ランテパオの北部にはバトゥトゥモンガやレンポという棚田の光景が大変美しい山間の集落があります。こうした”桃源郷”はベモで直接行くことは難しい場所。そして、バトゥトゥモンガから山を下ると、ボリというユニークな洞窟墓がある魅力的な村にたどり着く。これらの集落を1日かけヒッチハイクを主体に巡りました。

 
8月3日、トラジャ滞在5日目。朝食を摂りながら、どこへ行こうかガイドブックのコピーを見つめていると「バトゥトゥモンガ」という場所が目に付く。どうやら山あいの景色が美しいらしいが、それ以上の情報はナシ。行ってみようと決意するが、行き方はよく判りません・・・。
 

トラジャ北部に行くためには、まずボルのベモステーションを目指しましょう

宿の兄ちゃんに地図を見せおおよその行き方を尋ねると、まずは「ボル」へ行けとのこと。そう、以前の記事で紹介したように、巨大なベモステーションがある街です。サダンやパラワを含めランテパオより北へ行く場合、まずはボルまでベモで行き、そこで各々の目的地に向かうベモに乗り換える必要があります。
 

バトゥトゥモンガまで、遠い道のりでした!まずはパンリを目指します

ボルまではベモが頻発しており簡単に行けます。バックパッカーの初心者でも難なくクリアできるでしょう。しかし、ボルのベモステーションで「バトゥトゥモンガ、バトゥトゥモンガ」(Batutumonga)と連呼しても無視されるだけでした。ただ、どこかから助け船が来るのは、いつものお約束。簡単な英語を理解するお兄さんが声をかけてくれました。彼が他のベモのドライバーたちから集めた情報をまとめると・・・

  • ボルからバトゥトゥウモンガ方面に直通するベモは極端に少ない。朝夕の数本しかないので、私が来た時間にはベモはない
  • もし、バトゥトゥモンガへ行きたいのなら「パンリ」へ行くこと。パンリではバトゥトゥモンガ方向とサダン方向への道が分岐している
  • 「パンリ」で運が良ければベモが捕まるかもしれない。Goo~d Luck!

は~パンリへ行くのか。そこって3日前に行ったんだよな。たとえバトゥトゥモンガまで行けないとしても、またサダン方向をブラツイテみようと自分を納得させパンリに向かいます。乗り込んだベモのドライバーはバトゥトゥモンガ方面に行く分岐で降ろしてくれました。おそらく英語をしゃべるお兄さんが事前に説明してくれたのでしょう。
 

パンリからは、ヒッチハイクでバトゥトゥモンガを目指します

まぁ予想通りGood Luck!とはいかず、ベモを降りてからは車が通る気配すらありません。こうなったらベモなんて期待せず、トラックでもよいから得意のヒッチハイクをしようと決意。
何分か待つと運よくトラックが見えてくる。手を振り車を止め「バトゥトゥモンガ」と連呼しました。ドライバーは首を振って、「そこには行かないよ」と言っている様子。地図を見せると途中の「レンポ」(Lempo)という村まで行くことが判明。そこからバトゥトゥモンガ(Batutumonga)は歩いて行ける距離に見えたので、トラックに乗車します。ただねぇタダとはいかず、5000ルピア(IDR5000=約43円)を支払いました。
 

レンポ(Lempo)でさっそく美しい棚田の光景に遭遇。バトゥトゥモンガまでピクニック気分を楽しむ

トラックはずいぶん急な山道を登り、「ここまでだよ」というジェスチャーで私を降ろした後、さらに細い分岐道に入っていきました。降車場所からバトゥトゥモンガまでは、トラックドライバーのジェスチャーでは30分くらい歩くとのこと、遠いぜ!ただ、降りた場所では美しい光景がさっそく広がり気分は上々。途中の茶屋で一休みするなど、小学生の遠足を思い出します。
 

道中ではいくつか集落を通り過ぎます

途中では十字架がかたどられた建物がある集落にたどり着きました。こちらの”教会”に人影はあったが、コミュニケートはほとんどとれなかった。ただ「バトゥトゥモンガ」と言いながらネットで拾った写真を見せると、”腕”で先の方向を指します。まだまだ歩くようですね。
 

いよいよ、バトゥトゥモンガに到着。って、ここが目指していた場所かな!?
バトゥトゥモンガの集落に到着?でも、ネットで見た場所とは違うような・・・

15分ほど歩き着いたこちらの集落、「バトゥトゥモンガ」と聞くと、「イエス、イエス」と返答がありました。あぁ、意外に近かったなと思いながらもネットの写真を見せると、首を横に振られてしまう。確かにここは違うよなと思いながら、私の足を叩きながら「歩いて近いの?」というジェスチャーをすると、両手で10の字を作ってくれました。あと10分くらい歩くのでしょうか。
 

この集落にも岩窟墓がります

 

ようやくバトゥトゥモンガ写真の場所に到着。そこはレストハウスでした

確かに集落から10分ほど歩くと”写真の場所”に到着。そこはレストハウスで、レストランと宿泊施設が併設された場所でした。しかし営業しているのかどうか、にわかには判りません。とりあえず中に入るとレストランは開いているとのこと。まぁ、ここまで来て泊まる人は、そうそういないのでしょうね。インスタント麺を使った簡単な昼食を用意してもらいました。
 
バトゥトゥモンガからランテパオへの戻り方を尋ねると、ベモを捕まえるのは難しいとのこと。ここまで来るベモがあった時だけ折り返して行くようです。つまりバトゥトゥモンガまでのベモがなければ、いくら待っても無駄な時間を過ごすことになりそう。うん、それは困った・・・という顔をすると、「脇の山道を歩いて、ティカラまで行けばベモがある」とのこと。また仮にランテパオに向かう車が通れば同乗を一緒に頼んでくれると言ってくれた。優しいぜ!
 

バトゥトゥモンガからティカラまでの道・・・人生、苦もありゃ楽もあるさ!

どうやら、これから若者がバイクでティカラに行くとのこと。彼は同乗を快く引き受けてくれました、Lucky!・・・と喜んだのもつかの間、バイクはモトクロスもビックリ(!)細い急な傾斜の泥道を下っていくのです。しばらくは耐えましたが・・・無理でした。降りる際、バイクの若者には丁重に礼を言いながらお金を渡そうとしたが、彼はそれを頑なに受け取りませんでした。
 

歩きながら驚きました。この辺りの墳墓、すごく変わっている・・・ボリの洞窟墓

バイクから降りて歩き出すと、崖を四角にくりぬいた墳墓が目立つようになります。こうした墳墓に関する予備知識は全くないが、どうもトラジャの墳墓群でも異彩を放つものとして(その道の学者には)有名なものらしいです。
 

規模の大きな墳墓の脇には巨石が立ち並ぶ葬祭のための広場がありました(こちらも予備知識はなく、後にネットで葬祭広場だと知りました。ただ、ネットでヒットするものより規模は小さそう)。
 
ここからティカラまでは一般の車も通れそうな楽な道、何とか歩いてティカラに辿り着きました。ここでもう一つサプライズが発生。ベモの乗り場が判らず、近くに止まっていたトラックのドライバーに「ベモ、ランテパオ」と声をかける。すると、ドライバーは理解したのかしていないのかイマイチ判らなかったが、とにかく乗っていけのジェスチャーを示す。まぁティカラからランテパオまでは一本道、道なりに走る分には心配ないでしょう。そして無事にランテパオまで到着、しかもお金はとられませんでした。


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