を終えホテルに戻ると、その近隣は野外マーケットに様変わりしていました。
 

ホテル脇の一画はスナック屋台がいくつもでている。すでに昼時だが、多くは油条(揚げパン)や豆乳、麺など漢族の朝食メニューとほぼ同一のものが並んでいました。
 

ちなみに男性たちは食事を摂るよりも水タバコを一心不乱に吸う方たちが目立ちます。
 

幼い子供たちの姿がとにかく目につき、少子化に悩むどこかの国の実情がかえって信じられない!子供のおぶい方は、美しい毛布で子供を包み、手製の刺繍が施された紐(おぶい紐)で背中に結び付ける方法が一般的のようです。
 

市で売られるもので特に多いのは、ハニ族の女性たちが身に着けるオシャレアクセサリーの数々。ちなみに、アカ族(ハニ族の別称)の身に着ける銀細工製品が、チェンマイやチェンライのお土産屋台で外国人に大人気ですが、こちらはハニ族の方が自分たちに向け売っているもの。私たちのような外国人が屋台にじっと居座ると、かえって”あなたたちには必要ないでしょ”という目で見られてしまいます。
 

ハニ族では長い髪をもつ女性が多く、よくこれだけ伸ばせるなと思っていたら、いきなりオバチャンによる営業攻勢に遭う。”髪の毛こっちにあるよ、安いよ!”と言われても、買う気は全くありませんから。”買わないけれど値段だけ教えて”と聞いてみたら20元と言っていた。この金額が高いか安いかは判別がつかないが、自毛でできた長髪のウィッグが欲しい方はぜひ元陽に来てみれば。
 
 
このように、到着したばかりの元陽ですでに期待以上の光景に出会い、寝不足気味の私たちはもう頭クラクラ、ノックダウン寸前の状態。ただ、この程度ではまだまだ甘い!これから元陽を拠点にさらにディープなローカルな市場を巡ります。


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